当サイトではページの一部において、アフィリエイト広告を利用しています

ゆっくりと歩く(Walking slowly):犬のカーミング・シグナル(1)

ゆっくりと歩く(Walking slowly)

  • ほかの犬を見つけると一旦停止する。その後ゆっくりと歩き出し何度か止まりながら相手に近づく
  • ほかの犬に近づくとき正面からまっすぐには近づかない
  • 相手の犬から(仲良くしてくれるかどうか)メッセージを貰うための呼び掛けのポーズ
  • 相手からメッセージが返ってこなければ近づくことはしないのが礼儀
使用頻度★★★★★

カーミング・シグナルとは

犬たちはほかの犬や人とのコミュニケーションにおいて視覚的・身体的なサインであるボディランゲージを通じて自らの感情や意図を伝える能力を持っています。

ボディランゲージの一種

その一つが「カーミングシグナル」(calming signals)と呼ばれるボディランゲージです。

カーミングシグナルは他者とコミュニケーションを図るために犬たちが使う自然なボディランゲージで自分や相手を落ち着かせるための「平和のサイン」です。

ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas(トゥーリッド・ルガース)氏により犬のボディランゲージのうち27~30種類がカーミングシグナルであると定義されました。

このカーミングシグナルは犬の行動学において重要な要素とされています。

平和のサイン

カーミングシグナルはおもに犬がストレスを感じた時や緊張状態にあるとき自分や相手の感情を落ち着かせるために使われます。

緊張状態を軽減し相手との衝突を避けるために使われるボディランゲージの一種です。

犬同士のあいだのみならず飼い主を含む人間や犬以外の動物に対してもこのカーミングシグナルを通じて平和的なコミュニケーションを試みます。

「ゆっくりと歩く」の意味

犬が「ゆっくり歩く」のはリラックスしているからという理由だけではありません。

不安や緊張を緩和したり相手に対して敵意がないことを伝えるための「カーミングシグナル」としても使用されています。

早く動くと警戒される

犬同士が挨拶をする場面や新しい環境に入る場面では素早い動きや突然の行動をとることは相手の不安を煽ります

そして「攻撃しようとしている」と受け取られて諍いが起きてしまいます。

そのため、相手に近づいていくときはわざと動きを遅くすることで相手に対して「仲よくしよう」「落ち着いているよ」「安全だよ」というメッセージを送り警戒心を和らげようとします。

相手を尊重する態度

たとえば、犬同士が出会うとき興奮状態にある人や犬が近くにいるばあい犬は相手に対して不必要な緊張を生まないようにわざと「ゆっくりと歩く」ことがあります。

ゆっくりと歩くことによって相手のスペースを尊重している姿勢を見せることができます。

これが相手に安心感を与え、穏やかな気持ちでいることを意識させる役割を果たします。

類似するカーミングシグナル

また、ゆっくり歩くことと併せて犬が示すカーミングシグナルには以下のようなものがあります。

同時に複数のカーミングシグナルを駆使することで相手に対して確実に自分は敵ではないことを伝えようと努力しているのです。

具体的なシチュエーション

「ゆっくりと歩く」という行動はさまざまな場面で観察されます。

犬たちが具体的にどのような状況で「ゆっくりと歩く」シグナルを発するのか、いくつかの典型的な状況を見てみましょう。

  1. ほかの犬と接近するとき
  2. 見知らぬ人に会うとき
  3. 苦手な場所へ行くとき

1)ほかの犬と接近するとき

散歩中にほかの犬と出会った際、ゆっくりと歩くことで相手の犬に警戒心を与えず友好的な意図を示そうとする場面がよく見られます。

慌ただしい動きではなく穏やかな歩調を保つことによって双方の犬が安全な距離を保ちながら相手の意図を確認することができます。

2)見知らぬ人に会うとき

知らない人と対面する際に犬が少し距離を保ちながらゆっくりと歩み寄っていくことがあります。

これは「完全にウェルカムではない(様子を見たい)があなたに敵意はありませんよ」というメッセージを伝えるためのカーミングシグナルです。

慣れない人に対して敵意がないことを示して安心感を与えようとする行動です。

3)苦手な場所へ行くとき

動物病院など少し緊張する環境に入る際、愛犬の歩みが急にゆっくりになることがあります。

これは「今の状況が少し不安だけど落ち着こうと努力している」という心理を表しているかもしれません。

(状況がゆるすのであれば)本犬が納得して自ら歩みを進められるように少し時間の猶予を与えてあげられると良いです。

この手法はクレートやケージで休めるようにするトレーニングにも使われます。

愛犬がこのシグナルを使ったら?

たとえば散歩中に突然ゆっくりと歩き始めたら「何かに対するカーミングシグナル」の可能性がないかどうか周囲を観察してその理由を読み解きます。

犬は何らかの緊張や不安を感じているかもしれませんし、飼い主に対して「落ち着いて対応してほしい」というサインを送っている場合もあります。

もしカーミングシグナルであると分かればその行動を尊重することが大切です。

焦って「早く歩いて」と引っ張ったりせず犬のペースに合わせて落ち着いて行動しましょう。

つぶやきカーミングシグナルでなく単に散歩を終わらせたくない(まだ家に帰りたくない)という理由でゆっくり歩きだすことのほうが多いかもしれません。

このシグナルを使えない犬は飼い主がフォローする

愛犬がとくに仲良しでもない犬に向かって突進していくばあいは飼い主が誘導して犬社会のルールを守らせる必要があります。

リードで合図を送れば歩くペースを落とすことができるように日ごろから練習をしておき、ゆっくり歩くように指示を出します。

このとき同時に使わせるとよいカーミングシグナルには以下のようなものが挙げられます。

リードで誘導して半円を描くようにして相手に近づいていくと相手の犬はより安心感を覚えます。

相手の犬がこのシグナルを使ったら?

散歩中ほかの犬がこちらに向かって歩いてくる途中でペースをゆっくりにしたら「カーミングシグナル」の可能性があります。

相手の犬が近づくことに対して緊張していることを示しているため、こちらも愛犬が過剰な反応をしないように愛犬にもカーミングシグナルを出させる姿勢が大切です。

たとえば「ゆっくり行こう」と声をかけて愛犬をゆっくり歩かせたり、愛犬と相手の犬が隣同士ですれ違わずに済むように飼い主があいだに入るなどして距離を保たせるなどのフォローをします。

そうすれば、喧嘩に発展させずに犬同士のコミュニケーションをスムーズに行わせることができます。

まとめ:理解と対応

犬の「ゆっくりと歩く」というカーミングシグナルは自分の緊張や不安、相手に対して敵意がないことを伝えるために使われる大切なボディランゲージ(犬語)です。

愛犬がカーミングシグナルを出しているとき飼い主は愛犬の気持ちを尊重した対応をすることが求められます。

また、ほかの犬がこちらに対してこのシグナルを使ってきたときも相手の犬の気持ちを尊重した対応をすることが大切です。

犬のカーミングシグナルを正しく読み取るスキルを身につけて、日常生活のなかでこうしたサインに気づき、犬の気持ちに寄り添うことが愛犬とのより良いパートナーシップの構築につながります。

カーミングシグナル全30種一覧

関連記事
LINEでSuzyに質問!

この記事を読んでもっと知りたいことや疑問が沸いてきたら、以下のページからLINEのお友達登録のうえチャットでSuzyにご質問ください。

Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

関連記事