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オリエンタル・メソッドによる犬のしつけ方と欧米式トレーニングのちがい

犬のしつけは、愛犬との生活をより楽しく充実したものにするために欠かせないものです。

しかし、多くの飼い主さんたちが「何を」「どのような方法で」教えれば良いのかということに、悩んでいるのではないでしょうか。

日本では2000年頃より、ご褒美にフードを与えて行う「欧米式ドッグトレーニング」が主流になっています。

しかし、その方法は、フードやオモチャを報酬とすることが難しい犬を改善することが不可能であるという弱点があり、そうした犬の問題を置き去りにしてきました。

また、すでに自然中心主義の思想をもっている日本人が、欧米の動物観によるトレーニング方法を丸ごと取り入れると、犬を人間よりも優位に置く考え方をするようになります。

その結果、飼い主が腫れ物に触るように接する(甘やかす)ことによって犬が精神的に不安定になり、かえって飼い主が手を付けられない状態にしてしまうケースを、Suzyはトレーナーとして数多く取り扱ってきました。

近年ではこうした反省から、盲目的に西洋のやり方を取り入れるのではなく、ローカライズさせたしつけの方法、つまり、東洋思想に基づいたしつけの概念(オリエンタル・メソッド)も、注目を集めています。

コメントじつは、東洋思想をベースにした犬のしつけがじわじわと欧米で人気が出始めています。

オリエンタル・メソッドとは

オリエンタル・メソッドは、仏教由来の東洋思想と、第3世代の認知行動療法をはじめとした科学的根拠に基づく心理学をベースに開発された、日本人にとってなじみやすい犬のしつけ方法です。

この方法は、愛犬が飼い主さんの助けを借りながら感情のコントロールを身につけることによって、コマンドで命令しなくても、自ら考えて、飼い主が困る行動を起こさなくなることを目的とします。

西洋思想と東洋思想のちがい

一般的に世間でよく知られている犬のしつけ方法は、キリスト教に基づいた西洋思想がベースになっています。

西洋思想と東洋思想における基礎となる概念のおもな違いは以下のとおりです。

概念の比較
西洋思想東洋思想
宗教
キリスト教仏教
命の価値
人>犬人=犬
文化
狩猟民族農耕民族
社会規範
個人主義集団主義

西洋思想における犬のしつけ

西洋の宗教観

神はすべての被造物を支配する主権ある力を持っておられます。そして、神を代表して動物を支配する権利を人間にお与えになりました。(創世記1:26)

西洋思想の基礎となっているキリスト教(旧文明期)においては、人間は「特別な存在」であり、それ以外の動物はすべて人間に奉仕する「もの」に過ぎないというという思想が前提にあります。

犬は人間に服従する存在

このため、西洋社会においては、犬も当然ながら人間に仕える存在であると考え、しつけにおいても服従訓練が重視されます。

服従訓練は、飼い主(リーダー)の指示通りに犬の行動をコントロールすることを目的としています。

これらの方法は効果的な場合もありますが、指示を受けていないときの犬の状態を改善する手段としては直接的ではありません。

個人主義

また、欧米は日本と比べて個人の意思を尊重する「個人主義」の社会であるため、訓練に「他者への配慮」という概念は存在しません。

あくまでも、「飼い主自身の都合のために犬をコントロールする」という目的で行ないます。

このため、欧米式のドッグトレーニングでは、ノーリードで公道を歩くことをわざわざ訓練しますし、ヨーロッパでは、石畳の道にたくさんの犬のフンが放置されています。

つぶやきいっぽうで、犬用の水飲み場は、さまざまな場所にしっかりと設置されていたりします。

東洋思想における犬のしつけ

東洋の価値観

一方、東洋思想のもととなる「仏教」の動物観は、キリスト教とは対照的に、すべての存在が平等に価値をもつという考え方をもちます。

仏教は紀元前5世紀にインドで生まれた宗教で、日本には6世紀(奈良時代)に朝鮮半島の百済を経由して伝わり、聖徳太子が積極的に保護したことから急速に広まり、今日に至るまで浸透しています。

