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犬のカーミングシグナル(29)笑う――犬が見せる“スマイル”に込められた本当の気持ち

笑う(Smiling)

  • 人でいうところの愛想笑いをする犬もいる
  • 目と口と耳の位置や尻尾などの状態を総合的に観察すれば本当の笑顔か愛想笑いか判断できるが初見で判断するのは難しい
使用頻度★★★☆☆

はじめに:犬の「笑顔」は喜びのサイン?

犬が口角を上げて歯を見せるような表情をすると、多くの飼い主は「うちの子、笑ってる!」「楽しそう!」と感じることでしょう。

確かに犬の「スマイル」は人間の笑顔に似ていて愛らしく、ついこちらも笑顔になります。しかしこの仕草は単純な喜びの表現とは限りません。

この記事では、犬が見せる「笑う」(Smiling)という表情の背後にある本当の気持ちや、その読み取り方、飼い主としてどう接するべきかを詳しく解説していきます。

カーミング・シグナルとは?

犬たちは言葉の代わりに身体を使った「ボディランゲージ」によって、他の犬や人間とコミュニケーションをとります。

なかでも「カーミング・シグナル」は、自分や相手の気持ちを落ち着かせるために用いるボディランゲージの一種で、相手との衝突を避け、平和的に状況を和らげようとする犬の行動です。

「笑う」という行為の一部も、このカーミング・シグナルの一種と考えられています。

「楽しい」とは限らない?

私たち人間にとって笑顔はポジティブな感情の象徴ですが、犬にとっての笑顔(スマイル)は、必ずしもそうとは限りません。人間でいうところの「愛想笑い」や「営業スマイル」に近いかもしれません。

犬は上下関係や社会的な緊張を和らげる目的でも「笑う」ことがあるため、その意味を理解するには文脈をしっかり見定める必要があります。

ですから、犬が笑っているように見えたときには、状況や犬のボディランゲージ全体を読み取ることが大切です。

緊張をやわらげたいとき

たとえば、犬が知らない人や犬に会った際、緊張感を和らげるために「私は敵意はありませんよ」と伝えるため口角を上げて見せることがあります。

この時、犬は相手に対して友好的であることを示し、敵意がないことを伝えようとしています。

服従のサインとして

「あなたの方が上ですよ」「私は従いますよ」といった気持ちの表現としても使われる場合があります。

これは“サブミッシブ・スマイル”(submissive smile)とも呼ばれます。

飼い主のストレスを感じたとき

飼い主が怒ったり、ストレスを感じているときに、愛犬が「落ち着いてください」となだめる意図で笑うこともあります。

これは、飼い主の感情に反応しているだけでなく、自分自身の不安を和らげるための行動でもあります。

どんな「笑顔」がカーミング・シグナル?

犬の「カーミング・シグナル」としての笑顔には一般的に以下のような特徴があります。

  • 口角が異様に上がっている
  • 唇が引かれて前歯が見えている
  • 舌先の横幅が膨らんでいる(ヘラ型の舌)
  • 目を細めてあまり見ないようにしている
  • 尻尾を振っている場合もある

ただし、犬種によって顔つきが大きく異なるため画一的に定義することはできないのが難しいところです。

つぶやきもともと口角の上がった顔つきをしている犬種(サモエドやラブラドールなど)は判別が難しいです

飼い主がすべき対応とは?

では、愛犬のスマイルを見たとき、飼い主はどのようにすればよいでしょうか・

すぐに「喜んでいる」のだと決めつけない

これまで説明したように、笑顔だからといって必ずしも喜んでいるとは限りません。

まずは、その表情の背後にある感情を丁寧に読み取る姿勢が大切です。

他のボディランゲージとセットで見る

カーミングシグナルの「笑顔」は、他のボディランゲージと組み合わせて表わされることが多いです。

たとえば、犬が微笑むと同時に耳を後ろに倒したり、尾を低く振ったりすることがあります。

これらの行動は犬の意図をさらに強調する役割を果たします。

これらのシグナルを組み合わせて観察することで、犬の感情や意図をより正確に理解することができます。

圧をかけない/落ち着かせる

犬が「笑顔」を見せたときに、それが緊張や不安のサインである場合、無理に近づいたり触れたりするのは避けましょう。

また、緊張の原因から距離をとらせて落ち着かせることが有効なこともあります。

他犬がスマイルを見せてきたときは?

ドッグランなどでが不自然なほど笑顔の犬がいたら、それは「友好的に見せたい」「争いたくない」というサインを必死で表現しているかもしれません。

自分の愛犬がその犬の緊張を高めている(近づきすぎる、しつこく付きまとう、執拗に追いかけるなど)様子なら、呼び戻して距離を取ってあげるのもひとつの方法です。

つぶやき不特定多数の犬がいる場所では、飼い主は愛犬から目を離さずに常に視界に入れて状況を把握しておく必要があります。間違っても愛犬に背を向けたまま世間話に花を咲かせてはいけません。

まとめ:犬のスマイルに込められた“平和の知恵”

犬の「笑う」というしぐさには、じつにさまざまな意味が込められています。

喜びだけでなく、緊張や服従、場を和ませたいという思いが隠れていることもあるのです。

飼い主としては、その一瞬の笑顔を見逃さず、「どんな気持ちでそうしているのか?」という視点を持つことが大切です。

カーミングシグナル全30種

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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