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保護犬の迎え方:Sippoの連載記事紹介

犬を飼いたいと考えたとき、「保護犬を迎える」という選択肢がペットショップやブリーダーと並列で挙がってくるようになってきました。

しかし、日常の買い物ついでに実物に会えるペットショップとは異なり、保護犬は常設の施設にいつでもいるということはほとんどなく、なかなか身近に目にすることができません。

保護犬と出会うためには、定期・不定期に開催される「譲渡会」の情報をチェックして、会場へ出向く必要があります。

このため、保護犬を我が家に迎えることに対して敷居が高いと感じてしまう方も少なからずいらっしゃいます。

保護犬の迎え方

今回は、Sippoに掲載されている「保護犬の迎え方」という記事をご紹介します。

保護犬を迎える手順について、注意点とともに全7回の記事によって解説されています。

Sippoとは?sippoは朝日新聞社が運営する犬・猫(ペット)情報のウェブサイトです。動物愛護や人との共生など社会問題を深く掘り下げる記事などが充実しています

以下が、全7回の連載記事のタイトルとなっています。

タイトルをクリックすると、実際の記事ページがひらきます。

  1. 保護犬を迎えるという選択肢 犬と暮らしたいと思ったら、15年先まで見つめて考える
  2. 保護犬を迎えたい! どう探して、どこから迎える? 信頼できる保護団体探しがカギ
  3. 「保護犬を家族に迎えたい」ネット上で決めず必ず会いに行こう 訪問時のチェック項目
  4. 保護犬の譲渡先を決める時、保護団体がチェックすることは? ミスマッチを防ぐために
  5. 保護犬を迎える前の手続き 面談で聞かれること、犬との接し方、譲渡費用を確認しよう
  6. 保護犬のトライアルが始まる! 家庭に犬を迎える準備とよくある脱走事故の防止対策
  7. 保護犬と家族になろう 正式譲渡の手続きをしたら関係づくりへ踏み出す

以下に、各記事の内容をかいつまんでご紹介します。

1.15年先まで見つめて考える

保護犬についての知識を整理する記事です。

保護犬ってどんな犬?

保護犬とは行き場のない犬全般を指す言葉です。

保護犬には、ブリーダーや個人の多頭飼育崩壊や、飼い主による飼育放棄、野山を放浪していた野犬などがいます。

保護犬といっても、その犬の犬種、サイズ、性格や経歴はさまざまであり、ペットショップから迎える犬たちと何ら変わりはありません。

どんなところから迎えたとしても、「その子に対して向き合う」という飼い主の姿勢は変わるものではないのです。

保護犬が生まれる日本の現状

日本で保護犬が発生してしまう原因を考えてみましょう。

殺処分ゼロと同じぐらい大切な、保護犬のQOL

保護犬の話題が注目を集めていますが、かつてと比べて収容された不要犬の殺処分は激減しています。

しかし、最新の統計(2021年度)でみれば、今も年間に1万匹以上の犬が行き場を失って殺処分をされています。

殺処分を免れるために、多くの民間団体が立ち上がり、保護活動をしていますが、世話ができる範囲を超えて犬を引き受けた結果、自分たちが飼育崩壊を起こしてしまうという事件も後を絶ちません。

単に殺処分されなければ良いというわけではなく、処分を免れた保護犬の生活の質も考慮しなければならない問題です。

繁殖流通販売システムの問題

日本で保護犬が発生してしまう要因は大きく2つあります。

ひとつは「繁殖流通販売システム」の問題によるものです。

日本ではお金を払えば簡単に犬を入手できます。

CMやテレビ番組に登場した犬種が定期的にブームになり、需要に偏りが起きることから、無理な繁殖で遺伝的に問題を抱えた子犬を増産し、ブームが去り売れ残ったら廃棄するというサイクルが繰り返されています。

また、ショップやブリーダーで売り物にならない犬の払い下げを保護犬と称して高額で販売する「下請け愛護」の問題も増えています。

野良出身の保護犬たち

もう一つは「野良犬(野犬)」の問題です。

都市部では見かけることのなくなった野良犬も、地方ではいまだにたくさん存在しています。

そうした犬たちが自由に繁殖を繰り返した結果、犬がどんどん増えます。

狂犬病予防法によって、行政が飼い主不明の犬を抑留しなければいけない決まりになっています。

このため、地方の動物愛護センターや保健所には捕獲・収容される野良犬やその子犬たちが後を絶ちません。

保護犬でも、犬は犬

こうした保護犬を減らすために私たちができる大きなアクションの一つは、保護犬を家族に迎えることです。

保護犬はむしろ初心者向きです。

譲渡する保護団体がマッチングやアフターケアをしてくれ、安心して犬との暮らしを始められるのです。

2.どう探して、どこから迎える?