仏教では殺生を戒め、生きとし生けるものを尊重する考え方が根底にあり、犬も人間と同じように命を持つ存在として尊重されます。

犬の感情に注目する

このため、オリエンタル・メソッドは西洋思想のように人間に服従させることを目的としません。

犬の気持ちを理解し、共感することによって、犬との信頼関係を築くことを重視します。

犬を指示通りに行動させるのではなく、飼い主自身が犬の行動を観察し、犬の行動の背景にある感情を理解する「犬の気持ちを読む」というスキルを磨くことを第一に考えます。

その結果、犬の側も同じように飼い主の気持ちを理解・尊重し、飼い主が望まない行動をとらなくなると考えます。

集団主義

日本をはじめとする東洋の社会は仏教や儒教の影響をうけた結果、個人の意思より集団の決定を優先する社会となっています。

つまり、個人の意思に関係なく、家族や地域社会などの集団への強い帰属意識を求められる社会で、「近隣社会への配慮」を重要なものと考えます。

このため、公道をノーリードで歩けるようにわざわざ訓練をしませんし、飼い主のマナー(衛生管理や騒音)を重要視します。

オリエンタル・メソッドのメリット

オリエンタル・メソッドには、以下のようなメリットがあります。

  1. 犬のストレスを軽減し、健康寿命を延ばす
  2. 犬との信頼関係を築き、より深いコミュニケーションを実現する
  3. 問題行動の根本原因を解決し、再発を防ぐ
  4. 飼い主自身の心の成長にもつながる

犬のストレスを軽減し、健康寿命を延ばす

犬がどのような状況でも、過剰に感情を高ぶらせることがないように、飼い主とともにさまざまな経験を積ませながら、忍耐力や自制心を養います。

この結果、犬は無用なストレスを感じることがなくなり、その結果、ストレスに起因する病気にかからなくなります。

また、診察や治療に対するストレスも低減するため、治療の効果を最大限に得ることができます。

犬との信頼関係を築き、より深いコミュニケーションを実現する

オリエンタル・メソッドによるしつけにおいて飼い主は、愛犬の表情(ボディランゲージ)から気持ちを読み取り、愛犬が過剰に興奮する前に、適切な対応をして心を落ち着かせます。

正しい方法で不安な気持ちを収めてもらえた犬は、相手のことを信頼し、相手を困らせない自分でありたいと行動するようになります。

この関係に大げさなコマンドやトリーツは不要です。

心の通った自然な関係を築くことができます。

問題行動の根本原因を解決し、再発を防ぐ

飼い主が問題だと思う愛犬の行動の大部分は、過剰に興奮して自制が効かなくなってしまうことに起因しています。

このため、犬が感情をコントロールする力を養い、過剰に興奮せずに対処することができるように、飼い主がその援助をすること自体がトレーニングとなります。

飼い主自身がどのように対処すればよいのかを理解し、実践できるようになれば、同じ状況がおきたときにも、同様に対処することができるようになります。

飼い主自身の心の成長にもつながる

本来その子がもっている個性を尊重し、心穏やかに生活できるよう精神的な援助するなかで、飼い主は自身の感情に向き合うことにもなります。

ただ盲目的に可愛がり過保護にするのではなく、愛犬の行動や気持ちを客観的に評価し、適切な対応を考えることは、人間同士の関わりにおいても役に立ちます。

オリエンタルメソッドによる犬のしつけを実践するなかで、自身の成長を実感する方はとても多いです。

コメント愛犬を客観的に評価することは、飼い主にとって難しいことでもあります。このため、いちどはドッグトレーナーに類する犬の専門家に愛犬を見せて、評価を依頼することをお勧めします。

