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口元を後ろへ引く(Lengthen the Corner):犬のカーミング・シグナル(17)

口元を後ろへ引く・口角を引き伸ばす(Lengthen the Corner)

  • 犬と犬との顔が見合ったときに交わされるシグナル
  • 敵意がない・軽い服従を表す行動
使用頻度★★☆☆☆(珍しいというよりも飼い主が気づきにくいという意味で★2つにしました)

カーミング・シグナルとは

犬たちはほかの犬や人とのコミュニケーションにおいて視覚的・身体的なサインであるボディランゲージを通じて自らの感情や意図を伝える能力を持っています。

ボディランゲージの一種

その一つが「カーミングシグナル」(calming signals)と呼ばれるボディランゲージです。

カーミングシグナルは他者とコミュニケーションを図るために犬たちが使う自然なボディランゲージで自分や相手を落ち着かせるための「平和のサイン」です。

ノルウェーのドッグトレーナーであるTurid Rugaas(トゥーリッド・ルガース)氏により犬のボディランゲージのうち27~30種類がカーミングシグナルであると定義されました。

このカーミングシグナルは犬の行動学において重要な要素とされています。

平和のサイン

カーミングシグナルはおもに犬がストレスを感じた時や緊張状態にあるとき、自分や相手の感情を落ち着かせるために使用されます。

緊張状態を軽減し相手との衝突を避けるために使われるボディランゲージの一種です。

犬同士のあいだのみならず飼い主を含む人間や犬以外の動物に対してもこのカーミングシグナルを通じて平和的なコミュニケーションを試みます。

「口元を後ろへ引く」の意味

「口元を後ろへ引く・口角を後方に引き伸ばす」という行動には以下のような意味が込められていると考えられています。

  1. 緊張や不安
  2. 攻撃を避けたい
  3. 自己防衛
つぶやき以降は「口元を後ろへ引く・口角を引き伸ばす」を「口角を引き伸ばす」に統一して表記します。

1)緊張や不安

犬が「口角を引き伸ばす」仕草は緊張や不安を感じていることを示すカーミングシグナルです。

この動作は「怖い」「困惑している」といった感情の表れであり攻撃の意思はないことを伝えています。

知らない人に触られるときなど

見知らぬ人が近づいたり触れようとしたりするときに、不安を和らげるためにこの行動が現れることがあります。

2)攻撃を避けたい

また「口角を引き伸ばす」のは犬が相手に対して「争いたくない」「私は無害です」といったメッセージを伝えるためのカーミングシグナルでもあります。

例)ほかの犬と接触するとき

犬同士が近距離で接触する際に、緊張している一方がこのカーミングシグナルを見せることがあります。

近すぎる相手との緊張状態を緩和しようとする行動と考えられます。

3)自己防衛

「口角を引き伸ばす」という動作は犬が自身の気持ちを落ち着かせるセルフカーミングの一種でもあります。

不安やプレッシャーを感じたときにこの仕草をみせることがあります。

例)苦手なものを我慢するとき

お風呂や爪切り、注射など嫌だけれど逃れられないことに対応している最中「口角を引き伸ばす」表情を見せることがあります。

飼い主のとるべき対応

「口角を引き伸ばす」仕草はカーミングシグナルの一種ですが強い緊張や恐怖に繋がっている場合もあります。

とくに口角を引き伸ばすだけでなくほかのカーミングシグナルやボディーランゲージ(目を細める、体を小さくするなど)においても恐怖や緊張を表している場合は犬がかなりのストレスを感じている可能性が高いため飼い主は注意して見る必要があります。

状況を見極める

愛犬が「口角を引き伸ばす」カーミングシグナルを示したときは我慢して乗り越えるべき事柄に対して発しているものなのか、それとも避けてもよい事柄に対して発しているものなのかを飼い主が見極めなければなりません。

我慢して乗り越えるべき事柄のばあい

  • お風呂
  • 抱っこ
  • 爪切り(足ふき)
  • 注射

などの愛犬の命と健康を守るために必要な行為についてはどんなに嫌でも頑張って耐える必要があります。

避けてもよい事柄のばあい

一方で、ドッグランで不特定多数の犬と交流することや、犬社会のルールを無視して近づいてくる犬の相手をすることなどはすべての犬にとって必要なことではありません。

このばあいは、無理に愛犬に我慢を強いるのではなくドッグランから出るなどして緊張状態にある場面から環境を移したり、礼儀正しい方法で挨拶ができるように(相手の犬と飼い主に)促すのが正解です。

まとめ:理解と対応

犬の「口角を引き伸ばす」という仕草は犬の本能的な行動であり、その行動の背景として考えられる理由はいくつかあります。

そのうちのひとつがカーミングシグナルです。

カーミングシグナルは自分の緊張や不安、相手に対して敵意がないことを伝えるために使われる大切なボディランゲージ(犬語)です。

愛犬がカーミングシグナルを出しているとき飼い主は愛犬の気持ちを尊重した対応をすることが求められます。

また、ほかの犬がこちらに対してこのシグナルを使ってきたときも相手の犬の気持ちを尊重した対応をすることが大切です。

犬のカーミングシグナルを正しく読み取るスキルを身につけて、日常生活のなかでこうしたサインに気づき、犬の気持ちに寄り添うことが愛犬とのより良いパートナーシップの構築につながります。

カーミングシグナル全30種

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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