人間同様、犬にもいろいろな性格の持ち主がいます。
なかでも、飼い主さんがしつけに手を焼くのがシャイな性格の犬です。
明るくて元気が良すぎるタイプの犬の場合は「お散歩で引っ張る」とか、「食いしん坊すぎる」とか、「人やワンちゃんが好きすぎる」などが、飼い主さんから上がってくる困りごととして多いです。
そして、そうしたケースの場合、しつけの本や動画を参考に飼い主が見よう見まねで教えても、まぁまぁなんとかなる場合も多いです。
一筋縄ではいかない「シャイな犬」
しかし、シャイ(=神経質)な性格の犬の場合は一筋縄ではいきません。
なぜなら、一般的なしつけの本や動画などのマニュアルに載っている方法がことごとく逆効果である場合が多いからです。
飼い主が聞きかじった情報を参考に、見よう見まねでなんとかしようとすればするほどこじれてしまうのです。
そして、自分たちではどうにもならなくなってからご連絡をいただき、マイナスの状態からレッスンがスタートすることになります…。
マイナスからプラスの状態へもっていくためには、飼い主も愛犬も(そして教える側も)多大なエネルギーをつぎ込み労力を割かなければなりません。
プラスの「シャイ」とマイナスの「シャイ」
さらに、シャイなタイプは2つの正反対の性格に分かれます。
ここでいう「プラス」にはいわゆるプラスのイメージはありません。
その神経質さを「怒り」(プラス)で表すか「恐怖」(マイナス)で表すのかのちがいです。
プラスのシャイは「怒り」で表現
怒りで表すタイプの犬たちは、吠える、噛みつく、喧嘩するといった攻撃的な行動が飼い主を困らせます。
しかし、これまでの経験上直すのはそれほど難しいことではないと思っています。
最初は大変ですが、ルールに則った接し方さえすれば飼い主が拍子抜けするほどあっさりと変化してしまいます。
マイナスのシャイは「恐怖」で表現
しかし、恐怖で表すタイプは「ややこしい」です。
恐怖で表すタイプは「ややこしい」
最初にお話ししたように、一般的なしつけの本に載っているやり方がことごとく合わないタイプです。
ご褒美のおやつを口にする余裕ゼロ
まず、ご褒美のおやつを口にする余裕すらありません。
飼い主さんはおやつがご褒美にならない時点で行き詰まり、どうやって教えたらいいのかと途方に暮れてしまいます。
「しつけ本」の内容はボリュームゾーン向け
頼りにしたい「しつけ本」などの書籍はたくさんの人に買ってもらえなければ出版社は赤字になります。
一番多く売れる層向けの内容で作られるため、どうしてもそこに書かれる内容は最大公約数的な内容にならざるを得ません。
また、広告収入を目的としたネット上の商業メディアも書籍に比べればさまざまな情報を提供していますが、専門家が編集していないことから(仮にライターがマニアックな内容を提供したとしても)公開している内容は一般的なものになりがちです。
合わない方法に時間をかけるのは逆効果
自分の愛犬の性格が10頭に1頭ぐらいのレアなタイプだったばあい、上記のような一般的な方法を参考にしようとしてもかえって逆効果になり、愛犬との関係はどんどんこじれていきます。
合っているかどうかの判断方法
自分の愛犬に合った方法かどうかを知る手段として、以下の2点に注目してみることをお勧めします。
1カ月続けても改善しない
まず、オヤツやオモチャをご褒美に使ったしつけ方法を実践してみて、ご褒美のオヤツを口にできたりご褒美のオモチャをぶんぶん振り回すことができても、直したい行動が1カ月経っても改善していないならそのやり方は間違っています。
オヤツがご褒美として機能しない
愛犬がご褒美を口にできない場合はオヤツをご褒美にする方法を実践することができません。
オヤツを使わないしつけ
ご褒美にオヤツやオモチャを使いません もともと犬は自分の群れのために役に立ちたいと考える生き物です。...
自分だけで何とかしようと思わない
もし、今あなたが愛犬のしつけ方に悩んでいるのであれば、いつまでも「自分で何とかしよう」と思わず早めに「ご褒美にオヤツやおもちゃを使わない」専門家を頼って、あなたとあなたの愛犬にあった方法でのしつけを、1日も早くスタートさせてください。
飼い主の存在を愛犬にとっての「ご褒美」に
ぜひ、「飼い主さんの存在そのもの」が愛犬にとっての「ご褒美」になるような犬との付き合い方を教えてくれる専門家から、犬との暮らし方を教わってください。
ところで、あなたの犬は「本当のシャイ」ですか?