犬との幸せな暮らしを実現するためには、信頼できる保護団体を見つけることがカギになってきます。

保護犬はどこから迎える?

保護犬をどこから迎えるかの選択肢は主に3つあります。

動物保護団体

動物保護団体とは、動物愛護センターなどの行政施設、ブリーダー崩壊や多頭飼育崩壊の現場の犬、または野良犬などを保護し、新しい飼い主に譲渡していく活動をしている団体のことです。

認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)

運営組織や事業活動が適正で、公益の増進に寄与する団体として一定の基準を満たしていることによって寄付控除による税制優遇措置を受けている団体です。

特定非営利活動法人(NPO法人)

特定非営利活動促進法に基づき、法人格の付与を受け、法人として運営を行っている団体です。明確な会計処理が行われているなど信頼の部分をはかるひとつの判断基準となります。

任意保護団体

もちろん、法人でなくともしっかりとした保護団体、保護団体と同様の保護活動に邁進(まいしん)する個人も存在しています。

動物愛護センターなどの行政施設

各都道府県には、動物愛護センターなどの行政施設が設置されています。

動物愛護の啓発活動や、見学会や譲渡会、譲渡前講習会などを行っているため、まずは住んでいる地域にある動物愛護センターなどの行政施設の取り組みを確認します。

個人間の譲渡

家族が犬アレルギーになった、引っ越しや離婚で環境が変わった、飼い主が病気になってしまったなど、何らかの事情で犬を飼えなくなった飼い主本人、または家族や友人などが新しい飼い主を募集するケースです。

個人間の交渉は明確なルールがないためトラブルになりやすいという点には注意が必要です。

おすすめの迎え先は、信頼できる保護団体

信頼できる保護団体を見つけ、そこと相談しながら自分たち家族のライフスタイルに合う犬を探し、迎える方法がベストといえます。

優良な保護団体は、保護犬を探すときにはプロの視点で合う子をマッチングしてくれたり、迎えた後にも困ったことがあったら相談にのってくれたりと、家族の強い味方になってくれます。

信頼できる保護団体の探し方

実際に信頼できる保護団体を探していく手順とポイントは以下のとおり。

アクセス可能圏内にある団体を探す

犬を迎えるは保護施設を訪れ、実際にその犬や飼育環境を見ておくことが大切です。

そのことを見据え、アクセス可能な範囲から探していくのが有効です。

メディアなどを参考にして探す

保護犬の問題と向き合う大手メディアや、大手寄付サイトをチェックし、そこで紹介されている保護団体を見てみるのも一案です。

団体の活動や組織の在り方が流動的なことも多く、常に最新の情報を見るようにしましょう。

飼い主募集サイトから探す

全国各所にいる保護犬がまとめて掲載された飼い主募集サイトを見て探していく方法もあります。

全国各地の保護犬の情報が集まっており、今どんな保護犬たちがいるのか、また一般的な譲渡条件など、保護犬事情の全体像をつかむことができます。

必ずチェックしたいこと

保護された経緯や(推定)年齢、性別、サイズ、性格、病気の有無・既往歴、不妊・去勢やワクチン接種状況などは、迎えるうえで重要な情報です。

保護団体はもちろん、保護主が個人であっても、かならずこの点は確認してください。

注意したい保護団体

飼えなくなった家庭の純血種を積極的に引き取り転売したり、ペットショップと連携して売れ残った子を保護犬として販売したりする団体もあることを頭に入れておくことが大切です。

高額な金銭の要求がある

譲渡の一般的な相場(2〜5万円程度)と言われます。

この金額を超えて、協力金や寄付金の請求、ペット保険への加入、フードや飼育用品の購入が譲渡に付随するような場合は、保護団体を語る営利団体の可能性があり注意が必要です。

