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地面の臭いを嗅ぐ(Sniffing the ground):犬のカーミング・シグナル(25)

  • 知らない場所や犬同士出会ったときにする行動
  • 不安や興奮を抑え自分を落ち着かせようとしているシグナル
使用頻度★★★★★

カーミング・シグナルとは

犬たちはほかの犬や人とのコミュニケーションにおいて視覚的・身体的なサインであるボディランゲージを通じて自らの感情や意図を伝える能力を持っています。

ボディランゲージの一種

その一つが「カーミングシグナル」(calming signals)と呼ばれるボディランゲージです。

カーミングシグナルは他者とコミュニケーションを図るために犬たちが使う自然なボディランゲージで自分や相手を落ち着かせるための「平和のサイン」です。

ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas(トゥーリッド・ルガース)氏により犬のボディランゲージのうち27~30種類がカーミングシグナルであると定義されました。

このカーミングシグナルは犬の行動学において重要な要素とされています。

平和のサイン

カーミングシグナルはおもに犬がストレスを感じた時や緊張状態にあるとき、自分や相手の感情を落ち着かせるために使用されます。

緊張状態を軽減し相手との衝突を避けるために使われるボディランゲージの一種です。

犬同士のあいだのみならず飼い主を含む人間や犬以外の動物に対してもこのカーミングシグナルを通じて平和的なコミュニケーションを試みます。

「地面の臭いを嗅ぐ」の意味

犬が「地面の臭いを嗅ぐ」行為はカーミングシグナルの一つであり、不安や緊張、興奮を感じている際に行われる行動です。

この行動は周囲の状況や刺激から意識を外し、気持ちを落ち着かせるための方法として用いられます。

犬にとって嗅覚は非常に重要な感覚であり、地面の臭いを嗅ぐことで「今ここに集中しよう」と自分をリラックスさせ、緊張を和らげる役割を果たしています。

また、このシグナルは相手に対して敵意がないことや、争いを避けたい意思も伝えています。

犬同士や人間に対して「私はあなたに関心がありません」と示すことで、その場の緊張を緩和し、平和的に関係を築こうとする姿勢を示しているのです。

犬にこの行動が見られるときは何らかの形でプレッシャーを感じていることが多いため、飼い主はその意図を汲み取り、状況に応じたサポートを行うことが大切です。

具体的なシチュエーション

では、犬たちが具体的にどのような状況で「地面の臭いを嗅ぐ」シグナルを発するのか、いくつかのシチュエーションを見てみましょう。

  1. 他の犬と出会ったとき
  2. 新しい環境に連れて行かれたとき
  3. 叱られた後や強い刺激を受けたとき

1) 他の犬と出会ったとき

散歩中に他の犬と出会ったとき、犬が急に地面の臭いを嗅ぎ始めることがあります。

これは、相手の犬に対して興味はあるものの、直接的な接触を避けたい気持ちが働いているためです。

こうして緊張や不安を抑えつつ、相手との距離を保ちたいという意図が含まれています。

2) 新しい環境に連れて行かれたとき

動物病院やドッグランのような初めての場所に行ったとき、犬が周囲の臭いを頻繁に嗅ぐことが見られます。

これは匂いを嗅いで情報収集をするという意味合いもありますが、環境に対する不安や警戒心を和らげるためのカーミングシグナルでもあると考えられています。

「この場に慣れよう」「安心しよう」と自分に言い聞かせる行動です。

このような行動を通じて、犬は少しずつ環境に慣れていきます。

3) 叱られた後や強い刺激を受けたとき

飼い主が犬を叱った後や、突然大きな音がしたときなどに犬が地面を嗅ぐことがあります。

この行動は不安や緊張を和らげるためのものです。

とくに愛犬を叱っているときや叱った直後に愛犬がこの行動をとるのであれば「落ち着いて」とか、「争いたくない」といったメッセージを飼い主に対して送っていると考えられます。

叱るときはビシッと短く、そしてしてほしい行動をとらせてほめるのがコツです。

愛犬がこのシグナルを使ったら飼い主はどうすれば良い?

愛犬が地面の臭いを嗅いでいるときは、まずその原因を考えることが重要です。

犬がこの行動をしているときは、環境の変化や他の犬との遭遇など何らかのストレス要因がある可能性が高いです。

つぶやきただし、すべてのストレスが「悪」でありません。あくまでも程度の加減が大事だということです

飼い主は無理に地面の臭いを嗅ぐ行動を止めるのではなく、愛犬がリラックスできるまで様子を見守ることが適切です

つぶやきただし、不衛生な物や危険な物の匂いを嗅ぐのは、カーミングシグナルではないので止めさせます

また、散歩中に他の犬と出会ったときは、愛犬が安全に感じられる距離(パーソナルスペース)を確保し、相手の犬に無理矢理近づけすぎることがないように配慮しましょう

つぶやきただし、最低限の犬同士の挨拶をさせることは飼い主の役目です

このようにして、愛犬が緊張を感じない範囲でのコミュニケーションが取れるよう、リードの持ち方や歩くペースなどにも注意を払うことが大切です。

相手の犬がこのシグナルを使ったら?

相手の犬が地面を嗅ぐシグナルを見せた場合、その犬はこちらに対して緊張やプレッシャーを感じているのだと考えて、無理に接触を強要しないようにすることが重要です。

こちらもカーミングシグナルを出そう

とくにドッグランや公園などで出会った犬が、突然地面の匂いを嗅ぎ始めたら、それはその犬が「あなたたちにゆっくりと慣れていきたい」というサインであることが多いです。

たとえば、自分の犬がその相手に接近しすぎている場合は、リードを短くもち、相手の犬にお尻や背中を向けさせて、相手の犬が安心できるようにします。

相手の犬に安心してもらえる態度(カーミングシグナル)をこちらが示すことで、双方の犬が安心して交流を楽しめる空間を作ることができるのです。

まとめ:理解と対応

「地面の臭いを嗅ぐ」(Sniffing the ground)は犬が自らの気持ちを落ち着かせたり、相手に対して友好的な意図を示すカーミングシグナルです。

このシグナルの意味を理解し、愛犬が感じている緊張や不安を和らげるために配慮することが大切です。

また、相手の犬が「地面の臭いを嗅ぐ」カーミングシグナルをみせたら、その犬の気持ちに寄り添い無理に近づきすぎないようにすることで、犬同士が円滑なコミュニケーションをとることができます。

多くの犬と円滑なコミュニケーションをとる経験を積み重ねることによって、愛犬は心の器の大きな犬に成長します。

カーミングシグナル全30種
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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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