もうひとつ、大事なことがあります。
じつは、飼い主がシャイだと思っている犬のほとんどがシャイではありません。
多くのばあい、
- 飼い主が過保護に育ててきた
- 叱られたことがない
- 経験不足
- 苦手なことを避けてきた
ことによって、どのように振舞ったら良いのか分からないだけです。
「世間知らずの過保護犬」という現実をまず受け入れる
自分の犬がキレてほかの犬に喧嘩を売り出したり、自分は相手の匂いをさんざん嗅いでおきながら自分の匂いを嗅がせない「嗅ぎ逃げ犬」にもかかわらず、「ウチの子は怖がりで」と言って大きな勘違いをしている飼い主たちのなんと多いことか…。
『あなたとあなたの犬は、ただ勘違いなだけです…』と言いたくてムズムズしてしまいます。
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愛犬にシャイであることを求めていないか?
また、本来は飼い主が本当の犬の性格を見極めてその個性を尊重した方法でかかわるべきなのですが、愛犬のもつ個性や性格を一切無視して「こうあってほしい」という性格を押し付けていることがあります。
多くは以下の2パターンのどちらかです。
- 本当はシャイな犬に無理をさせる飼い主
- 本当はシャイでないのにシャイであるように仕向ける飼い主
(1)のパターンについては、以下の記事をお読みください↓
お世話したい気持ちの押し付け
子犬で買ってきた愛犬はあっという間に成長し、1年後には心も身体もすっかり大人になっています。
皆、自分の愛犬のことを本当に大切に思って大事に大事に育てているのですが、いつまでも赤ちゃん扱いをしてその子の心の発達を阻害するような行動をとってしまう飼い主さんが少なくありません。
思春期の犬(生後6カ月~2歳頃)
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犬にも思春期があるって知っていますか? 犬は生後6カ月あたりから思春期に入ります。 子犬のときとは心...
飼い主が腫れ物に触るような接し方を重ねた結果として犬が神経過敏になってしまっていることがとても多いのです。
とくに、トイプードルなどの超小型犬の飼い主さんに顕著です。
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ご依頼の多い犬種(小型犬編)
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保護犬の里親になる人
保護犬の譲渡にかかわるようになって気づいたことではありますが、保護犬のことを「可哀そうな犬」だと思っている人のなんと多いことか。
少なくとも保健所を出られて譲渡のテーブルに載り、新しい飼い主が決まった犬はその時点でまったく「可哀そうな犬」ではありません。
新しい飼い主の元へ来るまでは、確かに大変な生活だったかもしれません。
とくに、野犬や野良犬など人間の家庭で暮らしたことがなかった犬の場合、人間との初めての経験は、捕獲され、自由を奪われることでした。
捕獲器に入ったり保健所の檻に入ったりすることは、死ぬかもしれない恐怖でした。
しかし、終生飼養を約束して保護犬を迎えた新しい飼い主との生活がスタートしたら、あとは伸びしろしかありません。
犬は過去を振り返らず今を生きています。
「今がどうか」が一番大切なのです。
家族と一緒にいろいろな経験を重ね一つずつ乗り越えていけばよいだけです。
そして、乗り越えた経験の数が増えるほど自分に自信がつき、心も安定していきます。
しかし、「可哀そうな保護犬を助けた私」が主役になり、いつまでも不安な犬でいることを無意識に強要している飼い主がいます。
迎えた愛犬がこれからの一生不必要な不安や恐怖を感じる必要はないことを教えていかなければならないのに、犬自身が自信をつけて変わっていくことを望まない飼い主がいます。
犬は自分の感情よりも飼い主の気持ちを優先する生き物です。
Human Expressions of Object Preference Affect Dogs’ Perceptual Focus, but Not Their Action Choices書誌情報Hoi-Lam Jim, Fri...
いまいちど、自分は誰を主役に考えているのか胸に手を当てて考えてみる必要があります。
まとめ
まずは、あなたの愛犬が「本当にシャイ」なのかどうかを知ることが重要です。
そのために飼い主は「犬語」を学ばなければいけません。
犬の行動から感情を理解できなければ、愛犬の性格を判断することはできません。
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すべては「犬を知ること」から始まります。
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