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「飼い主が困ることをしない犬」の育て方

前回は、「飼い主の指示に即座に従う犬」の育て方について解説しました。

多くの飼い主さんたちが、「飼い主の指示に即座に従う犬」にしつけたいと考えていたのでしょう、当サイトにおいてアクセス数の高い人気記事のひとつとなっています。

だいぶ間が空いてしまいましたが、今回は「飼い主が困ることをしない犬」の育て方について解説したいと思います。

自ら考え、行動できる犬

「飼い主が困ることをしない犬」とは、飼い主から命令されなくても、つねに飼い主の望みは何かを自ら考え、行動できる犬のことです。

もし、これを飼い主が、「飼い主の指示に即座に従う犬」の育て方のしつけ方法を使ってトレーニングをするならば、どのようにすればよいか分かりますか?

コマンドで教えようとすれば、1000種類を超える

種がちがうので、ヒトとイヌの常識は当然ちがいます。

つぶやきでも、そのことに気づいていない飼い主さんが、とても多いのですけれども…

そのちがいのうち、家族として暮らすなら犬にして欲しくない行動を具体的な動作に置き換えてすべてコマンドで教えようとすれば、その数は1000種類にも上ると言われます。

つぶやきその動作のすべてを覚えさせる根気が、いったいどれだけの飼い主にあるでしょうか…。ちなみに、Suzyには全然ありませんよ。

ほとんどの飼い主が「犬のしつけ教室」に行って習うことと言えば、

  • オスワリ
  • フセ
  • マテ
  • ツケ
  • コイ(オイデ)

の通称「5動作」と言われる基礎訓練のみではないでしょうか。

家で「トイレ」と「お手・お代わり」をなんとか教えて、犬のしつけを終わりにしている飼い主が大半のはずです…。

そして、生活上の困りごとは置き去りになり、「犬のしつけ教室、行っても意味なかった」と思っているのです。

犬の寿命は短い=タイパも重要

もし、飼い主と愛犬の相当の努力の結果、1000種類すべてのコマンドを愛犬が覚えることができたとしても、その頃あなたの愛犬は、もうじき寿命を迎える年齢になっているはずです…。

つまり、コマンドで指示に従うことだけを教えて「生活上手」な犬に育てようすると必ず行き詰まります。

まるでロボットにプログラミングをするように、一つひとつの動作と指示語を覚えさせ、いちいちコマンドで命令を与えなくても、イヌという生き物がもともと備えている能力を発揮できるよう飼い主の側が働きかけることで、ごく自然に良い関係をつくることが可能なのです。

イヌにはその能力があるからこそ、3万年もの長きにわたって人間のそばで暮らし続けてこられたのです。

犬が本来もつ能力をつぶさず、活かしてあげることで、どんどん良い関係を築くことができます。

実践する3つのこと

では、「飼い主が困ることをしない犬」は、どうやったら育てることができるのでしょうか?

じつは、飼い主がたったの3つのことを実践するだけで、あなたの愛犬は「飼い主が困ることをしない犬」になれます。

それは、

  1. 理解
  2. 尊重
  3. 援助

の3つです。

まず、知る「理解」

そのためには、まず飼い主本人が以下のことを学び、理解しておく必要があります。

  1. 犬の習性
  2. 犬種の特性
  3. 愛犬の個性
  4. 犬のボディランゲージ(とくに、カーミングシグナル)

犬の習性

「イヌ」という動物は、どのような習性をもった生き物なのか?

犬も人も集団を形成して暮らす社会動物ですが、どんなところが人間社会と似ていて、どんなところが人間の社会と違うのか?

