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歯をカチカチと鳴らす(Tang the Teeth):犬のカーミング・シグナル(18)

歯をカチカチと鳴らす・歯を見せる(Tang the Teeth)

  • 歯をむき出していなければケンカ腰の相手を落ちかせようとするシグナル
  • 首の毛が逆立っていたり歯をむき出している場合は威嚇のサイン
使用頻度★☆☆☆☆(激レア!)

カーミング・シグナルとは

犬たちはほかの犬や人とのコミュニケーションにおいて視覚的・身体的なサインであるボディランゲージを通じて自らの感情や意図を伝える能力を持っています。

ボディランゲージの一種

そのひとつが「カーミングシグナル」(calming signals)と呼ばれるボディランゲージです。

カーミングシグナルは他者とコミュニケーションを図るために犬たちが使う自然なボディランゲージで自分や相手を落ち着かせるための「平和のサイン」です。

ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas(トゥーリッド・ルガース)氏により犬のボディランゲージのうち27~30種類がカーミングシグナルであると定義されました。

このカーミングシグナルは犬の行動学において重要な要素とされています。

平和のサイン

カーミングシグナルはおもに犬がストレスを感じた時や緊張状態にあるとき、自分や相手の感情を落ち着かせるために使用されます。

緊張状態を軽減し相手との衝突を避けるために使われるボディランゲージの一種です。

犬同士のあいだのみならず飼い主を含む人間や犬以外の動物に対してもこのカーミングシグナルを通じて平和的なコミュニケーションを試みます。

「歯をカチカチと鳴らす」の意味

「歯をカチカチと鳴らす・歯を見せる」という行動には以下のような意味が込められていると考えられています。

  1. 緊張や困惑の表れ
  2. 消極的な警告
  3. 自己防衛のアピール

単に前歯を見せるだけのこともあれば、高速で一瞬、歯をカチカチっと鳴らすケースもあります。

とくに前歯を見せるだけのばあいは攻撃性のサインと非常に見分けがつきにくいため飼い主が一見で見抜くことはかなり難しいと言わざるを得ません。

つぶやき以降は「歯を見せる」に統一して記載します。

1)緊張や困惑の表れ

カーミングシグナルとして「歯を見せる」ばあいは、むしろ攻撃を避けたいという気持ちを表しています。

これは緊張や不安が背景にある犬たちが使う表現です。

カーミングシグナルとして「歯を見せる」ばあいは口角が引き伸ばされていたり、耳が後ろに倒れているなどほかのボディランゲージも併せて示されることがほとんどです。

攻撃性との見分け方

攻撃的な意味で「歯を見せる」ときは鼻にシワを寄せて犬歯を見せることが一般的です。

しかし、ときどき前歯を見せる犬もいるため鑑別が難しいのです(とくに柴犬)。

2)消極的な警告

犬が「歯を見せる」仕草は相手に「これ以上近づかないでほしい」「私を脅かさないで」という警告を含んだやや消極的な自己主張として犬たちが発するカーミングシグナルでもあります。

相手に対して防御的な態度の犬が示すことがあります。

3)自己防衛のアピール

犬が「歯を見せる」仕草は犬自身がストレスを感じている状況で「自分はこれ以上ストレスを受けたくない」というアピールでもあり、これもまたカーミングシグナルといえます。

相手に対する威嚇ではなく「ここで止めてほしい」という意思表示です。

類似するカーミングシグナル

また、「歯を見せる」ことと併せて犬が示すカーミングシグナルには以下のようなものがあります。

具体的なシチュエーション

では犬たちが具体的にどのような状況で「歯を見せる」シグナルを発するのか、いくつかのシチュエーションを見てみましょう。

  1. 慣れない相手から接触されたとき
  2. 叱られたり圧力を感じたとき
  3. 身体に触れられたくないとき

慣れない相手から接触されたとき

犬が慣れていない相手(犬)から接触を受けたときに歯を軽く見せて「少し距離を取ってほしい」という意思表示をすることがあります。

叱られたり圧力を感じたとき

飼い主から叱られたり、ほかの犬からのプレッシャーを感じて困惑したときに犬が「歯を見せる」ことがあります。

これは「怖いけれど自分は攻撃するつもりはない」という意思の表れです。

ただし、逆切れして反撃してくる前兆である可能性もあるため見極めは難しいです。

身体に触れられたくないとき

人に対して犬が「歯を見せる」ときは、痛みや不快感を感じる部分を触れられたときなどに「触らないで欲しい」と訴えるためにこの表現方法を使うこともあります。

それでも止めてもらえないときは警告「噛み」に転じる可能性もある

飼い主のとるべき対応

「歯を見せる」行動が愛犬にみられたら飼い主はどうしたらいいでしょうか。

理由を見極める

「歯を見せる」カーミングシグナルを示したときは我慢して乗り越えるべき事柄に対して発しているものなのか、それとも避けてもよい事柄に対して発しているものなのかを飼い主が見極めなければなりません。

我慢して乗り越えるべき事柄のばあい

  • お風呂
  • 抱っこ
  • 爪切り(足ふき)
  • 注射

などの愛犬の命と健康を守るために必要な行為についてはどんなに嫌でも頑張って耐える必要があります。

避けてもよい事柄のばあい

一方で、ドッグランで不特定多数の犬と交流することや、犬社会のルールを無視して近づいてくる犬の相手をすることなどはすべての犬にとって必要なことではありません

このばあいは、無理に愛犬に我慢を強いるのではなくドッグランから出るなどして緊張状態にある場面から環境を移したり、礼儀正しい方法で挨拶ができるように(相手の犬と飼い主に)促すのが正解です。

まとめ:理解と対応

犬の「歯を見せる」という仕草は犬の本能的な行動であり、その行動の背景として考えられる理由はいくつかあります。

そのうちのひとつがカーミングシグナルです。

カーミングシグナルは自分の緊張や不安、相手に対して敵意がないことを伝えるために使われる大切なボディランゲージ(犬語)です。

愛犬がカーミングシグナルを出しているとき飼い主は愛犬の気持ちを尊重した対応をすることが求められます。

また、ほかの犬がこちらに対してこのシグナルを使ってきたときも相手の犬の気持ちを尊重した対応をすることが大切です。

犬のカーミングシグナルを正しく読み取るスキルを身につけて、日常生活のなかでこうしたサインに気づき、犬の気持ちに寄り添うことが愛犬とのより良いパートナーシップの構築につながります。

カーミングシグナル全30種

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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