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オヤツを使ったトレーニングの問題点5つ

犬のしつけの本を読むと、ほぼ100パーセントの確率で「ご褒美にオヤツをあげましょう」と書いてあります。

オヤツを使ったトレーニングは犬のモチベーションを高め、効率的に学習を進めることができる有効な方法のひとつです。

オヤツを使ったトレーニングの問題点5つ

しかし、いくつかの問題点も存在するため、犬のしつけでご褒美にオヤツを使おうとする飼い主さんは注意が必要です。

おもな問題点5つとその回避策についてご紹介します。

その1. 依存性

オヤツを常に与えることで、犬はオヤツがないと行動しなくなる可能性があります。

これは、犬が行動の目的を「指示に従うこと」から「オヤツをもらうこと」へとすり替えてしまうためです。

これにより、犬は飼い主の指示に従っているのではなく、オヤツに従っている状態になってしまうのです。

その2. 誤った行動の強化

オヤツを使ったトレーニングはタイミングや与え方に誤りがあると、犬の望ましくない行動を強化してしまう可能性があります。

たとえば、吠えた時にオヤツを与えてしまうと、犬は吠えればオヤツがもらえるのだと学習してしまいます。

その結果、吠えなくなるどころか余計に吠えることになってしまうのです。

コメントそして、多くの飼い主が愛犬に対して「ウチの犬はバカ」というレッテルを貼ってしまいます。

その3. 不健康な食生活

細かく切ったジャーキーや小粒のクッキーなどが、トレーニングのご褒美としてよく用いられます。

与えるオヤツの種類や量によっては、犬の健康に悪影響を与える可能性があります。

トレーニングのためであっても、愛犬に高カロリーなオヤツを頻繁に与えていると、肥満や糖尿病などのリスクが高まります。

その4. 栄養バランス

また、オヤツばかり与えていると、オヤツで食欲が満たされてしまい、主食(総合栄養食)から必要な栄養素を摂取できなくなる可能性があります。

オヤツはあくまでも補助的なものとして与え、主食とのバランスを意識することが重要です。

つまり、1日に与えられる量のオヤツはごくわずかです。

そのオヤツをすべてトレーニングのご褒美に使っても、すぐに使い切ることになります。

オヤツをご褒美にしていたら、トレーニングが進まないか、トレーニングを進めるためにオヤツの量を増やして健康を損ねることになります。

その5. 訓練の汎化性の低下

オヤツに頼ったトレーニングを受けた犬は、オヤツがない状況では学習した行動を実行できない可能性があります。

訓練の汎化性を高めるためには、オヤツ以外の報酬を活用することが重要です。

汎化とは、言い換えると一般化・普遍化するということです。

より、簡単に言い換えると、覚えた行動をさまざまな場面に応用できるようになるということです。

このため、ご褒美にオヤツを使ったトレーニングでは、徐々にご褒美にオヤツをなくしていき、最終的にはご褒美のオヤツがなくてもできるように仕上げるところまでできてはじめて、その課題を達成できたといえます。

しかし、この過程のなかで、間欠的に報酬を与えていく(もらえるときもあれば、もらえないときもある)ため、犬は非常に混乱し、オヤツへの執着が高まり、強いストレスを受けます。

飼い主は愛犬のこの混乱をみて、オヤツなしの状態へ切り替えることに対して心理的に抵抗が生じ(可哀そうだと思ってしまう)、いつまでたってもご褒美のオヤツを与え続けてしまいます。

その結果、オヤツがなければいうことを聞かせられない関係に留まり続けてしまうのです。

最初から、オヤツではなく、飼い主がいつでも・いくらでも与えられ、大量に与えても愛犬の健康を損なうことのない「誉め言葉」をはじめからご褒美として使っていれば、トレーニングの過程で無駄に犬を混乱させずに済んだはずなのに、飼い主(またはドッグトレーナー)が目先の分かりやすい成果を求めた結果、後から愛犬の心を傷つけてしまうことになるのです。