これをはっきりと認識し、理解しておくことがとても重要になります。

昔から、たくさんの書籍が販売されて、名著と呼ばれる本もたくさんあります。

また、インターネット上にもさまざまな情報や学説が掲載されています。

愛犬を迎える前にも調べたことかもしれませんが、今一度「犬ってどんな生き物なんだっけ?」と、まっさらな気持ちになって調べなおしてみてください。

犬種の特性

また、多くの飼い犬は「●●犬」と名前のついた「純血種」です。

純血種のばあい

こうした純血種の犬たちは、ある特定の目的のために人間が故意に形質や行動に特性がでるように繁殖し、固有の種類として名前を付けられた犬たちです。

このため、その犬種が作られた目的や背景などを知ることで、その犬がとる行動について理解が深まることがあります。

ミックス犬のばあい

また、近年は「デザインドッグ」と称して、純血種同士を掛け合わせた「ミックス犬」が流行しています。

これらの犬たちについても、親犬は純血種ですので親犬の犬種を参考にすることができます。

雑種犬のばあい

雑種の場合は、見た目(毛質や耳の形など)・行動から、どのような犬種に近いのかを予想してみてください。

もしくは、特定の犬種を想像することが不可能なほど、自然繁殖が繰り返されてきたほとんど野生の犬であれば、純粋に「犬の習性」を強く表現してくれます。

こうした犬たちは「犬種がもつクセ」がないため、とても素直で人を理解する能力が高い犬たちがほとんどです。

コマンドを使った訓練などしなくても、心の通う関係をスムーズにつくることができ、ひとたび信頼関係を築いた後は、精神的にもとても安定していて一緒に暮らしやすい犬たちが多いです。

つぶやきだから、Suzyは宮古島の犬たちが大好きです。

愛犬の個性

同じときに、同じ母犬のお腹から出てきても、個々の犬の性格は全然違います。

その子が好きなもの、楽しいと思うことは何かなど、愛犬のことをたくさん観察します。

また、ペットショップから連れて来たばかりの子犬の頃は、まだ「子ども」であり、本当の性格を表してはいません。

つぶやきそれでも多少の傾向をみることはできます。ペットショップのガラスケースの中で、ヘソ天で寝てる子犬は、肝が据わっていて神経質ではないという意味で、飼いやすいでしょう。

その子本来の性格が表れてくるのは、思春期(生後6カ月前後~)あたりからです。

犬のボディランゲージ

じつは、愛犬の個性を知るためには、その表情から「感情」を理解できるようにならなければ始まりません。

このため、犬のボディランゲージを読み取るスキルの習得が必要不可欠なのです。

とくに重要なカーミングシグナル

犬が身体で自分の気持ちを表すボディランゲージのなかでも、犬社会を円滑にするための、とても重要なボディーランゲージは、「カーミング・シグナル」と呼ばれます。

とくに、このシグナルを理解できない・使えない犬は犬同士のトラブルを引き起こします。

飼い主はカーミングシグナルを学び、親犬に代わって犬社会のコミュニケーション・ルールを教えていかなければなりません。

生活の見直し「尊重」

愛犬についてしっかりとリサーチをしたら、問題点はいったん脇において、現状の姿を受け止めます。

尊重とは「犬を責めない姿勢」のことです。

決して、問題をなかったことにしたり、改善することをあきらめることではありません。

つぶやきあきらめは「放置」であり、まったくの逆効果です。状況が悪化することはあっても、改善することはありません。

現状の姿を受け止めるという「尊重」の姿勢がとても重要になります。

飼い主に「尊重」された犬は、飼い主に対して「聞く耳」をもち始めるのです。

つぶやき私たちだって、自分を否定してくる相手の言うことは「聞きたくない」ですが、自分の存在を認めてくれる相手の言うことは「聞いてやろう」という気になります。

そして、あなたが理想とする愛犬との生活と現状のズレをどのように埋めていくかを考えます

犬のせいにして責めるのではなく、どうすれば一緒に改善していけるのかという「二人称」で考えるのです。

しつけの前に見直す「4つ」のこと

そのためには、まず生活のなかで以下の4点に見直しの必要がないかどうかを確認します。

  1. 避妊去勢
  2. 運動の欲求
  3. 一貫性
  4. 愛情のかけ方

避妊去勢

まず、一番重要なことは「問題を改善したい」と考える時点で避妊・去勢手術を完了しているかどうかです。

手術すべき時期についてはさまざまな議論がありますが、さまざまな理由から生後6カ月前後で行なわれることが多いです。

もし、愛犬の月齢が生後5カ月を迎えているのであれば、まずは避妊・去勢手術の術前検査のために動物病院に行ってください。

飼い主が困る犬の行動のほとんどは性ホルモン由来の本能に基づく行為

犬がもつ「本能や感情を抑え込む力」は、人間の5分の1ほどです。

性ホルモンに基づく本能を強制的にしつけで抑え込み、一般家庭で家族とともに生活することは愛犬を苦しめること以外の何物でもありません。

愛犬を性ホルモンのストレスから解放してあげたうえでなければ、人間社会のルールにしたがって生活することを強制することはできません。

つぶやき愛犬にストレスを与えるのが大嫌いで叱ることも拒否する飼い主が多いぐらいなのに、なぜかオス犬の最大のストレス源の除去である「去勢手術」を頑なに拒む飼い主が、Suzy地方にはたくさんいらっしゃいます…。本当に不思議でなりません…

