当サイトではページの一部において、アフィリエイト広告を利用しています

2頭のあいだを裂く(Going between/ Splitting up):犬のカーミング・シグナル(10)

2頭のあいだを裂く(Going between/ Splitting up)

  • 争いを仲裁する行為
  • ほかの2頭が近づきすぎると距離を保ちケンカをしないよう促す行為
  • 人間同士がくっついているときも同じ行動をする
使用頻度★★★☆☆

カーミング・シグナルとは

犬たちはほかの犬や人とのコミュニケーションにおいて視覚的・身体的なサインであるボディランゲージを通じて自らの感情や意図を伝える能力を持っています。

ボディランゲージの一種

そのひとつが「カーミングシグナル」(calming signals)と呼ばれるボディランゲージです。

カーミングシグナルは他者とコミュニケーションを図るために犬たちが使う自然なボディランゲージで自分や相手を落ち着かせるための「平和のサイン」です。

ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas(トゥーリッド・ルガース)氏により犬のボディランゲージのうち27~30種類がカーミングシグナルであると定義されました。

このカーミングシグナルは犬の行動学において重要な要素とされています。

平和のサイン

カーミングシグナルはおもに犬がストレスを感じた時や緊張状態にあるとき、自分や相手の感情を落ち着かせるために使用されます。

緊張状態を軽減し相手との衝突を避けるために使われるボディランゲージの一種です。

犬同士のあいだのみならず飼い主を含む人間や犬以外の動物に対してもこのカーミングシグナルを通じて平和的なコミュニケーションを試みます。

「2頭のあいだを裂く」の意味

「2頭のあいだを裂く」とは犬がほかの2頭の犬や人間のあいだに入ることで2頭(人)の緊張や対立を和らげようとする行動を指していいます。

あいだに割って入る

犬は対立や不安な状況を感知するとそのあいだに自分が割り込むことで状況を落ち着かせようと考え行動します。

この行動を指して「2頭のあいだを裂く」と称しますが英語を直訳した日本語なので具体的に行動をイメージしづらいでしょう。

日本人にとっては「あいだに割って入る」と表現したほうが状況を理解しやすいと思います。

つぶやき以降は「2頭のあいだを裂く」「あいだに割って入る」と表します。

具体的なシチュエーション

「あいだに割って入る」という行動はさまざまな場面で観察されます。

犬たちが具体的にどのような状況で「あいだに割って入る」カーミングシグナルを使うのか。

よく見られる4つの状況を以下に挙げます。

  1. 犬同士が喧嘩しているとき
  2. ソファに並んで座っているとき
  3. 夫婦で言い争っているとき
  4. 子どもを叱っているとき

1)犬同士が喧嘩しているとき

ドッグラン

2頭の犬が接近して喧嘩を始めそうなときに、1頭の犬があいだにカットインして2頭の気をそらし、それ以上興奮をエスカレートさせないようにすることがあります。

散歩中

2頭の犬同士がお互いに正面を向いて対峙して挨拶しようとしているときに、向き合った犬たちのあいだに割り込んで先に挨拶をしようとする犬がいます。

これは顔から始める挨拶が犬社会の礼儀に反している方法であり、その2頭の挨拶が喧嘩に発展するかもしれないと考えた別の犬がこの状況を落ち着かせようとして行った行為です。

