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犬のしつけにピア効果を活用する

仲間や同僚などがお互いの行動や生産性に影響を与え合うことを指す「ピア効果」という専門用語があります。

「朱に交われば赤くなる」ということわざは、まさに「ピア効果」のことを示すものです。

ピア効果とは

ピア(peer)は、年齢・地位・能力などが同等の者、同僚、同輩、仲間を意味する英語で、教育分野などでよく用いられる用語です。

ピア効果は、個人の成長や組織の活性化に大きな影響を与える可能性があるため、その活用が注目されています。

正のピア効果・負のピア効果

一般的には、能力や意識の高い仲間が同じ環境に集って互いに切磋琢磨し合うことで、集団のレベルアップとともに個々の成長においても相乗作用をもたらす効果のことを指します。

これは“正のピア効果”と呼ばれています。

一方で、能力や意識が低い仲間が同じ環境に集まると、互いに悪い影響を与え合ってしまうこともあり、これを“負のピア効果”と呼びます。

社会とかかわって生きる私たちは、多かれ少なかれ関わる集団から何かしらの影響をうけて思考を形成し、行動しています。

ピア効果のメリット

正のピア効果がもたらすメリットには以下のようなものがあります。

  • 個人の能力や行動を向上させる
  • 集団のレベルアップを促す
  • 組織の活性化につながる

ピア効果のデメリット

また、ピア効果においては以下のようなマイナスの効果を招くこともあります。

  • 負のピア効果が発生する可能性がある
  • 個人のアイデンティティが希薄化する可能性がある

悪い群れのピア効果

犬との暮らしにおいて発生している「ピア効果」によって起こっている問題についていくつか例を挙げます。

その1:他の犬が苦手なので、ドッグランに入れて他の犬と触れ合わせた

他の犬が苦手なワンちゃんの飼い主から、非常によく聞くお話です。

ドッグランは、人間の幼児の公園デビューとは訳が違います。

老若男女が入り乱れてハイになっている場所です。人間の世界に置き換えるなら、クラブ(ディスコ?)に行くようなものです。

しかしながら、嫌がる愛犬を無法地帯にぶち込んだ結果、もっと犬が嫌いになってしまったというのは本当によくある話です。

メンバーが全員「良い犬」とは限らず、また、場を監督する責任者も存在しないのが「ドッグラン」なのです。

その2:1匹目の犬のしつけに失敗した。もう1匹増やしたら直るのではないかと思って2匹目を迎えた

多頭飼いのしつけ相談でとてもよく聞く話です。

しかしながら、1匹目の犬が良く吠える犬なら、2匹目の犬も良く吠えるようになります。

1匹目の犬が噛みつく犬なら、2匹目の犬も噛みつくようになります。

2匹目にとっては、飼い主がしつけに失敗した犬(負)が「環境」になります。

犬は飼い主からよりも、犬に教えてもらうほうが分かりやすいので、どんどん吸収していきます。

その3:マナーの悪い飼い主が多く集まる公園に行く

地域によって、公園によって、集まる飼い主の「犬文化」のようなものがあり、それぞれ全然ちがいます。

犬と暮らすにあたって当然に知っていなければならない、以下の基礎知識がない飼い主は本当にたくさんいます。

  1. 排泄マナー
  2. 犬社会の礼儀作法
  3. 安全管理
  4. 他者への配慮

飼い主が「悪い群れ」に染まってしまえば、犬も「悪い群れ」の一員になってしまいます。

知らず知らずのうちに「悪い群れ」に染まってしまった犬と飼い主は、ゾンビのように「悪い群れ」の仲間を増やしていき、周辺地域から嫌われてしまうという構造があります。

良い群れのピア効果を得るには

正のピア効果は以下の条件のもとで得ることができます。

  • 適切なメンバーを集合させる
  • 適切な環境を整える
  • 適切な指導を行う

これを犬のしつけにおいて実現するには、どうしたら良いでしょうか?

その1:しつけ教室(グループレッスン)に参加する

しつけ教室には、「ウチの子を良い子に育てたい」という意欲をもった飼い主が集まります。

そして、同じ目的のために集まった飼い主と犬たちが協力して、ともに成長していく場所です。

また、レッスンは適切な指導をしてくれるスタッフのもとでおこなわれるもので、個々の状況において「負の効果」が発生しないように、うまく配慮をしながら実施しているはずです。

SuzyもNPO法人PALのメンバーの一人として、グループレッスンをしています↓

その2:器の大きな犬の飼い主と友達になる

犬のなかにも人格者ならぬ「犬格者」とでもいうべき犬が(滅多にいませんが)います。

タラ氏がそんなタイプで、シェルター時代は群れの学級委員をしていました。

器の大きな犬の条件

  1. 犬社会のルールを知っている
  2. 争いを回避する術を身に付けている
  3. 滅多なことでは吠えない
  4. 相手の気持ちに配慮できる
  5. 相手の望む行動をとれる

上記のような行動がとれる犬と行動を共にすることで、「どのような場面で、犬としてどのように振舞うべきか」ということを飼い主も愛犬も見て学ばせてもらうのです。

犬にもあるミラーニューロン

ヒトにもイヌにも、脳の中には「ミラーニューロン」という神経細胞があり、ます。

ミラーニューロンは、他者が行なっている行動を見た際に、自分自身は実際には行動していないのに、その行動を取った際と同様の反応をするといわれます。

コメント(by Bird)「ミラーニューロン」は、イタリアの神経科学者、ジュリオ・リッツォラットらの研究により、1990年代にサルの脳内で発見されました。
主に運動の計画や実行に関与する腹側運動前野(VMPF)と、IPLは視覚情報の処理に関与する下頭頂小葉(IPL)に存在します。

自分では行動していなくても、見ることで犬が学べる原理はここにあります。

ふさわしい行動をとれる「模範生」と行動を共にすることで、その行動を身に付けていくことができるのです。

その3:飼い主が動画で学ぶ

しつけ教室も、タラ氏のような犬友だちも見つけられないときは、どうしたらいいでしょうか。

その場合は、適切なふるまいを愛犬に教えられるように、愛犬に代わって飼い主が学べばよいのです。

犬のしつけについて、動画で紹介しているチャンネルはたくさんありますが、なかでも、問題行動を修正していくタイプの動画をお勧めします。

コマンドでお手や芸をするように仕込むものはあまり参考になりません。

お勧めチャンネルの例

多くのトレーナーがYouTubeチャンネルを開設していますが、炎上を恐れて無難な動画が多いなか、以下の2チャンネルは、問題行動改善のリアルなシーンを公開していて参考になります。

なければ作ろう!良い環境

ピア効果をねらった犬のしつけは、良い効果を得られる「環境」に入れなければうまくいきません。

間違った「環境」に入れてしまえば逆効果となり、困りごとは悪化してしまいます。

愛犬の成長を図るためには、与える環境が非常に大切になります。

もし、「そんな環境がない…」と思ったら、まずは自分自身が「基礎知識」を身に付けて、自分が良い環境になれば良いのです。

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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