運動の欲求

犬は野生で生活していた時代、群れで狩りをして獲物を捕り、食料を得ていました。

獲物を見つけるために仲間とともに長い時間歩き回り、ひとたび獲物を見つければ、獲物が疲れて倒れるまで走って追い続け、捕えていました。

そのような生き方をしてきた犬たちなので、とくに思春期から若犬期(生後5カ月~3歳)くらいにかけての体力は、無限といっても過言ではありません。

有り余る体力を持て余せば、壁や家具を破壊して体力を発散させるのも当たり前の行動です。

また、愛犬が深夜に吠えることで体力を発散することを覚えてしまえば、近所から苦情が来ることだってあります。

イギリスには「疲れた犬は良い犬だ」ということわざがあります。

家に帰ったらぐっすり眠ってしまうほどたっぷりお散歩に行っていれば、家で悪さはできないという意味です。

最低限必要な運動量を満たすことなく、しつけで行動を制限することは不可能であるということを飼い主は知っておく必要があります。

つぶやき可能な手段はありますが、それは虐待に相当するという意味です

特別運動量の必要な犬種をのぞき、飼い主が大変だと思うほど運動させることに時間を割く必要があるのは、犬の一生のなかでほんの数年のことです。

ときには、ペットシッターなどのお散歩代行サービスを使ったり、犬の保育園に預けたりするなど、外部の手を借りながらその数年を乗り切ることは、愛犬の心身の成長にとって非常に大切なことです。

また、体力の有り余った散歩好きな犬のばあいは、いつも同じコースを同じ時間に同じように歩くのではなく、お散歩にいろいろな工夫を加えることで効率よく愛犬の体力を消耗させることができます。

一貫性

犬は人間社会のルールを生まれつき知っているわけではありません。

飼い主との生活をとおして、だんだんと理解していきます。

決めたら守る

愛犬がした行為を、ある日はOKにして、ある日は叱るなど、判断をバラバラにしてはいけません。

相手に不安感・不信感を与える行為であり、人間社会においても「モラハラ」に該当します。

犬にとっても同じです。

いつまでたっても、なにがOKで、何がダメなのかを知ることができません。

家族で団結

また、家族内でも決めたルールを統一することが理解を早める近道となります。

家族それぞれで愛犬に対していうことがバラバラだと、

この家族(群れ)はバラバラじゃないか!

こんなバラバラの群れに自分の一生を任せるのは心配だ!

この群れをひとつにまとめるのが自分の仕事だ!
立派な犬の群れにまとめ上げなければ!!

と、勘違いをしてしまいます。

そして、家族をりっぱな「犬」に育てようと頑張ってしまうのです。

こうなると、愛犬は自分は家族をしつける側だと思ってしまい、人間の家族のいうことは当然聞かなくなります。

つぶやき犬を飼うと、家族の団結も試されます。

愛情のかけ方

犬のしつけについて情報を探している飼い主さんたちは、みんな自身の愛犬に「愛情」をもっています。

愛情をかけていないという飼い主はおそらく一人もいないでしょう。

愛の重たい飼い主が増えている

しかし、愛犬にかけている愛情が「重い」飼い主が増えているのです。

飼い主の愛が重たすぎて受け止めきれず、助けを求めている犬たちがたくさんいます。

飼い主の目に「問題行動」に見える愛犬の行動は、じつは飼い主の愛の重さに押しつぶされ、飼い主の過剰な愛に溺れて死にそうになっている犬たちの「決死のメッセージ」であることも少なくありません。

あなたが愛犬のために「良かれ」と思ってやっている行為が、本当に愛犬の立場にからみてためになっている行動なのか、飼い主の独善的な自己満足でないか、胸に手を当てて振り返ってみる必要があります。

