「犬の飼い主」は、20代半ばくらいの比較的若いファミリーから孫がいる70代後半くらいのシニア層まで、幅広い年齢層の方がいらっしゃいますが、「犬のしつけ」という言葉の捉え方は、年齢層によって大きく違うなぁと感じています…。
60代以上の飼い主さんの傾向
昭和の時代の記憶がしっかりと残る世代は、それ以降の世代とは犬との暮らしへの向き合い方が確実に異なると感じています。
ご本人は「ウチのコ」「家族です」と、ほかの世代と同じ単語を口にしていてもその内容は大きく異なり、犬の飼育に関しても考え方のベースに「昭和の価値観」が見え隠れしています。
学ぶ必要がある飼い主ほど、その自覚がない
多くの飼い主が愛犬に対する知識や理解を深める必要性を感じることなく、日々の生活を送っています。彼らは自分の犬のことを十分に理解していると信じ込み、何の問題もないと考えているかもしれません。 なぜ、自覚がないのか? なぜ、学ぶ必要がある飼い主ほどその自覚がないのでしょうか?それには...
孫的可愛がり方
「目に入れても痛くない」といった猫可愛がりタイプの飼い主さんが多い印象です。
いわゆるペット的な可愛がり方をする傾向があり、実生活で犬の問題に困っていながら「しつけなんて厳しくって可哀相…」というセリフを耳にすることも少なくなく、「犬にもしつけは必要」という意識が薄いように感じます。
しつけに取り組む気力と体力の減少
歳を重ねると、若いときに比べて気力と体力はどうしても衰えてしまいます。
こうしたことも、しつけへの意欲が生まれない要因の一つであると思われます。
「しつけ」はダメな犬が受けるものと考えている
愛犬のわがままをなんでも受け止めてきた結果、成犬になって「身体も大きく、力も強くなった愛犬が、気に入らなければ飼い主に噛みつくようになる」など、飼い主には手が付けられなくなるといった問題が起こりがちです。
そして、問題が起こってからも「対処するか・しないか」…で、また、考えが分かれます。
しつけ教室は「落ちこぼれ」が行くところだと考えて行くことを頑なに拒む方が多いのも、この年代です。
「わが子が『しつけ教室』のお世話になるなんて恥ずかしいこと」と考えているのです。
昭和の時代には、塾は学校の授業についていけない子どもが通うところと考えられていましたが、それに近いイメージを抱いているのかもしれません…。
こうした考えを背景に、困りごとがあっても目をつむって何とかしのいで暮らすケースと、恥を忍んで断腸の思いで意を決してしつけ教室の門を叩くケースとが存在しています。
そして、意を決してしつけ教室の予約を取っても、なかなか本音を話してくれないです。
なぜなら、しつけ教室のお世話になるのは恥ずかしいという考えが前提にあるので、いざレッスンが始まっても、なかなか困りごとを口にすることができないのです。
こういう時は、犬を観察しながら、時間をかけて飼い主さんから話を引き出していくしかありません。
この年代の飼い主さんにとっては、しつけ教室は「最後の砦」なのです。
こちらも、そういう気持ちで向き合います。
40~50代の飼い主さんの傾向
アラフィフ世代は、前の世代の意識をもっている方と、後の世代の考えをもっている方に二分される世代のように感じています。
価値観が二分される世代
この世代、「塾は中学受験をするエリートがいくところ」というイメージがあるようで、犬のしつけ教室に対しても同様のイメージを持っているように思います。
つまり、「ウチのコは別にフツーでいいから(わざわざしつけ教室に通って立派になる必要はない)」という意見なのです。
40代くらいになると子どもも大きくなり、子どもにねだられて犬を飼い始めるケースも増えてきます。
お子さんも留守番できたり、一緒にしつけに参加できたりする年齢に成長しています。
しかし、週末は習い事の送迎や手伝いで親がかりとなり、仮に「しつけ教室に通ったほうがいいかも…」と思うことがあっても、物理的に時間が取れず、そのままになってしまうことが多いのかもしれません。
親も子も忙しく、飼い犬のお留守番が長くなりがちな世代でもあります。
一方で、次に紹介する世代の考えをお持ちの飼い主さんもいらっしゃいます。
30代前後の飼い主さんの傾向
アラサー世代は「愛犬のためにしつけを学ぶことは教養のひとつ」と考え、そのために「しつけ教室へ行くのは必要なこと」であると考える方が多い印象です。
この世代は「犬のしつけ教室」を学習塾と同じものと捉えておらず、どちらかといえば、親子で楽しむことで子どもの発達を促す「幼児教室」に近いイメージを持っているのかもしれません。
お子さんのいないご夫婦の飼い主さんは、とくにそう感じているように思います。
この世代の飼い主さんたちには、しつけ教室を受講することに関して先に挙げたシニア世代のような心理面のハードルは全く感じられません。
ただ、子育てに忙しい時期である場合は、日々のお世話をこなすのがやっとで、時間的に参加することが難しい方も少なくないことは否めません。
また、犬との暮らしを始めた後に赤ちゃんが生まれた飼い主さんのなかには、育児にかまけて以前のように愛犬の世話をできないことに罪悪感を感じる方もいらっしゃいます。
悲観して犬を手放そうと考える飼い主さんからのご相談も、いくつもお受けしてきました。
育児中のお母さんたちは心身ともに不安定になりがちな時期で、Suzyの経験がそうしたお母さんたちの役に立てばとの想いから、赤ちゃんや子どもとの暮らし方についても特に力を入れて普及と啓発に取り組んでいます。
赤ちゃん・子どもと暮らす
子育ては犬を捨てる理由にならなくなった 「もうすぐ子どもが生まれるから」という理由は「引っ越しするから」とならんで犬を捨てる人の言い訳として一昔前はごく一般的なものでした。それと比べれば赤ちゃんが生まれるからといって飼い犬を手放す人が減ったことは素晴らしいことです。 わが子が生まれるママ...
犬との接し方を子どもに教える
犬が噛み付いて相手に怪我をさせることを「咬傷事故」といいます。保健所に届出のあった事例だけで、年間でおよそ4300件ほどの事故が起こっています(環境省統計 2020)。この数字は、噛んだ・噛まれたのトラブルが表面化した一部の事例であって、氷山の一角でしかありません。犬...
まとめ
以上、各年代の飼い主さんに多い「しつけ」に対する印象を挙げましたが、もちろん、その年齢層のすべての方が、そのように感じているわけではなく、あくまでも「傾向」としてのお話です。
70代でも飼い主の責任を果たすべく、トレーニングを受けながらしっかりとしつけに取り組む方もおられます。
そうした飼い主さんにレッスンをさせていただくときは、その姿勢に本当に敬服しています。
- 犬のしつけを教わることは可哀そうではありません
- 犬のしつけを教わることは恥ではありません
- 犬のしつけは特別な犬だけが受けるものではありません
なお、国外の事例についてはオーストラリアでSuzyが開催したしつけ教室での経験を以下でご紹介しています。
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Suzyに聞きたい! 犬のしつけ情報を探してインターネットをしていてこのサイトにたどり着き、いろいろな記事を読んでみて、もっと知りたいと思うことがあったかもしれません。そんなときは、LINEお友達登録のうえ、チャットでご質問をお送りください。 質問受付中 誰かが知りたいと思っていること...