キャッチーなタイトルですが、これは犬の頭をよくする本ではありません。
飼い主が犬の気持ちを知ることの大切さと、犬の気持ちを知るための具体的な方法を紹介している本です。
この本を読めば、「目の前のわが子(愛犬)を見て、今どのような対処をすればよいか」が分かるようになります。
これまでの自分が、いかにマニュアルにとらわれすぎていて、犬と暮らすことの本質を見ていなかったかを思い知らされるかもしれません。
自分なりに、本やインターネットで調べたり、パピークラスに通ったり、トレーナーのレッスンを受けたけれども、どうもうまくいかない…
というときは、これまで見聞きしてきた情報は自分が求めているものとベクトルが違っていたのかもしれません。
犬に何かを教える前に「なぜ犬にはしつけが必要なのか」その目的をしっかりと理解したうえで、その犬が暮らしている環境において必要なしつけをしていく必要があります。
マニュアル本に書いてある内容(オスワリやフセ、お手など)を盲目的に仕込むのが「しつけ」ではありません。
それは単に、犬に「芸を仕込んでいる」だけなのです。
そのことを、Suzyにわかりやすく伝えてくれた初めての本がこの「犬の頭がグングンよくなる育て方」です。
単行本の初版が2004年とかなり昔の本になってしまいましたが、今でも私のバイブルです。
古い本なので、紙の本は古本屋さんで見つけるしかありませんが、「これから犬と暮らそうとする人」「今、犬と暮らしている人」全員に、ぜひ読んでほしい1冊です。
犬の頭がグングンよくなる育て方
―あなたの愛犬は素晴らしい能力を持っている!
出版社 : PHP研究所
発売日 : 2007/10/1
文庫 : 292ページ
ISBN-13 : 978-4569669199
以下に、もくじタイトルを記載し、その内容と関連する当サイトの記事をご紹介していきます。
第1章 どうしてうまくいかないのか?
- 誰もが直面する「こんなはずでは……」
- 問題行動が起こる原因
●犬という生き物を知る
- 「理解」と「愛情」
〔コラム1〕聞き上手は育て上手
第2章 変わってきた人のくらし
1.人と犬の歴史
- 人と犬のつながりは古い
- 共生からパートナーシップへ
- パートナーから心のよりどころへ
2.暮らし方が変われば、シツケも変わる
- これまでの作業補助のためのシツケ
- 追い付かない指導方法
- 犬自体が持っていた「共に暮らす能力」
第3章 愛犬との暮らし方
–どんな暮らしをしたいかを考えましょう
1.なにか変?
- その1:留守のときはどうするの?
- その2:赤ちゃんの顔をおしめに?
●お悩み相談:おトイレを失敗するようになった
- その3:愛犬を触っただけでストレス?
- その4:必ずお駄賃をねだる犬って?
- その5:誰が叱るの?
●イヌにおける語彙処理の神経メカニズム
- しつけ教室での優等生と生活上での優等生は違う
〔コラム2〕本当に困っている人が行きづらいシツケ教室
2.目的をはっきり決める
- 愛犬の個性と能力をよく観察する
- どういう生活がしたいか家族全員で語り合う
〔コラム3〕見直される東洋思想
第4章 飼い主としての考え方
–犬の飼い主と子どもの親は同じ
1.犬の飼い主になったということ
- 本気で愛犬の健康を考える
- 家族の負担にならない
- 人間社会のルールを教える
2.犬との接し方
- 犬の感受性は人間の想像を超える
- 人間の感情はすべて犬に伝わる
3.真の愛情
- しっかり叱ることは親としての立派な愛情
- シツケの極意は「決して諦めない」
〔コラム4〕優秀といわれた犬も捨てられる
4.頭のいい犬にする
- 犬に教えなければいけないこと
- 犬には自分で考え、学び、実践する能力がある
〔コラム5〕老人と犬
第5章 犬ってどんな生き物?
1.犬の本能と習性
- 本能と習性を知ることがもっとも大事
- 群れの掟は「上の者に従う」
- 慎重なリーダー選び
- リーダーの喜怒哀楽に同感する
- 「飽きない」心
- 犬はどう猛な動物か
- 犬が人を咬むことがあるのはなぜか
2.驚くべき特性
- 犬は他の種族とも群れになれる
- 犬の「協調能力」に人間は気づくべき
第6章 リーダーシップ
1.リーダーシップの必要性
- 犬が慎重にリーダーを選ぶ理由
- リーダーを選ぶための検定制度
- 子犬のときから飼い主を試している
- 自分がリーダーだと思い込んだ犬はどうなるか
〔コラム6〕けっこうドライな犬たち
2.リーダーシップとは
- 犬の判断能力を軽視してはいけない
- 揺るぎない愛情と強い意志
- 「しょせん犬」とバカにしていないか
3.理想のリーダー
- 犬が求める強いリーダー
- リーダーに愛されていると感じているか
- 粘りある人を尊敬する
〔コラム7〕犬の強さは気合の勝負
4.リーダーへの思い
- 犬も幸せになりたい
- 不快な表情こそ耐え難い苦痛
- リーダーに犬が反抗することなどありえない
★「リーダーシップの復権」システム
- リーダーとして認めているかどうかを判断する
- 「リーダーシップの復権」システムとは
- 問題行動がピタリと止まる驚くべき効果
- 1回目が一番大変
- 注意① 途中でやめない
- 注意② 最初は1日1回程度に
5.リーダーの日常
- オヤツも小道具もいらない生活
- 犬の学習は体験主義
第7章 シツケの目的
1.シツケはなんのため?