オヤツの取り扱い方

もし、どうしてもオヤツを使ってトレーニングをするならば、以下の工夫をしながら使っていかなければいけません。

  1. オヤツはあくまでも補助的な役割として使う
  2. タイミングと与え方に注意する
  3. 主食とのバランスを意識する
  4. 犬の健康に配慮したオヤツを選ぶ

オヤツはあくまでも補助的な役割として使う

芸などの動作を教えるトレーニングにおいて、最初に教えたい動きを理解させるための道具(ルアー)として使うのであれば、犬の理解が早まるので良いと思います。

しかし、動きを理解した後もなお、できたことの報酬としていつまでもオヤツを使ってしまうと、先に挙げた問題点の影響が出てしまいます。

あくまでも、Doのトレーニング(動作を教える)ときの導入においてオヤツを使用することをお勧めします。

タイミングと与え方に注意する

先述のタイミングで与えるオヤツとは別に、飼い主の意図した行動がとれたときに与えるご褒美としてオヤツを使うばあいは、行動ができたら1秒でも早くご褒美を与えなければいけません

犬はヒトよりも短期記憶が苦手なため、何分も経ってからオヤツをもらっても、犬は「何に対するご褒美としてもらえたオヤツなのか?」を理解することができないからです。

1秒でも早く行動を褒め、動作を覚えさせる方法として、「クリッカー・トレーニング」という方法があります。

クリッカーという、ボタンを押すとカチッと音が鳴る道具を使う方法です。

事前に、音を鳴らしてすぐにオヤツをあげることを繰り返し、犬に「クリック音=ご褒美(オヤツ)」と覚えさせたうえで実施します。

意図した動作ができた瞬間にクリッカーを鳴らし、その後にオヤツを与えます。

クリッカーでは、飼い主の見極めとクリック操作にかかる反応の速さの分しか時間がかからないため、0コンマ何秒のレベルで早く正しい点をマークすることができます。

これによって、かなり精密な動きを効率よく覚えさせることができます。

主食とのバランスを意識する

ここまで、トレーニングのご褒美において「オヤツ」を使用することについて言及してきましたが、これは、「トレーニングの報酬(ご褒美)として食べ物(フード)を使う」ということです。

このため、主食のほかにオヤツを与えて栄養バランスを崩すことが心配であれば、朝晩の食事で毎日食べているドッグフードをトレーニングのご褒美として使用することもできます。

犬の食事は必ず食器に入れて与えなければいけないわけではありません。

トレーニングのご褒美として1粒ずつ与えても良いのです。

食いしん坊で、いつでもなんでも食べたがる犬に対しては有効な方法です。

ただし、日ごろから食が細かったり、フードを選り好みするタイプの犬は日ごろ食べているドッグフードをご褒美として使用しても、報酬として機能しないかもしれません。

いつも食べているドッグフードより美味しい物でなければモチベーションが上がらないのです。

その場合は、トレーニングのご褒美専用にオヤツを用意しなければならなくなってしまいます…。

また、過剰に興奮したり怯えている犬は、ご褒美として食べ物を与えられても口にする余裕がないことも少なくありません。

犬の健康に配慮したオヤツを選ぶ

人間同様、犬の身体も口にした食べ物からできています。

また、身体と心は密接に関連しており、心の状態にも食べ物が少なからぬ影響を与えています。

しかも、家庭犬のばあいは「飼い主が選んで与えたもの」しか口にしません

愛犬の心身の健康を守るために、オヤツについてもある程度の質を考えて使ったほうが良いでしょう。

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オヤツから脱却する方法

  1. オヤツ以外のご褒美を取り入れる
  2. 犬のモチベーションを高める工夫をする
  3. 犬とのコミュニケーションを大切にする

オヤツ以外のご褒美

オヤツ以外のご褒美には以下のようなものがあります。

  • 声をかける(褒める)
  • 撫でる
  • 一緒に遊ぶ(オモチャを与える)

