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犬のことばを理解しよう

犬たちには「犬のことば」があるということは、すでにご存じかと思いますが、ここで改めて犬たちのことば「犬語」について、まとめてみたいと思います。

犬の言葉は世界共通!

私たち人間の世界では国によって使う言語が異なり、ほかの国へ行くと翻訳ツールがなければさっぱり言葉が通じません。

それどころか、こんなに狭い島国ニッポンの中でさえ地方へ行けば各地に方言があり、何を言っているのか分からないことすらあります。

しかし、犬の世界はどこの国へ行ったとしても共通の言語をもっているのです。

このため、たとえば日本に住む犬と、アメリカに住む犬と、ロシアに住む犬がある日突然どこかに集められても、すぐにお互いに意思疎通をはかることが可能です。

そして、すぐに仲間になることができるのです。

誰とでも群れをつくれる「犬」

犬は、自分の種以外の動物とも群れを作ろうとする珍しい動物です。

そして、犬以外の相手にも、犬に対する方法と同じやり方でコミュニケーションをとろうとします。

犬は人の言語を使わないため、アメリカ生まれの犬だって日本語でしつけをすることができますし、日本に住んでいる犬に韓国語でしつけをすることだって可能です。

つぶやきただし、その言語をつかってしつけをする人が、その言語のネイティブであることが条件となります。どれだけ、その言葉に自分の「気持ち」を乗せられるかが重要なのです。