コメント保護犬のレスキューに高額な医療費が発生している例では、実際にかかった費用として実費請求される医療費が高額(5万円を超える)になるばあいもあります。

また、繁殖引退犬や、疾患や障害のある子犬、売れ残った犬を保護犬として譲渡している団体もあります。

人気の純血種ばかりを集め、「ペットショップで買うよりは安いけれど、保護犬としてはそれなりに高額」な価格を提示している団体にも注意が必要です。

保護犬のQOLが保てていない

団体規模に対して適正な数の動物を引き取り、快適な環境で世話をし、適正な数を譲渡するという、健全な運営を行っているかどうかも重要なポイントです。

「保護団体崩壊」による二次レスキューも増えています。

オンライン上だけで決めてしまわず、犬を迎える前には必ず保護団体の施設を訪問するようにします。

コメント個人宅で預かりをしている保護犬のばあいは、公開しているSNSなどを見ることが参考になります。

3.訪問時のチェック項目

インターネットで情報収集してめぼしい団体や保護犬を見つけたら、実際に足を運びます。

保護犬に会える場所

譲渡会

保護犬の飼い主を探すために、シェルター以外の場所で行うイベントです。

その場で連れて帰れるわけではありません。

公園やイベント会場など人が集まりやすい場所で行われていることが多く、参加しやすいというメリットがあります。

保護シェルター

規模の大きな団体はシェルター(保護犬たちが暮らしている専用の施設)を持っていて、見学を受け付けていることもあります。

規模の大きな団体以外はシェルターを持っておらず、多くの保護犬たちは新しい飼い主が見つかるまで「一時預かりボランティア」の家庭で生活しています。

その場合は、希望の犬を決めて保護団体に申し込みをし、一時預かりボランティアとスケジュールを調整して、犬と対面することになります。

団体訪問時の確認事項

  • 適切な飼育環境であるか(衛生的か、広さは十分か、清潔な飲み水、スタッフの人数、など)
  • 保護犬たちの状態(清潔に保たれているか、人との触れ合いがあるか、適度な運動をさせてもらっているか、獣医師による健診や治療を受けているか、など)
  • スタッフの対応(質問に対して誠実に回答してくれるか、など)

訪問先がシェルターの場合は、犬たちの暮らしにかかわる部屋を見せてくれるかどうかもチェックポイントです。

保護団体とは譲渡後も付き合いが続くため、その後の付き合いに対する考え方や、スタッフたちの雰囲気が合うかどうかも確認しておくといいでしょう。

保護犬についての確認事項

見た目では分からない情報のチェックが大切です。

  • 保護された経緯(性格や特徴にも影響しています)
  • (推定)年齢(その子の活動性や、あと何年ぐらい生きそうかが想定できます)
  • 性別(性格の傾向や、かかりやすい疾患などがわかることもあります)
  • 避妊・去勢(月齢や病気など理由がない限り、保護主が済ませているのが普通。また不妊・去勢済みかどうかは、避妊・去勢手術の費用が今後必要になるかどうかにかかわります)
  • 犬種(性格・特徴や必要なケアなどにかかわります)
  • 性格・特徴(家族が希望するライフスタイルに合うかどうかを見極める、重要なポイントです)
  • サイズ(子犬の場合は成犬時にどれくらいのサイズになりそうか。生活に必要なスペースや運動量、飼い主に求められるパワーなどにかかわります)
  • 病気の有無や既往歴(特にフィラリア陽性かどうかなど。必要なケアや医療費をイメージできます。場合によっては先住動物との隔離が必要になります)
  • ワクチン接種状況(迎えた後すぐ散歩に行けるのか、先住動物との隔離が必要か、迎えた直後にかかる費用などがわかります)

動物愛護センターなどの行政施設や個人から迎える場合も、決める前に必ず実際に保護犬に会いに行き、同様の内容を確認します。

時間と労力がかかるのは当然と心得る

保護犬を探すうえで大切なのは、「絶対にこの子がいい」「この犬種でないと嫌」「子犬以外考えられない」といったこだわりをもちすぎないことです。

時間や労力はかかっても、ぜひ自分たち家族に合う団体や保護犬を、どうか根気よく探してください。

4.ミスマッチを防ぐために

保護団体がチェックする譲渡希望者の情報や、必要な手続きについて取り上げます。

譲渡を受けるために審査が必要な理由

保護犬は少なくとも一度は人から見放されてしまった経緯があるため、二度三度と悲しい目に遭わないように、保護団体ではマッチングの精度を高めるために譲渡希望者の情報を申込書や面談で確認します。

初めて犬を飼う人や保護犬との暮らしに不安がある人にとっては、保護団体から的確なアドバイスを受けられる機会にもなり、相談しながら準備を整えられるので心強くもあります。

まずは家庭の状況をセルフチェック

  • 現在の住居で犬を飼える
  • 犬の習性をある程度知っている
  • 必要な日用品やフードついてある程度知っている
  • 犬を飼育できるスペースと時間があり、経済的にも問題ない
  • 犬が寂しさを感じないように配慮できる(留守番が長時間ではない)
  • 生涯に責任を持って飼育できる(犬の平均寿命は約15歳)
  • 先住犬の不妊手術をしている