オリエンタル・メソッドを実践する

オリエンタル・メソッドを実践するには、以下のポイントを意識しましょう。

  1. 犬の気持ちを読むスキルを磨く
  2. 犬を尊重し、共感する
  3. 向き合って、乗り越える
  4. 根気強く、愛情を持って接する

犬の気持ちを読むスキルを磨く

犬の気持ちを読むというのは、根拠なしに人間の感覚で想像することではありません。

犬の表情やボディランゲージの意味を覚え、それを見逃すことなく読む必要があります。

最初から独学ですべてを学習することは難しいため、しつけ教室やプライベートレッスン等で実践を通じて学ぶ必要はあるかもしれません。

犬の動画を見たり、ドッグラン等へ行って実際の様子を見たりしながら、理解を深めていきます。

犬を尊重し、共感する

西洋思想では、犬は人間が目的を達成するための道具という位置づけにあり、「特定の動作をさせる」ことが目的となります。

しかし、東洋思想においては、人も動物もその存在は平等に価値をもつという考えから、「特定の動作をさせる」ことを目的としません。

あくまでも、犬それぞれの個性を尊重したうえで、近隣社会に適応するための術を身につけさせることに特化しています。

そのためには、感情を無視して条件反射的に行動を取らせるのではなく、気持ちを理解し、共感したうえで、「今、あるべき状態」に気持ちを調整することが重要です。

向き合って、乗り越える

マインドフルネス

グーグルなどの先進企業が、従業員のストレス軽減や集中力向上のために研修で導入したことを端緒に、2000年代後半から、欧米のエリート層のあいだで「マインドフルネス」が流行しました。

マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を集中し、湧き上がる思考や感情を客観的に観察する心の状態やそのトレーニングを指します。

これにより、ストレス軽減、集中力向上、感情コントロール力の向上、幸福感の増加、自己認識力の向上などの効果を得ることができます。

また、マインドフルネスよりも、さらに実生活に踏み込む方法に森田療法というものがあります。

森田療法

1919年に日本の精神科医・森田正馬によって創始された「森田療法」という心理療法あります。

森田療法は「あるがまま」をキーワードとして、以下の3つの柱に基づいて行なわれます。

  1. 生活の中の「なさねばならぬこと」から行動する
  2. 症状を「あるがまま」に受け入れる
  3. 自分自身を「あるがまま」に受け入れる

いったん、現状をすべて受け入れると、今までこだわっていた執着を手放すことができ、心に余裕が生まれます。

そして、たとえ苦手なことであっても、生活の中でしなければならないことは、避けるのではなく向き合い、それを克服することが可能になるのです。

苦手を避けるとストレス耐性を弱める

西洋式のドッグトレーニングでは、苦手なものはトリーツなどを見せて気をそらせ、気づかないようにしてやり過ごします。

しかし、オリエンタルメソッドでは、感情のコントロール力を高めながら、苦手と向き合い克服していきます。

なぜなら、ストレスを避ければ避けるほど、ささいなことをストレスと感じるようになり、より一層ストレス耐性を弱くしてしまうからです。

今まで、感情が反応してしまっていた苦手と向き合う経験を重ね、それを乗り越える過程において、飼い主との信頼関係が生まれ、また犬自身の自己肯定感を育み、安定した精神状態をつくります。

根気強く、愛情を持って接する

今まで習慣になっていた不適切な行動をやめ、それを別の行動に置き換えられるようにすることは、なにか特定の動作を覚えさせるよりも、とても時間がかかるかもしれません。

それは、飼い主・愛犬の両方が、今までの習慣を変えなければならないからです。

犬も人間も年齢を重ねるほど、自身の習慣を変えることが難しく、時間がかかるものです。

まとめ

オリエンタル・メソッドは、犬と飼い主の両方が成長できる、画期的な犬のしつけ方法です。

愛犬との絆を深め、より充実した生活を送りたいと願う飼い主さんには、ぜひ試していただきたい方法です。

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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