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犬のカーミングシグナル(28):「目をそらす」行動に込められた心のサインを読み解こう

目をそらす(Gaze Aversion)

  • 目と目があったら喧嘩の合図
  • 嫌だなという意思表示
使用頻度★★★★★

犬と目が合ったとき、ふいに視線をそらされることがあります。

その行動には、私たち人間が見落としがちな深い意味が込められています。

それが、犬の「カーミングシグナル」のひとつ、「目をそらす」(Gaze Aversion)です。

カーミングシグナルとは?

犬は言葉を話せませんが、全身を使ったボディランゲージで自分の気持ちや意思を表現します。

その中でもとくに、相手との緊張を和らげたり、衝突を避けたりするために使われるのが「カーミングシグナル」(Calming Signals)です。

これは、ノルウェーのドッグトレーナー、トゥーリッド・ルーガス氏が提唱した概念で、犬が他の犬や人間と平和的に関わろうとする際に自然と示すサインです。

約30種類あるとされ、犬の社会的な適応能力の高さを示す重要な要素として知られています。

「目をそらす」——最も頻繁に使われるシグナル

その中でも「目をそらす」は使用頻度の高いカーミングシグナルであり、犬同士はもちろん、人に対してもよく使われます。

犬に対して目をじっと合わせる行為は威嚇や挑発と受け取られることが多く、相手に敵意がないことを示すには、視線を外すのが最も安全で効果的なのです。

また、この行動は犬自身が緊張やストレスを感じているときにも現れます。

目をそらすことで、自分の気持ちを落ち着かせようとする自律的な行動でもあります。

類似するシグナル:目まわりの表情に注目

犬は、オオカミよりも表情筋が発達しており、目の周りの表情を駆使して繊細な感情を伝えることができます。

横を見る」「頭をそらす「顔の向きを変える」など、視線や顔の向きに関するカーミングシグナルも多く存在し、「目をそらす」と同様に平和のサインとして機能しています。

どんな場面で使われるのか?

シチュエーション1:初対面の犬に会ったとき

犬同士が初めて出会う場面では、お互いの存在を確認しつつも、「争うつもりはないよ」と伝えるためにどちらか、あるいは両方が目をそらすことがあります。

これは犬にとって非常に自然なコミュニケーションであり、犬たちが相手に安心感を与え、信頼関係の第一歩を築こうとするためにとる行動です。

シチュエーション2:飼い主に叱られたとき

飼い主が犬を叱ったときにも「目をそらす」行動が見られることがあります。

これは「対立したくない」「これ以上はやめてほしい」という犬からのメッセージ。

決して反抗しているわけではなく、むしろ関係を壊したくないという繊細な気持ちの表れです。

シチュエーション3:見知らぬ人が近づいてきたとき

知らない人が犬に接近すると、犬が目をそらすことがあります。

これは警戒心や緊張感を抱きつつも、相手に「自分は敵ではない」ということを伝えようとしているサインです。

見知らぬ存在に対して距離感を保ちたいという犬の意図が見て取れます。

愛犬が目をそらしたとき、飼い主がすべきこと

愛犬が目をそらしたら、まずその場の状況を冷静に見つめ直しましょう。

  • 他の犬が近づいている
  • 見知らぬ人が接触しようとしている
  • 飼い主が声を荒げている

こういったプレッシャーが犬にかかっている可能性があります。

飼い主としては必要以上の接触や強制を避け、犬が安心できる距離を保つことが大切です。

叱っている最中に目をそらされた場合は、それ以上厳しい口調で責めるのではなく、正しい行動をとらせてほめて終わらせるのが信頼関係を壊さないコツです。

つぶやき犬は現行犯で叱らなければ理解できません。くれぐれも、後から叱ることがないように

相手の犬が目をそらしたとき、どう対応する?

ドッグランや散歩中、他の犬が自分の犬に対して目をそらすことがあります。

このとき相手の犬は「敵意がない」「これ以上近づかないで」といった平和的なメッセージをこちらに対して送っているのだと考えましょう。

ここで飼い主がやるべきことは、無理に犬同士を接近させたりせず、リードを少し緩めて様子を見ること。

犬同士が自然なペースで心の距離を縮められるよう配慮することが、トラブルのない穏やかな関係づくりにつながります。

まとめ:「目をそらす」は犬の優しさのサイン

「目をそらす」という行動は、犬が持つ高度な社会性のがなせる業です。

衝突を避け、穏やかな関係を築こうとする意思表示であり、人間に対しても同じよう意味を持って行われます。

飼い主がこのシグナルを理解し適切に対応することで犬との信頼関係はより深まり、愛犬が安心して暮らせる環境が整います。

犬のさりげない視線の動きに注目すること。それが、犬の心に寄り添う第一歩なのです。

カーミングシグナル全30種

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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