犬と群れになろうとするわれわれ飼い主は、「犬のコミュニケーション方法」と、その「考え方」を学ばなければなりません。

犬のことば「犬語」は、以下の4つに分類することができます。

犬語の分類

  1. 鳴き声
  2. ボディランゲージ
  3. カーミング・シグナル
  4. 態度・行動

鳴き声

鳴き声に分類される犬の言葉には以下のようなものがあります。

人は音声言語を使ってコミュニケーションする生き物なので、犬は吠えるものと思いがちですが、犬にとって音を発するのは、けっこう最終手段です。

われわれ飼い主は犬たちが音を発する前の段階で心の状態に気づけるようになる必要があります。

  1. 吠える
  2. うなる
  3. 遠吠えする
  4. 鼻鳴き
  5. ため息

吠える

吠え方にも種類があり、それによって犬が訴えていることがちがってきます。

うなる

警告の吠えが「唸る」です。

唸り声をあげたら、次は「攻撃」するぞという意思表示です。

この警告の吠えでは鼻や眉間にシワを寄せたり、犬歯を見せるなどのボディランゲージも併せて出しているはずです。

つぶやき唸り声に似た、我慢泣きというのもあります。声は似ていますが、表情が全然違いますので判別できます。

遠吠えする

救急車のサイレンに返事をするように吠える子や、ピアノの練習をしていると歌い出す子などがSNSにたくさん投稿されています。

遠吠えは犬たちがオオカミだった時代の名残として残っている本能的な行動であると考えられています。

犬が一人でお留守番をしていて、飼い主家族を呼び戻すために遠吠えをしてしまうことがあります。

つぶやきすぐに止めるのは難しいですが、飼い主との関係づくりと環境の見直しをしながら、吠えなくても済む精神状態をつくっていくしつけをすることは可能です。

鼻鳴き

子犬のばあいは「甘え」ですが、成犬のばあいは要求吠えであることも多いです。

つぶやきこの「鼻鳴き」の芝居に騙されて、愛犬のいいなりになっている飼い主さんは少なくありません。

ため息

犬もため息をつきます。

そして、ため息をつく理由は、人間とほとんど一緒です。

つぶやき犬のため息、可愛いですよね。なぜだか、みんな、聞かれると恥ずかしそうにします。

ボディランゲージ

犬は音を発するよりも、身体の部位をさまざまに動かして自分の気持ちを伝えています。

犬がボディランゲージに用いる体の部位には以下のようなものがあります。

  1. 尻尾

なお、ボディランゲージについては、以下の記事で詳しく解説しています。

カーミング・シグナル

また、相手と諍いを生まないことを目的として、自分と相手の気持ちを落ち着かせるために発するボディランゲージのことを「カーミング・シグナル」と呼ぶことがあります。

カーミングシグナルの例

  1. ゆっくりと歩く
  2. 体を横に反らす
  3. カーブを描きながら近づく
  4. 横を見る
  5. 尻尾を振る
  6. 座る
  7. どこかに行ってしまう
  8. 前足を上げる
  9. 鼻を持ち上げる
  10. 2頭のあいだを裂く
  11. あくびをする
  12. 身体を振る
  13. 身体を低い位置に落とす
  14. 遊びの誘い
  15. 子犬のように振る舞う
  16. そっぽを向く・頭を動かす
  17. 口元を後ろへ引く
  18. 歯をカチカチと鳴らす
  19. 口と鼻の周りをなめる
  20. 口をパクパクさせる
  21. 背中を向ける
  22. おしっこをする
  23. その場所にいないように振る舞う
  24. 静止
  25. 地面の臭いを嗅ぐ
  26. 伏せる
  27. 顔の向きを変える
  28. 目をそらす
  29. 笑う
  30. 転移行動

カーミングシグナルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

態度・行動

犬たちはボディランゲージや音声のほかにも、態度や行動をとおして自分の気持ちを表現しています。

ここでは、気持ちを表す態度や行動にこだわらず、飼い主さんたちから「これってどういう意味ですか?」とよく質問される行為について紹介し、解説を加えたいと思います。

マーキング

マーキングとは排泄を目的としたオシッコとは異なり、他の犬の排泄跡の臭いを嗅いで、それを上書きするようにオシッコをする行為のことを指します。

縄張りを主張するための行動と考えられています。

マーキングについてもっと知りたい方は以下の記事もご覧ください↓

排泄後、足で地面を蹴る

また、排泄関連では、オシッコやウンチをした後に、地面を後ろ足で蹴る子もたくさんいます。

オス犬に多いですが、女子だってやります。

これもマーキングの一種で、縄張りを主張する行動と考えられています。

マウンティング

マウンティングとは他の犬に後ろから覆いかぶさる行為のことです。

多くの飼い主さんが、オス犬がメス犬に対して行なう行為だと思っていますが、発情中のメス犬に対してオス犬がする場合は繁殖行動で、マウンティング行為とは別の行為となります。

そして、犬の交尾行動はメス優位であり、メスの許可なく勝手に乗っかることはできません。

飼い主さんたちが見かける「マウンティング」の99.9パーセントはオス犬同士の「激しめの遊び」なのです。

自分の優位を示す支配的な行動であり、乗られた側の犬がじっとしていれば服従を示しています。

しかし、上下関係をつけるような荒っぽい遊び方のため、乗られた側の犬がこれを受け入れないばあいは大喧嘩に発展しかねないことから、ドッグランでは他犬にマウンティング行為をしないことがマナーとされています。

マウンティングについての詳細は、以下の記事で解説しています。

執拗に追いかけまわす

ドッグランに行ったことのある飼い主さんは、1頭の犬が他の犬たちにしつこく追い掛け回され、必死で逃げまどっている場面に出くわした経験があることでしょう。

もしかしたら、それは自分の愛犬だったかもしれません。

しつこく追い掛け回すのは、自分の優位を示す支配的な行動で、これにほかの犬がのっかり始めると「集団いじめ」に発展してしまいます。

つぶやきヒートアップする前に、自制できる犬でなければドッグランに入って遊んじゃダメなのです。自制できないなら、飼い主が制御しなければなりません。

このようなとき、カーミングシグナルで「カットイン」してくれる学級委員長タイプの犬がいれば良いのですが、そうでないばあいは早めに飼い主が「カットイン」して、この「集団いじめ」を一刻も早く終わらせなければいけません。

そうしないと、集団で追いかけられた犬は「犬嫌い」になってしまい、ドッグランが嫌いになるだけならまだ良いのですが、お散歩で出くわす犬に先制攻撃をするようになってしまったケースもあります。

物をくわえて頭を振る

くわえてブンブンと振り回す愛犬にぬいぐるみを破壊され、何体も補修してきた飼い主さんは少なくないでしょう。

なぜ、犬たちはあんなに嬉しそうにぬいぐるみを振り回し、目や耳を腕をもぎ取り、中身を出して満足気な顔をしているのでしょうか?