もういちど、犬という生き物の性質について知識を深め、かかわり方に改めるべき点がないか、見直す必要がないか考えてみます。

感情コントロールのサポート「援助」

あなたは今、愛犬にはいろいろと問題が多いと思っているので、この記事を読んでいるのだと思います。

あれも、これも、それも直さなきゃ!と、リストアップしたら途方もない数になり、無理なんじゃないかと思っているかもしれません。

ですが、多くの問題の根っこにある原因はだいたい共通しているので、表面に見えている行動でなく、その原因にとりくむことで一気に解決してしまいます。

「感情のコントロール力」が未熟であることが原因

多くの場合、飼い主にとって困る犬の行動は、「感情のコントロール」が未熟であることが原因で起こっています。

心が乱れた時にすぐに落ち着く方法を身に付けられた犬は、いつでも、飼い主の声が耳に届きます。

脳みそのうち、理性をつかさどる部位を「前頭葉」もしくは「前頭前野」と呼びます。

この部位は、イヌにもヒトにも備わっていますが、イヌはヒトと比べると、その割合が5分の1ほどしかありません(ちなみに猫はヒトの7分の1だそうです)。

愛犬の自制心を養う

前頭葉の割合の比較で考えると、ヒトのほうがイヌに比べてより理性が働いている(はず)のです。

人間である飼い主さんが、愛犬の感情のコントロールを手伝って、1秒でも早く落ち着かせていくことを繰り返し、愛犬の自制心を養っていきます。

すると、気持ちを落ち着かせようとするときに、それを手伝ってくれる人のことを、イヌはどんどん信頼するようになります。

つぶやき落ち着かせ方を間違えると、かえって不安感や興奮の強い犬にしてしまいますので、自己判断で行なわず、かならず専門家に相談してください。

信頼の好循環がはじまる

愛犬の信頼を勝ち取って初めて、「言うことをきかせる側」として認められたことになります。

ここが、しつけのスタートラインとなります。

また、ほかにもいくつかコツがあります。

  • ご褒美に,オヤツやオモチャを使用しない(飼い主の褒め言葉やなでられることを報酬とする)
  • して欲しい行動を教え褒めるが,してはいけないこともきちんと教える(犬が理解するまでやり切る)

普段の生活の場で、飼い主から直接、すべきこと・してはいけないこと(首尾一貫した生活ルール)を教わるため、飼い主を信頼するようになります。

空気が読める犬になる

すると、愛犬は飼い主をじっくりと観察し、その場の空気を読んで、飼い主が望む、その場にふさわしい行動をとろうと考えて行動するようになるのです。

飼い主にいちいち命令されなくたって、困った問題を起さなくなるのです。

洗濯物をクリーニングに出すかのように訓練所に預け、プロにお任せして仕上がってきた犬だけを返してもらっても、またいずれ愛犬の行動は元どおりに戻ります。

このため、状態をキープしたければ訓練所を出た後も、訓練士が週に数回など定期的に自宅に通い、ずーっと訓練を続けることになります。

しかし、警察犬や災害救助犬にしたいというのでないかぎり、生涯そのような費用をかけ続けなくても、犬はちゃんとあなたの暮らしにフィットしてくれます。

車の運転免許を取るときぐらいの労力は必要

それには、飼い主自身が「犬」の心理・行動特性を知り、読み取るスキルを学んだうえで、実践をしていく必要があるため、少なくとも、車の運転免許を取るときぐらいの労力は必要になるでしょう。

でも、これが「あなたの愛犬との接し方」の基礎になるのです。

この基礎が身に付けば、どんなことが起こっても、オヤツ飼い主の身ひとつで、いつでも・どこでも、対処することが可能になります。

市販の本が完璧に教えてくれることはない

こうした「あなたの愛犬との接し方」を、市販の本が完璧に教えてくれることはありません。

人間に個性があるのと同じく、犬にもそれぞれの個性があり、飼い主と犬の個性の掛け合わせによって、対処の仕方が変わってきます。

まったく同じケースというのは存在しえないからです。

個別レッスン等で、個々の性格に合わせたオーダーメイドの方法を学び、実践していくことが、一番の近道になります。

しつけ教室を選ぶ際は、カリキュラムにしたがってレッスンをこなすだけでなく、個別の問題に対応してもらえるかどうかも、必ずトレーナーに確認してください。

LINEでSuzyに質問!

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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