- 愛犬の健康と命を守る
- 家族に迷惑をかけない
- 近隣に迷惑をかけない
2.褒め方と叱り方
- 叱らなくてすむことは山ほどある
- 「ありがとう」という言葉を常にかける
- 叱るときに名前を呼ばない
3.どんなときにも困らないために
- 暮らしの中で最低限必要なことから教える
- 誘惑のない環境下での練習からはじめる
- ここまででシツケの八割は完成
〔コラム8〕飼い主さんの思い込み
第8章 教えたいことを2タイプに分ける
1.タイプによる違い
2.動作の教え方
- どんな場面で使うかを把握しておくこと
- 「決して叱らない」「1秒でも早く褒める」
3.禁止の教え
- しっかり愛情を持って叱る
- 目を見据えて怖い顔と怖い声で叱る
- 短期間で集中した練習をするコツ
第9章 動作の教え方の実例
1.オスワリ
- 普通のかけ声、優しい言い方が大切
- 一秒でも早く座らせ、一秒でも早く褒める
2.オイデ
- 声をかけたら一目散にリードを引く
- 完璧に覚えるまではリードやヒモを放さない
3.マッテ
- 帰ってくる飼い主さんを楽しみにすると教える
- だんだん離れて難しくする
4.ツイテ
- 進んで近寄ってくるように教える
- 犬と心を通わせて歩く
〔コラム9〕リード好きの犬
第10章 禁止の教え方の実例
1.咬み癖
- 下あごをつかんで叱る
- 暴れるのをやめたら優しく褒める
2.無駄吠え
- なにに対して吠えているかを判定する
- あえて吠える場面をつくって練習する
3.引っ張り癖
- リードを引き寄せながら叱らない
- 引き寄せたらすぐに褒める
4.飛びつき
- 飛びついてきたらしっかり叱る
- 他人への飛びつきも防止するには
5.拾い食い
- 中毒症状を起こす怖い食べ物もある
- 食べ物を置いて練習する
6.イタズラ
- 口にくわえたものを叱りながら取り出す
- イタズラをしなくなったらすぐに褒める
第11章 名犬への道
1.周囲の協力なしには犬は守れない
- 犬嫌いの人が多い町は事件が起きやすい
- 飼い主さん次第で安全な町に変わる
2.注意したい、いろんな迷惑
- 抜け毛の飛散
- オシッコの迷惑
- ノーリード
集合住宅で飼う犬のためのマナー術
分譲マンションがペット可で販売されるのが一般的になって20年以上経ち、マンション住まいでも犬と暮らせるようになりました。しかし、愛犬とともに多くの世帯と共同生活をするうえで、戸建て住まいのときには想像もしていなかった「ご近所への配慮」が必要になってきます。 マンションでとくに注意が必要なこ...
3.犬だけでは名犬になれない
- 犬はお金で買えないものを与えてくれる
- あなたが変わることが名犬に育つための第一歩
付録
付録1:子犬の選び方
- 正常な子犬は甘えん坊で好奇心旺盛
- 血統や性格は丈夫さとは関係がない
- できれば母犬を見せてもらおう
- 犬舎の数十頭の中から選ぶときの注意事項
付録2:大切な子犬の時期
- 栄養価の高い食べ物と外での運動は不可欠
- 1カ月くらいはなるべく叱らない
- 子どもを寝かしつけるお母さんのように
付録3:子犬のトイレトレーニング
- 人間がしてほしい場所と犬がしたい場所は違う
- オシッコをしたらすかさず褒めること
- 飼い主さんの希望の場所まで誘導する方法
●お悩み相談:おトイレを失敗するようになった
付録4:多頭飼いの注意点
- 飼い方を直さない限り悩みが倍になるだけ
- 暗い性格に変わる犬、喧嘩をしかける犬
- リーダーの職務放棄
- 先にいた犬を立てることが群れのルール
付録5:小さなお子様のいる家庭の注意点
- 大型犬でも子どもを遠ざけてはいけない
- 子どもに任せきりにするのも禁物
●赤ちゃん・子どもと暮らす
付録6:喧嘩の避け方と犬の正しい挨拶
- 喧嘩せずに我慢したことを褒めてあげる
- 他の犬にどんどん近づくのはマナー違反
- 先にお尻の臭いを嗅げるのは年上の犬
- 「マウンティング」はさせない
付録7:避妊と去勢
- メス犬を飼うときの注意点
- 病気の予防にもなる
- 去勢しても性格まで変わることは少ない
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ほかの「犬のしつけ本」については、以下のページでもたくさん取り上げてご紹介していますので、ぜひご覧ください↓
ドッグトレーナーが選ぶ犬の本3+12冊(しつけ編)【2024年7月】
本から得られる情報は専門家である著者が長年にわたって研究してきた成果を体系的にまとめたものです。本の内容は方法論が一貫しているため、教わる犬のほうも混乱が少ないはずです。愛犬にしつけをするにあたって最もよくないのは、さまざまな聞きかじりの情報を断片的につなぎ合わせて実践してしまうこと...