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里親になるとき知っておきたい10種の消化管内寄生虫

野犬や飼育放棄(ネグレクト)、ブリーダー崩壊など、適切な健康管理がなされず衛生的でない環境で生きてきた犬たちは、日ごろから予防医療がきちんとなされている家庭犬たちがもっていない感染症に罹患していることがあります。

犬の3大感染症

これらの犬たちが感染することの多い感染症は大きく分けて以下の3つに大別されます。

  • フィラリア(犬糸状虫、犬心臓糸状虫)
  • 外部寄生虫による感染症(ノミ・マダニが媒介する感染症:バベシア症・SFTS等)
  • 内部寄生虫による感染症(ジアルジア等の原虫を含む)

フィラリア

フィラリアは蚊が媒介する寄生虫です。

フィラリアについては以下の記事で詳細に解説しています↓

外部寄生虫

また、マダニについては以下の記事で取り上げました。

内部寄生虫

内部寄生虫とはいわゆる「お腹の虫」で腸に寄生して宿主の栄養を奪う寄生虫です。

本記事では犬が感染しやすい内部寄生虫を紹介します。

珍しくない寄生虫感染

内部寄生虫はなにも「保護犬」だけが感染する寄生虫ではありません。

ペットショップで買ってきた子犬が感染していることも珍しくありません。

うちの子は保護犬じゃないから関係ないとは決して思わないことです。

 犬がかかりやすい10種の消化管内寄生虫

犬たちが感染しやすい内部寄生虫は以下の10種です。

  1. 犬回虫(Toxocara canis)
  2. 犬鞭虫(Trichuris vulpis)
  3. 犬鉤虫(Ancylostoma caninum)
  4. 犬小回虫(Toxascaris leonina)
  5. 糞線虫(Strongyloides stercoralis)
  6. コクシジウム(Coccidia)
  7. ジアルジア(Giardia)
  8. 瓜実条虫(Dipylidium caninum)
  9. マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)
  10. エキノコックス(Echinococcus)

本記事では代表的な内部寄生虫(=消化管内寄生虫)の種類や特徴について紹介します。

それぞれの寄生虫の感染経路、症状、治療方法そして予防策などの詳細はそれぞれのページで詳しく解説していますのでぜひお読みください。

1. 犬回虫(Toxocara canis)

犬回虫(いぬかいちゅう)はイヌの消化管に寄生する代表的な寄生虫の一つです。

とくに子犬で多く見られる寄生虫です。

犬回虫は年齢抵抗性があり生後6ヶ月未満で感染すると症状が重くなります

つぶやき成犬にも感染しますが一般的に症状が軽くすみます。

2. 犬鞭虫(Trichuris vulpis)

犬鞭虫(いぬべんちゅう)は盲腸に寄生する寄生虫です。

犬鞭虫もまた感染した犬の糞便に含まれる卵を経口摂取することで感染します。

糞便とともに排泄された虫卵は2~4週間で感染能力をもちます。

また、犬鞭虫の卵は非常に耐久性があり土壌などで長期間生存することができるため感染拡大しやすいことも特徴です。

3. 犬鉤虫(Ancylostoma caninum)

犬鉤虫(いぬこうちゅう)は別名フックワームとも呼ばれ「鉤」の名が示すとおりフック状の口をもっている寄生虫です。

このフックを腸壁に引っかけて小腸に寄生して血液を吸います

フックで傷つけられた腸壁からも失血するため多量に寄生されると重篤な貧血を起こします。

このため、とくに子犬にとっては危険な寄生虫であり早期の発見と治療が重要です。

人にも感染する「犬鉤虫」

皮膚に入り込んだ鉤虫が「皮膚幼虫移行症」を引き起こします。

皮膚にかゆみや炎症を伴う発疹が現れるほか、まれに消化器症状や貧血も引き起こします。

4. 犬小回虫(Toxascaris leonina)

