- 大抵は好意を表す
- 嫌なら振らない、少し嬉しいときは小さく振る、とても嬉しいときはブンブン振るなど振り方により内容は変化（ボディランゲージの「尻尾」の項参照）
カーミング・シグナルとは
犬たちはほかの犬や人とのコミュニケーションにおいて視覚的・身体的なサインであるボディランゲージを通じて自らの感情や意図を伝える能力を持っています。
犬たちは自分の感情や意思を表すため犬に対しても人に対しても、さまざまなボディランゲージ（含むカーミング・シグナル）を用いて犬ならではのコミュニケーションをしています。身体の複数のパーツを同時に使い、その組み合わせによって複雑な感情を表現しています。また、その感情は瞬時に刻々と変化して...
ボディランゲージの一種
その一つが「カーミングシグナル」（calming signals）と呼ばれるボディランゲージです。
カーミングシグナルは他者とコミュニケーションを図るために犬たちが使う自然なボディランゲージで自分や相手を落ち着かせるための「平和のサイン」です。
ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas（トゥーリッド・ルガース）氏により犬のボディランゲージのうち27～30種類がカーミングシグナルであると定義されました。
このカーミングシグナルは犬の行動学において重要な要素とされています。
犬が身体で自分の気持ちを表す「ボディーランゲージ」のなかには「カーミングシグナル」と呼ばれるカテゴリがあります。 これは犬社会を円滑にするためのとても重要なボディーランゲージになっています。 カーミング・シグナルとは？ ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas（トゥーリッ...
平和のサイン
カーミングシグナルはおもに犬がストレスを感じた時や緊張状態にあるときに自分や相手の感情を落ち着かせるために使用されます。
緊張状態を軽減し相手との衝突を避けるために使われるボディランゲージの一種です。
犬同士のあいだのみならず飼い主を含む人間や犬以外の動物に対してもこのカーミングシグナルを通じて平和的なコミュニケーションを試みます。
尻尾を振る＝喜んでいる？
犬が尻尾を振っていると「喜んでいる」と思われがちです。
しかし、実際には不安や緊張、ストレスを感じているときにも犬たちは尻尾を振ります。
ほかの犬や人に対して「敵意がない」「争いたくない」というメッセージを送るためにも犬はしっぽを振るのです。
このように「尻尾を振る」という行為が単なる喜びの表現でないことを知ることで飼い主は犬の感情や心理を正しく読み取れるようになります。
カーミングシグナルとしての「尻尾を振る」
尻尾の振り方には犬の感情や心理状態が反映されています。
ゆっくり
ゆっくりと穏やかに尻尾を振る場合は、リラックスしていたり相手に対して敵意がないことを示しています。
激しい
一方、激しく尻尾を振る場合は興奮や緊張、あるいは警戒心を示すことが多いです。
たとえば、以下のようなシチュエーションにおいて犬がカーミングシグナルとして尻尾を振ることがよくあります。
愛犬がこのシグナルを使ったら？
犬が尻尾を振っているときはその振り方に注目しつつ全体のボディランゲージを注意深く観察することで犬の感情や心理を理解することができます。
ゆっくり振る
もし愛犬がリラックスした様子で穏やかに振っている場合はそのまま見守り、犬がリラックスした気持ちで過ごせるようにしましょう。
激しく振る
反対に激しく振っている場合は、興奮や緊張の表れかもしれません。
この場合は、犬が安心してリラックスできるよう、ゆっくりと話しかけたり、必要に応じて少し距離を取ることも有効です。
激しい振り方をしている場合は興奮や緊張のサインかもしれません。
このようなときは興奮や緊張の対象となっている対象から少し距離を取り、犬が安心して状況に対処できるよう落ち着かせることが大切です。
相手の犬がこのシグナルを使ったら？
相手の犬が尻尾を振っている場合にも、その振り方を観察して相手の感情を把握することが大切です。
相手の犬が安心して交流できる環境を整えることは犬同士の安全で穏やかな関係を築くために重要です。
ほかの犬と会う際は急に近づけるのではなく、相手の犬の尻尾の振り方を観察しながら少しずつ距離を縮めるようにしましょう。
ゆっくり振っている
穏やかでリラックスした振り方をしている場合は、愛犬を少しずつ近づけることで友好的な関係を築くチャンスです。
激しく振っている