リーダーの資質

不特定多数の犬のあいだの緊張状態を解くために自分が出ていくというのは、自分の身を危険にさらす行為でもあります。

自分の身を顧みずに犬同士の諍いを収めることはすべての犬ができる行動ではありません。

群れで生活してきた経験があるなど全体を俯瞰して状況を観察することができるリーダー気質をもった犬がよく使うカーミングシグナルです。

つぶやきSuzyのところへきた宮古の犬たちのなかでは「タラ氏」と「マミー」がこれを使える気質を備えた犬でした。

2)ソファに並んで座っているとき

家族が並んでソファでに座ってテレビを観ているときなどに「隣同士に座っていたら愛犬があいだに座って来た」という経験をしたことがあるかもしれません。

犬同士はお互いの距離が近すぎると喧嘩になりやすいことから犬目線で見たら人間同士が近づきすぎて「ケンカになるかもしれない」と考えるためです。

3)夫婦で言い争っているとき

夫婦が真剣に話している(または口論している)と愛犬が二人のあいだに入って注意を引こうとすることがあります。

これも、ふたりの語気の強さや表情などから双方の感情が穏やかでないと察知した犬があいだに入ることで緊張を解こうとしているものです。

このときに申し訳なさそうな顔をしたり、わざとおどけて見せたり、吠えたりするなどその犬の性格に応じたプラスアルファのアピールをするはずです。

4)子どもを叱っているとき

飼い主が子どもやほかの犬を叱っているときに、叱っている飼い主と叱られている子ども(や犬)のあいだに割って入り叱られている側を守ろうとする犬もいます。

これも「これ以上叱らないで欲しい」「落ち着いてほしい」という犬のカーミングシグナルです。

このときカーミングシグナルを出した犬は守りたいほうに背を向けています

つぶやき飼い主に代わって叱りなおす犬もいます。犬の家族愛(群れに対する貢献意欲)は本当に素晴らしいです。

飼い主のとるべき対応

誰かと誰かの「あいだに割って入る」行動が愛犬にみられたら飼い主はどうしたらいいでしょうか。

喧嘩を止めたことを褒めよう

犬どうしのあいだに割って入ったとき、飼い主は「遊びを邪魔した」と勘違いして叱ることがあります。

しかし「あいだに割って入る」行動は自分の身を挺して喧嘩を防いだというのが本当のところです。

ここは叱らずに誉めてあげたいところです。

つぶやきただし、喧嘩を仲裁した後に自分が制裁を加えたがる犬もいますし、また仲裁に入った犬ともう1頭がケンカを始めてしまうこともあります(ミイラ取りがミイラ現象)。そうならないように飼い主が責任をもって愛犬の行動をきちんとコントロールしなければなりません。

飼い主も使えるカーミングシグナル

「あいだに割って入る」行動はわたしたち人間が犬に対して「落ち着いてほしい」「ケンカはダメだよ」というメッセージをおくることにも使えます。

もともと「犬のことば」なので人間の言葉で伝えるよりも犬たちにとってうんと理解しやすいのです。

ドッグランで

たとえば、犬同士の遊びがエスカレートしすぎて喧嘩になりそうなときに飼い主があいだに割って入ってお互いに距離をとらせることでクールダウンさせることができます。

飼い主がこれをできるようになれば、噛み合いの喧嘩になる前に喧嘩を仲裁することができるようになります。

つぶやきただし、噛み合いに発展してからあいだに入ると自分が噛まれてしまうため危険です(あいだに割って入るのが遅すぎたということです)。

散歩中に

また、散歩中にほかの犬とのすれ違いざまに吠えたり・吠えられたりしそうな状況であれば、愛犬と相手の犬のあいだ側に飼い主が立ってすれ違うことで、同じ距離でも落ち着いてやり過ごすことができたりします。

まとめ:理解と対応

「あいだに割って入る」というカーミングシグナルは犬たちがほかの犬や人間とのコミュニケーションを円滑にし、緊張や対立を避けるために使われる大切なボディランゲージ(犬語)です。

愛犬がカーミングシグナルを出しているとき飼い主は愛犬の気持ちを尊重した対応をすることが求められます。

また、ほかの犬がこちらに対してこのシグナルを使ってきたときも相手の犬の気持ちを尊重した対応をすることが大切です。

犬のカーミングシグナルを正しく読み取るスキルを身につけて、日常生活のなかでこうしたサインに気づき、犬の気持ちに寄り添うことが愛犬とのより良いパートナーシップの構築につながります。

カーミングシグナル全30種
関連記事
LINEでSuzyに質問!

この記事を読んでもっと知りたいことや疑問が沸いてきたら、以下のページからLINEのお友達登録のうえチャットでSuzyにご質問ください。

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

関連記事