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身体を低い位置に落とす(Lower the Body):犬のカーミングシグナル(13)

身体を低い位置に落とす(Lower the Body)

  • 今にも飛びかかろうといているこの体勢は歓迎・喜び・遊びの誘いのシグナル
  • ただし、ほかのボディランゲージと総合して判断した場合攻撃を表すこともあるので注意
使用頻度★★★☆☆

カーミング・シグナルとは

犬たちはほかの犬や人とのコミュニケーションにおいて視覚的・身体的なサインであるボディランゲージを通じて自らの感情や意図を伝える能力を持っています。

ボディランゲージの一種

その一つが「カーミングシグナル」(calming signals)と呼ばれるボディランゲージです。

カーミングシグナルは他者とコミュニケーションを図るために犬たちが使う自然なボディランゲージで自分や相手を落ち着かせるための「平和のサイン」です。

ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas(トゥーリッド・ルガース)氏により犬のボディランゲージのうち27~30種類がカーミングシグナルであると定義されました。

このカーミングシグナルは犬の行動学において重要な要素とされています。

平和のサイン

カーミングシグナルはおもに犬がストレスを感じた時や緊張状態にあるとき、自分や相手の感情を落ち着かせるために使用されます。

緊張状態を軽減し相手との衝突を避けるために使われるボディランゲージの一種です。

犬同士のあいだのみならず飼い主を含む人間や犬以外の動物に対してもこのカーミングシグナルを通じて平和的なコミュニケーションを試みます。

「身体を低い位置に落とす」の意味

「身体を低い位置に落とす」とは犬が頭と身体の位置を低くして地面に近づける姿勢をとる行動を指していいます。

  1. 狩猟本能の表れ
  2. 服従や謙遜の表現
  3. 警戒や恐怖の表れ

狩猟本能の表れ

獲物を追いかけたり狙ったりする際、身体を低くすることで静かに近づこうとする行動です。

これは犬の祖先であるオオカミの狩猟行動が影響しています。

猟犬タイプの犬種にとくによく見られる行動です。

よくある例

動くおもちゃや鳥、小動物に注意を集中させているとき。

服従や謙遜の表現

自身の身長(体高)を低くみせることで相手に対して「自分に敵意をもっていない」ことや「友好的に関わりたい」という意思を示すカーミングシグナルです。

これは犬の社会的な行動の一環であり、とくに上下関係を意識する場面でよく見られます。

よくある例

  • 初めて会う犬や人に対して近づくとき
  • ドッグランなどで複数の犬の集団に加わるとき

警戒や恐怖の表れ

犬は不安や恐怖を感じているときにも身体を低くします。

そうやって目立たないようにすることで相手や状況から受けるプレッシャーを軽減しようとします。

この行動は自身の緊張を落ち着けるためのカーミングシグナルとも解釈できます。

よくある例

  • 初めて会う犬や人に対して慎重に近づくとき
  • 身を隠す場所はないけれど不安で隠れたいとき

遊びの誘い

身体を低く構える「プレイバウ(Play Bow)」「身体を低い位置に落とす」の一種と考えられます。

このばあいは「いっしょに遊ぼう!」という誘いのサインです。

これについては別記事で詳しく解説します。

類似するカーミングシグナル

また「身体を低い位置に落とす」ことと併せて犬が示すカーミングシグナルには以下のようなものがあります。

同時に複数のカーミングシグナルを駆使することで相手に対して確実に自分は敵ではないことを伝えようと努力しているのです。

飼い主のとるべき対応

犬の「身体を低い位置に落とす」行動に気づいたら、飼い主はその行動の背景にある理由を理解し適切に対応することが重要です。

状況を観察する

犬が身体を低くする行動の背景を理解するには周囲の状況や犬の表情、他の動作(尾の動き、耳の位置など)を観察することが重要です。

まずは、その行動がどのような心情を表したものなのかを判別しなければ飼い主は適切なアクションを起こすことができないからです。

安心できるレベルに調整する

「身体を低い位置に落とす」行為が恐怖や不安から来ている場合は、愛犬がその対象を気にする必要がないと感じられる距離まで飼い主が誘導したり、気にしないように声掛けをすることで愛犬を安心させます。

犬の性格や状況によっては、優しい声かけは犬の不安をいっそう煽ることになるため注意が必要です。

止めるべきか/そのまま見守るべきか

犬が「身体を低い位置に落とす」行為は犬のことばです。

必要があって発しているコミュニケーション行動を無理に止めさせると(とくに犬同士が交流する場面においては)トラブルに発展することもあるからです。

それ以外の理由で「身体を低い位置に落と」しているときはもちろん切り上げて構いません。

狩猟本能の表れとして「身体を低い位置に落と」しているときはそのままにしていると対象(小型犬や鳥、猫など)を襲いかねないからです。

まとめ:理解と対応

「身体を低い位置に落とす」という仕草は犬の本能的な行動であり、その行動の背景として考えられる理由はいくつかあります。

そのうちのひとつがカーミングシグナルです。

カーミングシグナルは自分の緊張や不安、相手に対して敵意がないことを伝えるために使われる大切なボディランゲージ(犬語)です。

愛犬がカーミングシグナルを出しているとき、飼い主は愛犬の気持ちを尊重した対応をすることが求められます。

また、ほかの犬がこちらに対してこのシグナルを使ってきたときも相手の犬の気持ちを尊重した対応をすることが大切です。

犬のカーミングシグナルを正しく読み取るスキルを身につけて、日常生活のなかでこうしたサインに気づき、犬の気持ちに寄り添うことが愛犬とのより良いパートナーシップの構築につながります。

カーミングシグナル全30種

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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