これらの方法は、犬にとってオヤツと同じ、あるいはそれ以上の価値をもつことが分かっています。

上記に挙げたご褒美は、何度与えても健康に害を及ぼさないため、トレーニングに無制限に使うことができます。

ただし、オモチャについては飼い主の身体から無限に出せるものではありません。

このため、オモチャをご褒美にすることは、オヤツ同様に「それがないということを聞かない」という結果を生みがちです。

せっかくならば、「褒める」と「撫でる」をご褒美にしたいものです。

犬のモチベーションを高める工夫をする

また、トレーニングに対する犬のモチベーションを高めるためには、以下の点に留意してトレーニングを工夫する必要があります。

  1. 短時間で終わらせる
  2. 難易度を調整する
  3. 犬の好きなことを取り入れる

短時間で終わらせる

犬が集中できる時間は、人間と比べてうんと短いことが知られています。

このため、飼い主が意気込むあまりトレーニングの時間が長くなりすぎると、犬は飽きてしまい学習できなくなってしまいます。

1回のトレーニング時間は短く、ただし1日に何回も繰り返して行ない、トレーニング時間の総量を増やすようにします。

1回15分を1日4回で1時間。

1回2分を30回でも1時間です。

毎日、スキマ時間にコツコツとトレーニングを積み重ねれば、飼い主にも愛犬にも負担なく、効率よく学習することができます。

難易度を調整する

また、難易度が高すぎることを無理にやらせようとし続けても、犬は頑張ることを諦めてしまいます。

「三歩進んで二歩下がる」の精神で、難易度を調整し、段階を追って覚えさせる必要があります。

最終的に覚えさせたいことと、それについての現時点での愛犬の状況のあいだを細かく区切って、段階的に覚えさせていくのがコツです。

「できた」という達成感は、犬に自信をつけ、やる気を引き出します。

「もうちょっと頑張ればできそう」という内容を、少しずつステップアップさせながら目標に向かっていきます。

犬の好きなことを取り入れる

しつけやトレーニングというとき、やることはおもに「不得意の克服」が目的となります。

しかし、もともと苦手なことをずっとやり続けるというのは、犬だって辛く、なかなか集中し続けられるものではありません。

愛犬が今のトレーニング内容に飽きてきたなと感じたら、いったん仕切り直して気持ちを切り替えてあげるとまた頑張れます。

仕切り直すといっても、トレーニングをやめる必要はありません。

一度立ち上がってもう一度やり直したり、少し移動して場所を変えてみたり、得意なことや好きなトレーニングをあいだに挟んでみたりする程度で良いのです。

それでも、なかなか集中できないときは、時間をおいて改めてやるほうが良いかもしれません。

以上のように、効率よく犬のトレーニングを進めていくためには、犬の性格や能力に合わせて臨機応変にトレーニング内容を調整することが重要です。

しかし、これらの調整判断を的確に行なうにはある程度の知識と経験が必要になります。

自己流で進めてしまう前に、プロのドッグトレーナーに愛犬の状況評価を依頼できると効率的です。

犬とのコミュニケーションを大切にする

犬とのコミュニケーションを上手にとるためには、犬とのかかわり方にいくつかのポイントがあります。

  • 犬の表情や仕草をよく観察する
  • 犬の声に耳を傾ける
  • 犬の目を見て話しかける

犬とのコミュニケーションは、信頼関係を築くための土台です。

愛犬の気持ちに寄り添い、理解しようとする飼い主の日ごろの心がけが大切になります。

まとめ

オヤツを使ったトレーニングは、犬の学習を促進する有効な方法ではありますが、大きなデメリットも孕んでいます。

安易に使用するまえに、その問題点を理解したうえで適切に使用する必要があります。

オヤツに依存せず、犬の健康と成長を第一に考えながらトレーニングを進めることが重要です。

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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