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犬のカーミング・シグナル(23)その場にいないふり――「Acting like nothing happened」を読み解く

その場所にいないように振る舞う(Acting like nothing happen)

使用頻度★★★★★

はじめに:「気づかないふり」は犬の平和的な知恵

犬が他の犬や人に出会ったとき、急にそっぽを向いたり、匂いを嗅ぎ始めたり、まるで「その場にいないかのように」振る舞うことがあります。

一見すると「無関心」や「マイペース」に見えるこの行動、じつはカーミングシグナルのひとつである「Acting like nothing happened」(=何も起こらなかったかのように振る舞う)に該当します。

これは、犬が緊張や不安を感じたときに、それを和らげるために使う平和のサインです。

この記事では、「その場にいないふり」に込められた犬の気持ちと、それに対する飼い主の適切な接し方を深掘りしていきます。

カーミングシグナルの基礎知識

カーミングシグナルとは、犬がストレスを感じたときや、他の個体との衝突を避けたいときに発するボディランゲージの総称です。

ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas(トゥーリッド・ルガース)氏が提唱した概念で、「あくび」「目をそらす」「体の向きを変える」「ゆっくり動く」など、30種類近くが知られています。

「Acting like nothing happened」もそのひとつで、場をやわらげるための非常に高度な犬のコミュニケーションスキルです。

「その場にいないふり」が見られるシーン

シーン1:すれ違いざまの他犬との遭遇

お散歩中に正面から犬がやってくると、あなたの犬が急に近くの匂いを嗅ぎ始めたり、反対側を向いて歩き出したりすることはありませんか?

これはまさに「その場にいないふり」です。

「自分は敵意がないよ」「争うつもりはないよ」と相手に伝える、非常に上手な回避方法です。

シーン2:叱られた直後の態度

飼い主に強く叱られた後、犬がそっぽを向いたり、寝転んだり、あくびをするのも同じシグナルの一種です。

これは「もうその話は終わりにしよう」「自分を落ち着けたい」という意思表示。

決して「反省していない」「開き直っている」わけではありません。

シーン3:来客がきたとき

家にお客さんが来た際、しばらくのあいだ部屋のなかをゆっくりと静かにウロウロしてみたり、来客と一定の距離を保った場所で、普段あまり遊ばないオモチャを静かにいじってみたりすることがあります。

これも、来客に対するカーミングシグナルの可能性があります。

「自分は敵意がないよ」「争うつもりはないよ」という静かな歓迎です。

「その場にいないふり」にどう対応するべきか

「その場にいないふり」は、犬が自分自身を守り、相手との摩擦を避けるための高度なコミュニケーションです。

これを無理に止めたり、「ちゃんと挨拶しなさい」などと矯正しようとするのは、犬の気持ちを無視することになってしまいます。

以下のポイントを参考に、犬の気持ちを尊重した接し方を心がけましょう。

そっとしておく

匂いを嗅いだりそっぽを向いたりしているときは、無理に声をかけずその行動を邪魔しないようにしましょう。

周囲の状況を観察する

愛犬が何に反応して「その場にいないふり」をしているのかを見極めることで、今後の対処にもつながります。

気持ちが落ち着くまで待つ

犬自身が「落ち着けた」と感じるまで、干渉せずに時間を与えることが大切です。

つぶやきただし、「散歩から帰りたくない」など別の理由から行っているものだとしたら諦めさせる必要があります。見守り、待ってあげるのは、あくまでも対犬コミュニケーションとしての「その場にいないふり」の場合です

「その場にいないふり」をする犬に会ったら?

ドッグランやお散歩中に「Acting like nothing happened」をしている犬を見かけたら、むやみに近づいて行ったり、犬同士を接触させるのは控えましょう。

その犬は今、ストレスや不安を感じていて、「そっとしておいてほしい」と伝えている状態かもしれません。

以下のように対応してあげることが望ましいです。

こちらへの興味の有無を判断する

相手の犬の表情、動き、耳や尾の位置などを観察して、接触を避けるべきか判断します。

経験不足でほかの犬に興味があるのにうまくかかわることができない犬もたくさんいます。

そうした犬に他犬とかかわるきっかけを与えてあげることができると素晴らしいです(上級テクニックが求められますが)。

距離を取る

もし、こちらに対して興味がなければ、相手のパーソナルスペースを尊重して、そっとその場から離れます。

まとめ:「その場にいないふり」は勇気ある選択

犬が見せる「Acting like nothing happened」は、決して「無関心」ではありません。

それはむしろ、「争いたくない」「平和的にすれ違いたい」という明確な意思表示です。

一見、コミュニケーションとは無関係に思えるこの行動を見逃すことなく読み取れるかどうかは、飼い主の知識と観察力にかかっています。

犬たちの発する繊細なサインに気づきそれを尊重することができれば、愛犬はもっと安心してあなたのそばにいられるようになるでしょう。

犬たちの「言葉」を受け取る力を育て、心の通ったパートナーシップを築いていきましょう。

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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