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愛犬に必要なEQと飼い主に必要なSQ

飼い主と愛犬がともに幸せに暮らしていくためには、飼い主だけが頑張るのでもなく、犬だけに頑張らせるのでもなく、お互いがそれぞれにとって必要な能力を高めていくことが重要です。

その能力とはそれぞれ以下のとおり。

  • 愛犬はEQ(Emotional Quotient)
  • 飼い主はSQ(Social Quotient)

IQ(知能指数)は知っていたけれどEQSQについては初めて聞いたという方もいらっしゃると思います。

本記事ではSQEQとはどのようなものなのか、そして飼い主と愛犬がそれぞれの能力を高めていくことがなぜ必要なのかについて解説します。

IQなら知ってるけど?

IQは英語の「Intelligence Quotient」の略で人の知能の発達を示す指数です。

知能検査の結果を平均を100として統計処理して出た数値で、高いほど知能が高いとされます。

クイズ王や学者などが入会していると話題になる「MENSA」(メンサ)の入会条件がIQ130以上であるといったエピソードなどから、IQについて知らないという人は少ないでしょう。

犬にも知能テストがある

そして、何万年も前から人とともに社会生活を営む犬たちについても「犬の知能指数テスト」があります。

「頭のいい犬は何犬?」というネタがしばしば話題になります。

こうした調査では、毎回ボーダーコリーやシェパードなどが上位にランクします。

IQ以外にもある指標

“Quotient”(指数)で人を測る指標はIQ以外にも、

  1. EQ(Emotional Intelligence Quotient:心の知能指数)
  2. SQ(Social Intelligence Quotient:社会的知能指数)
  3. AQ(Adversity Quotient:逆境指数
  4. CQ(Curiosity Quotient:好奇心指数)

などがあります。

世間はIQだけを特別視しがちですが、これら残りの4つの指標も社会で生きていくための能力を測る重要な指標です。

なかでもEQは自己の感情を理解しコントロールする能力SQは他者とのコミュニケーション能力や社会的な関係性を築く力のことを指します。

これらはヒトとイヌとがともに暮らしていくにあたってそれぞれが高めていくべき重要なスキルでもあります。

愛犬が高めるべきEQとは?

愛犬が高めるべきEQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、1998年に米国の心理学者であるダニエル・ゴールマンが提唱した概念です。

感情知能感情知性と呼ばれるものの指標で、おもに以下のようなスキルを指しています。

  1. 自己認識…自分の感情を理解し、なぜそのように感じているのかを把握する能力
  2. 自己管理…感情を適切にコントロールし、衝動的な行動や反応を抑える力
  3. 共感…他人の感情や視点を理解し共感する力
  4. 対人関係スキル…他者と良好な関係を築き、信頼と協力を促す力
  5. 動機付け…感情を原動力に変えて目標達成に向かう力

EQが高い人は自分自身の感情に対して適切に対応することができ、自分と他者の両方にとってより良い決断を下せる傾向があります。

EQは人間社会において仕事や家庭、友人関係における成功に重要な要素とされています。

なぜ、家庭犬にEQが必要か?

上記の能力を犬に置き換えて考えてみましょう。

たとえば、散歩中にほかの犬に出会ったとき興奮せずに穏やかなコミュニケーションをとるためにはEQが必要です。

犬は自己の感情を上手にコントロールできるようになると、無用な争いに巻き込まれたり、不要なストレスを溜めることもなくなり生きやすくなります。

犬たちは飼い主の助けを借りながら感情を制御する術を学ぶ必要があります

飼い主が高めるべきSQとは?

SQ(Social Intelligence Quotient)はEQを提唱したダニエル・ゴールマンが2007年に提唱した概念です。

社会的な状況での知性や他者との円滑な関係を築く力を指します。

具体的には以下の能力を測るものです。

  1. 状況理解…社会的な状況や集団の雰囲気を読み取る力。場の空気を感じ取ったり、他者の意図を察知したりする能力
  2. コミュニケーションスキル…効果的な会話や非言語的なコミュニケーションを通じて、他者と理解し合う力
  3. 聞く力と話す力…言葉遣いや表情、ボディランゲージなどを使って思いを伝える力
  4. 関係管理…他者と良好な関係を築き維持する能力。他者に共感し協力し合える関係をつくる力
  5. 影響力…他者に良い影響を与えたりグループでの信頼と調和を生む力
  6. 適応力…さまざまな人びとや文化、状況に柔軟に対応する能力

SQが高い人は社会的な場での判断力や適応力が優れておりチームワークやリーダーシップ、対人関係において有利に働くことが多いとされます。

なぜ飼い主にSQが必要か?

まず、飼い主にが愛犬との関わりにおいてSQが影響する点について考えてみましょう。

飼い主は愛犬がほかの犬や人たちとうまく関係を築くための調整役を務める必要があります。

飼い主は調整役

飼い主がSQの力を高めていくことができれば、愛犬が他者(犬に対しても人に対しても)と安全に楽しく交流できるようになるのです。

SQ力の高い飼い主は、愛犬がほかの犬や人と接触する際に、相手の様子(犬であれば友好的なのか敵対的なのか、人であれば犬と接するための知識を備えているのか)を見極めることができます。

そのうえで、安全に関われる距離感やレベルを調整するなどして、愛犬に無用なストレスを与えることなくスムーズな社会交流をさせてあげることができます。

愛犬の能力を引き出す

また、SQ力の高い飼い主は愛犬のEQ力を引き出すサポートをすることもできます。

たとえば、SQ力の高い飼い主は犬が過剰に興奮してしまう状況において、リードワークや言葉かけを通じて愛犬に感情のコントロールを促してやることができます。

飼い主が愛犬を適切に落ち着かせる行動がとれるようになると、困難だと思われていた状況を乗り越えることができます。

そして、愛犬は飼い主の助けを借りて「無理!」と思っていた状況を冷静に乗り越える経験を積むことができます。

こうして、愛犬のEQは鍛えられていくのです。

まとめ

愛犬が「感情のコントロール力」すなわちEQを育むには、飼い主には愛犬を導くためのSQの力が必要不可欠です。

飼い主であるあなた自身がSQを高めることこそが「犬のしつけ」であると言えるのです。

飼い主が高いレベルのSQを発揮することで愛犬との信頼関係が深まり、愛犬との豊かな関係を築くことができるのです。

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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