しかし、相手の犬が速く激しく尻尾を振っている場合、興奮や警戒心が含まれている可能性が高いため無理に近づくことは避けたほうが良いです。
尻尾を高く上げていたら
とくに相手の犬が尻尾を高く上げて激しく振っている場合は興奮や警戒を示している可能性が高いため無理な接触を避けるようにします。
このような場面では飼い主同士で少し距離を置き犬が互いにリラックスできるように状況を見守りましょう。
まとめ：理解と対応
「尻尾を振る」という行動は単なる喜びのサインではありません。
犬のさまざまな感情を表現するための重要なコミュニケーション手段です。
自分の緊張や不安、相手に対して敵意がないことを伝えるために使われる大切なボディランゲージ（犬語）である「カーミングシグナル」としても用いられます。
振り方のちがいを見極める
犬がリラックスしているときの尻尾の振り方と緊張や不安を感じているときの振り方のちがいを飼い主が見て区別できるようになることが愛犬を理解し適切な対応をするために非常に重要です。
愛犬がカーミングシグナルを出しているとき飼い主は愛犬の気持ちを尊重した対応をすることが求められます。
また、ほかの犬がこちらに対してこのシグナルを使ってきたときも相手の犬の気持ちを尊重した対応をすることが大切です。
犬のカーミングシグナルを正しく読み取るスキルを身につけて、日常生活のなかでこうしたサインに気づき、犬の気持ちに寄り添うことが愛犬とのより良いパートナーシップの構築につながります。
カーミングシグナル全30種一覧
- ゆっくりと歩く（Walking slowly）：カーミング・シグナル（1）
- 体を横に反らす（Turning the side）：カーミング・シグナル（2）
- カーブを描きながら近づく（Walking in a curve）：カーミング・シグナル（3）
- 横を見る（See the side）：カーミング・シグナル（4）
- 尻尾を振る（Wagging tail）：カーミング・シグナル（5）←このページ
- 座る（Sitting down）：カーミングシグナル（6）
- どこかに行ってしまう（Go away）：カーミング・シグナル（7）
- 前足を上げる（Lifting ones paws）：カーミングシグナル（8）
- 鼻を持ち上げる（Nose up）：カーミングシグナル（9）
- 2頭のあいだを裂く（Going between, splitting up）：カーミング・シグナル（10）
- あくびをする（Yawning）：カーミングシグナル（11）
- 体を振る（Shaking off）：カーミングシグナル（12）
- 身体を低い位置に落とす（Lower the body）：カーミングシグナル（13）
- 遊びの誘い（Going down in play position/ Play Bow）：カーミングシグナル（14）
- 子犬のように振る舞う（Like a puppy）：カーミングシグナル（15）
- そっぽを向く・頭を動かす（Turning the head）：カーミングシグナル（16）
- 口元を後ろへ引く （Lengthen the corner）：カーミング・シグナル（17）
- 歯をカチカチと鳴らす（Tang the teeth）：カーミング・シグナル（18）
- 口と鼻の周りをなめる（Licking nose）：カーミング・シグナル（19）
- 口をパクパクさせる（Gasp the mouth）：カーミング・シグナル（20）
- 背中を向ける（Turning the back）：カーミング・シグナル（21）
- おしっこをする（Peeing）：カーミング・シグナル（22）
- その場所にいないように振る舞う（Acting like nothing happen）：カーミング・シグナル（23）
- 静止（Freeze）：カーミング・シグナル（24）
- 地面の臭いを嗅ぐ（Sniffing the ground）：カーミング・シグナル（25）
- 伏せる（Lying down like the Sphinx）：カーミング・シグナル（26）
- 顔の向きを変える（Turn the face around）：カーミングシグナル（27）
- 目をそらす（Gaze Aversion）：カーミングシグナル（28）
- 笑う（Smiling）：カーミングシグナル（29）
- 転移行動（Re-directional behavior）：カーミング・シグナル（30）
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