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背中を向ける(Turning the back):犬のカーミング・シグナル(21)

犬が背中を向けるとき(Turning the back)
──カーミングシグナルの意味と飼い主の対応

  • 相手を落ち着かせるためにとてもよく使われる
  • 相手を嫌がっている行動ではない
使用頻度★★★★★

はじめに:犬の「言葉」に耳を傾けよう

犬たちはヒトの言葉を話すことはできませんが、表情や姿勢、動きといった「ボディランゲージ」を通じて、自分の気持ちや意図を周囲に伝えています。

とくに「カーミングシグナル」と呼ばれる行動は、犬がストレスを感じたときに自分や相手を落ち着かせるための“平和のサイン”として行われるものです。

その中でも「背中を向ける」という行動は、非常によく使われる代表的なカーミングシグナルの一つ。

この記事ではその意味と具体的な使用シーン、飼い主としてどのように対応すればよいのかを詳しく解説していきます。

カーミングシグナルとは何か?

カーミングシグナルとは、ノルウェーのドッグトレーナー・トゥーリッド・ルガース氏が提唱した概念で、犬たちが自分自身や他者の緊張を和らげるために用いる自然なボディランゲージです。

カーミングシグナルは犬社会において、争いを避け平和的に共存するための重要なコミュニケーション手段として機能しています。

具体的には以下のようなものがあります:

  • 目をそらす
  • あくびをする
  • ゆっくり動く
  • 口を舐める
  • 背中を向ける

「背中を向ける」の意味

  1. 平和的な意思表示
  2. 自分を落ち着かせるため
  3. 信頼の証でもある

平和的な意思表示

犬が誰かに背を向けるとき、それは「私は攻撃の意図がありません」「あなたに害を加えるつもりはありません」という強いメッセージです。

相手との関係を平和に保ちたいという願いが込められています。

自分を落ち着かせるため

この行動は相手に対するシグナルであると同時に、自分自身の緊張や不安をやわらげるためにも使われます。

とくに恐怖や不快を感じたとき、犬はあえて視界から対象を外すことで、心の平穏を取り戻そうとします。

信頼の証でもある

また、背中を向けるのは信頼の証でもあります。野生動物にとって、背を見せることは隙を見せる行動。

つまり、「あなたには背中を預けられる」と思っているからこそ、リラックスして背を向けるのです。

どんなときに「背中を向ける」のか?

  • 犬同士の挨拶や対面時:緊張のある場面で、背中を向けることで衝突を回避。
  • 飼い主の感情を察したとき:怒っていたり不機嫌な飼い主に対して、距離を取る。
  • ストレスを感じたとき:騒音や不安な環境に対して背を向け、自己防衛。
  • 遊びの中でのクールダウン:興奮しすぎたときに、落ち着くために背を向ける。

実際の例:こんなときに背中を向ける

たとえば、目の前の人が自分のことを怖がっていると気づいた犬は背中を向けて座り、触りやすいようにしてあげることがあります。

散歩中に出会った犬がこちらに対して不安や緊張を感じていることを感じ取ったときも、同じように背を向けて座り安心させてあげようとすることがあります。

また、愛犬を叱っているのに背中を向けて座るのを見たことがあるかもしれません。

これは「もうやめて」「私はあなたと争いたくない」と言っているのです。

「似ているけれど違う」行動との見分け

  • 隠れる:恐怖や極度のストレスで身を守るための行動。カーミングシグナルというより回避行動。
  • 無視する:興味がない、あるいは過剰な刺激をシャットアウトする行動。
  • 伏せる・寝そべる:落ち着かせるときにも使われるが、文脈によっては服従や回避の意味合いも。

飼い主がとるべき対応

無理に向き直させない

犬が背を向けたときは、無理に正面に向かせないようにしましょう。これは犬の「今はそっとしてほしい」という意思表示です。

落ち着いた態度で接する

飼い主もゆっくりとした動きや穏やかな声で接することで、犬の不安を和らげることができます。逆に、イライラした声や急な動作は、犬の緊張をさらに高めてしまいます。

環境を見直す

頻繁に背中を向ける場合、犬にとってのストレス要因が環境にある可能性があります。大きな音、来客、他のペット、運動不足などを見直してみましょう。

飼い主が「背を向けて返す」ことの効果

犬が緊張しているとき、あえて飼い主のほうからも背を向けてあげることで、犬は安心しやすくなります。

「あなたに敵意はない」と示す、非常に犬にとってわかりやすいサインだからです。

しつけや社会化との関係

「背中を向ける」というシグナルは、犬自身が争いを避けるために学んでいく行動です。

しかし、これを無視されたり叱られたりすると、犬はカーミングシグナルを出すことをやめてしまうことがあります。

これは非常に危険で、最終的には「噛むしかない」と思い込んでしまうケースもあります。

逆に、子犬のころからこのサインを尊重してもらった犬は、自分の感情を上手にコントロールする術を身につけやすいと言えます。

これは、飼い主と犬の健全な関係性にもつながります。

まとめ:犬の「背中」から信頼を読み取ろう

「背中を向ける」という行動は犬がストレスを感じたり、対立を避けたいときに使う重要なカーミングシグナルです。飼い主はこれをしっかり理解し、

  • 無理に関与しない
  • 穏やかに接する
  • 環境を整える
  • 背を向けて返す

といった対応をすることで、犬にとっての「安心できる存在」となれます。

そして何より、犬が安心して背中を見せてくれるということは、「信頼の証」であるということを忘れないでください。

犬の声なき声に耳を傾けることが、より深い絆を築く第一歩となるのです。

カーミングシグナル全30種

このほかにもたくさんのカーミングシグナルがあります。

愛犬がよく見せる行動や、意味を知りたい行動からクリックして読んでくださいね。

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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