それは、「獲物にとどめをさす行動」の真似事をしているからです。

毎日、獲物を狩らなくても美味しいごはんがもらえる身分ではありますが、狩りの本能がうずうずするのです。

そのため、その本能的欲求を満たすために、ぬいぐるみを獲物に見立てて狩りを楽しんでいるのです。

つぶやき壊されて困るものを使って狩りをされないように、壊していい物を与えてあげましょう。

飛びつき

もともとは子犬が母犬に行う行為から発展した、リーダーに服従の意を表す行動。

ただし、子犬期にのみ許される行為であるため、生後5~6カ月を過ぎてもほかの犬に飛びついていたら大人の犬から叱られます。

つぶやき犬の大小にかかわらず飛びつきは問題行動に発展しがちなため、思春期からは「飛びついてはいけない」ことを教えていきます。

(人の)口のまわりを舐める

もともとは子犬が母犬に行う行為から発展したリーダーに服従の意を表す行動。

人に対して行う場合は服従の挨拶。

過剰にする場合は精神的に不安定になっている。

つぶやき生後6カ月を過ぎても、人の口をやたらとペロペロする犬は精神的に不安定になっています。大人の犬としての振舞い方を教えてやる時期です。

人の足元に寄りかかる

甘えや服従を示すときの行動。

正反対に、自分が上位だと示す場合もある。

つぶやきこれを一般の飼い主さんが判別するのは難しいかもしれません。

自分の体の一部を舐める

  1. 皮膚病やケガなどで違和感を感じていることが原因。
  2. 運動・愛情不足からくるストレスが原因。
つぶやきまずは、1の原因がないかどうかを確認します。とくに原因が見つからなければ、2の原因に心当たりがないかどうかを考えます。とくに、柴犬は2の原因で身体を舐め壊すことが多い傾向があるようです。

同じ場所をグルグルする

運動・愛情不足からくるストレスが原因でイライラしているときの行動。

常同障害(強迫性障害)のひとつとして病名がつくこともあります。

柴犬によく見られます。

自分の尻尾を追いかける

子犬(生後2~3カ月)であれば、尻尾に興味をもっているだけとも考えられますが、成犬になっても行なっているばあいは、不安やストレスが原因でイライラしているときに示す行為かもしれません。

常同障害(強迫性障害)のひとつとして病名がつくこともあります。

柴犬によく見られます。

和犬を洋犬のような飼い方をすると、ストレスでメンタルにさまざまな問題を抱えてしまうことがあるように思います。

和犬は和犬らしさを損なわない飼い方をすることが必要です。

地面におしりをこすりつける

お尻に違和感を感じているため、こすって違和感を解消しようとしている行動。

肛門の周囲に異常がないか確認します。

肛門腺が溜まっていることが多いため、溜まっていたら絞り出します。

つぶやき肛門腺を自分で絞るのが難しいばあいは、動物病院もしくはトリミングサロンで処置してもらって下さい。放置していると肛門腺が破裂してしまい、治療に時間とお金がたくさんかかりますし、愛犬も排泄のたびに大変な痛みを感じます。

ニオイの強いものに体をこすりつける

死んだ生物やほかの犬の排泄物などに身体をこすりつける行動は、もともとは狩りをするときの習性で、自分の臭いを消して変身するときの行動と考えられています。

つぶやき愛犬が若いころ、放置ウンチやら、ミミズの死骸などにスリスリされた、苦い思い出のある飼い主さんは少なくないでしょう。このような事故を防ぐためにも、お散歩中は愛犬と地面を常に視界に入れておくことが重要です。

うずくまったまま動かない

  • 病気・ケガで身体がつらいとき。
  • 過剰な恐怖や不安・ストレスがあるとき。
つぶやき雷や花火など苦手なものを耐えるとき、このような体勢でしのぐことがあります。具合が悪いときはじっと動かずに体力の回復に努めることがありますが、原因が分からないまま長引くばあいは早めに動物病院に連れて行くほうが良いでしょう。

まとめ:めざせ「犬語」マスター

犬語が理解できるようになると、今まで人間側の解釈や都合を一方的に押し付けていたことを反省することになるかもしれません。

しかし、これまで以上に愛犬の気もちが手に取るように分かるようになり、お互いの心の距離がぐっと縮まります。

心の通い合う今より深い関係を愛犬と築くために、愛犬専門の「犬語」マスターになりましょう。

私たちは犬として生まれてこなかったので、残念ながらネイティブにはなれませんが、犬と人間のあいだの通訳ができるようになることができれば、飼い主として十分ではないでしょうか。

つぶやき愛犬だけでなく、すべての犬の犬語マスターになれたその暁には、きっとあなたは「世界のスーパードッグトレーナー」になっていることでしょう。
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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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