犬小回虫(いぬしょうかいちゅう)は犬回虫と似た寄生虫ですが犬回虫との特徴的なちがいは年齢抵抗性がないことです。

子犬も成犬も、全ての年齢で感染し症状が現れます。

5. 糞線虫(Strongyloides stercoralis)

糞線虫(ふんせんちゅう)はとくに湿った環境で感染する寄生虫です。

感染した犬は深刻な健康問題を引き起こすことがあります。

6. コクシジウム(Coccidia)

コクシジウムは単細胞の寄生虫であり子犬や免疫力の低下した犬にとくに影響を与えます。

7. ジアルジア(Giardia)

ジアルジア小腸に寄生する原虫で犬に水様性の下痢を引き起こします。

人にも感染する「ジアルジア」

ジアルジアは犬や人間の糞便を介して水や食物に広がり、それを経口摂取することで感染します。

人間では「ジアルジア症」として下痢、腹痛、悪心などの消化器症状が現れます。

とくに免疫力の低い人や子どもにとっては重症化しやすいです。

8. 瓜実条虫(Dipylidium caninum)

瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)ノミを媒介して感染する条虫でイヌの小腸に寄生します。

人にも感染する「瓜実条虫」

人間での感染はまれですが犬に寄生しているノミを人間が誤って摂取することで感染が広がります。

幼児などがノミを誤って摂取したばあい消化管内に条虫が寄生し腹痛や下痢などを引き起こすことがあります。

9. マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)

マンソン裂頭条虫(マンソンれっとうじょうちゅう)はイヌの小腸に寄生する寄生虫の一種です。

マンソン裂頭条虫は感染したカエルや鳥などを食べることで犬に感染します。

10. エキノコックス(Echinococcus)

エキノコックスはヒトにも感染する寄生虫です。

これまでは北海道に特有の寄生虫でしたが本州での感染も起きています。

潜伏期間が長く治療薬もないため危険な感染症です。

犬は無症状の場合も多いですが重度の感染では臓器に嚢胞が形成されることがあるようです。

人にも感染する「エキノコックス」

エキノコックスは感染した犬の糞便に含まれる虫卵が土壌や水を汚染し、人間がそれを摂取することで感染します。

人間に感染すると「エキノコックス症」を引き起こし肝臓や肺に嚢胞ができることがあります。

重篤な場合は命に関わることもあります。

まとめ

上記に挙げた内部寄生虫はなにも「保護犬」だけが感染する寄生虫ではありません。

どんな子も感染のリスクあり

ペットショップで買ってきた子犬が感染していることも珍しくありません。

うちの子は保護犬じゃないから関係ないとは思わないことです。

家庭に迎えてからも駆虫を怠れば感染する可能性があります。

人獣共通感染症

犬回虫、犬鉤虫、糞線虫、ジアルジア、瓜実条虫、エキノコックスは犬を通じて人間にも感染する可能性がある「人獣共通感染症」です。

これらの寄生虫は人間にも健康被害を及ぼすため犬を迎える際には適切な寄生虫検査と駆虫を行なうことが重要です。

犬の放置ウンチが危険な理由のひとつ

内部寄生虫は犬や野生動物の糞便を介して感染することが多い感染症です。

お散歩中は放置ウンチの匂いを嗅いだり(食べてしまったり!)することがないように飼い主がつねに注意を払う必要があります。

つぶやき愛犬の行動を管理できない放し飼いは論外です。

飼い主一人ひとりが自身の愛犬がお散歩中にしたウンチを適切に処理(ウンチ袋にいれて必ず持ち帰る)することも感染を広げないために重要な行動なのです。

こうした理由から放置ウンチの清掃活動は地域の公衆衛生のためにとても重要な活動です。

多くは駆虫薬で治療可能

定期的な駆虫を行うことで感染リスクを大幅に減らすことができます。

駆虫薬の例

予防が大事

定期的な健康診断と駆虫の実施が愛犬の健康を守るための基本となります。

そして、内部寄生虫による感染症の多くは人間も感染する「人獣共通感染症」です。

愛犬に適切な予防措置をとることで家族の健康も守りましょう。

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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