もし、あてはまらない項目があれば、勉強や対策をしてすべてにチェックをつけられるように準備します。

保護犬をすぐに迎える予定がない場合も、関心がある人は必要な準備について保護団体に相談してください。

保護団体が設けている確認事項

譲渡希望者の情報や家庭の状況などを記載する「譲渡申込書(アンケート)」の提出を必須にしています。

(1)申込者について

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • 職業 ……など

(2)希望する動物について

  • 動物の種類
  • 年齢
  • サイズ
  • 希望する動物の名前や登録番号
  • 申し込んだ理由 ……など

(3)家族について

  • 家族構成
  • メインで世話をする人
  • アレルギー症状の有無
  • 動物の飼育経験
  • 犬を迎えることに家族全員が賛成している ……など

(4)住居について

  • 居住環境(一戸建て、集合住宅、持ち家、賃貸)
  • 集合住宅や賃貸の場合、ペット飼育
  • 犬を飼育するスペース(間取り図など)
  • 将来的な引っ越しの可能性の有無
  • 引っ越す場合の犬の処遇 ……など

(5)ライフスタイルについて

  • 申込者や家族の趣味
  • 休日の過ごし方
  • 想定されるライフスタイルの変化への対策(入院、結婚など) ……など

単身者や高齢者には譲渡不可?

単身者と高齢者は引っ越しやライフスタイルの変化、飼い主の入院などで環境が変わる可能性が高いので、譲渡を断るケースもあります。

少なくとも、以下の対策を考えて保護団体に伝える熱意が必要です。

単身者の場合

  • 環境の変化をできる限り避ける方法を検討する
  • やむを得ず引っ越す場合は次の住居もペット可物件を選ぶ
  • 残業や出張のときに犬の世話を頼める家族やペットシッターを確保する

高齢者の場合

  • 最後まで世話ができる年齢の犬を選ぶ
  • 自分と家族の体力や体調に合わせた犬を選ぶ
  • 飼い主の入院に備えて自宅で犬の世話を頼める家族やペットシッターと、ペットホテルなどの預け先を確保する

動物愛護センターや個人間取引との違い

ほとんどの自治体が動物愛護センターで事前講習会やしつけ方教室を開催しており、それらに参加してから譲渡を受けられるシステムになっています。

譲渡後のアフターフォローには人員不足で十分に対応できない場合があり、保護団体を含むボランティアに協力を頼んでいる自治体もあります。

また、SNSや地域のコミュニティーサイトを利用して、犬を手放したい個人からもらい受けた場合は、個人間取引には明確なルールがないためトラブルが起きやすいという問題があります。

保護犬を迎えるのはハードルが高いのか?

ペットショップでは子犬をすぐ連れ帰れるケースもあるため、保護団体の確認事項を知ってハードルが高いと感じた人もいるかもしれません。

手順を踏む必要はありますが、譲渡希望者と保護団体の間に信頼関係ができれば家庭にぴったりの犬とマッチングできる可能性が高まるのです。

たとえ譲渡まで時間がかかっても、心強い相談先ができるのは大きなメリットではないでしょうか。

5.面談・譲渡費用

保護犬と対面する日に行われる保護団体との面談や、接し方のポイント、譲渡が決まってからの費用について伝えます。

面談からトライアルへの流れ

保護団体では「譲渡申込書」を確認したあと、面談の予約や譲渡会への参加についてメールや電話で連絡します。

面談時、譲渡申込書では伝えきれなかったことはささいなことでも話しておき、信頼関係を築きましょう。

スタッフも書類ではわからない家族の人となりを見て、相性の合う犬を紹介したり犬との接し方を説明したりします。

保護団体スタッフとの面談

目的は家族内の意見をヒアリングしたり先住動物の様子をチェックしたりしてミスマッチを減らすため、面談には家族全員と先住動物の参加を必須にしている保護団体もあります。

面談に持参するもの

  • 住まいのペット飼育規約書(賃貸や集合住宅の場合)
  • 犬が居住する予定のスペースの写真
  • 庭やフェンスなどの外構部の写真や動画
  • 部屋にある観葉植物の写真と名前のリスト

ヒアリングの内容

  • 譲渡申込書の内容の再確認
  • 家庭の状況
  • 世話の中心になる人の希望
  • 家族の不在時の対応
  • 子どもがいる場合の対応
  • 動物の飼育歴
  • 先住動物の性格

保護犬との接し方の説明

犬に慣れていない人は良かれと思って自分の愛情を押しつけるような接し方になりがちですが、怖がりの犬では萎縮してしまう場合があります。

保護犬とふれあって相性をチェック

まずはシェルターの中で一緒に遊んだり散歩をしたりしてコミュニケーションをとってみましょう。

相性をチェックするポイント

談を担当したスタッフが付き添って、家族が犬と適切な接し方や触り方ができているか、犬のコミュニケーションを理解しているか、といったことを確認します。

  • 怖がりの犬に対して:多少のぎこちなさがあったとしても静かに近づく気遣いができていることが重要なポイントになります。
  • やんちゃな犬に対して:飛びつかれても落ち着いて対処できることがポイントになります。

先住動物との相性をチェック

犬は家族がいれば場所が変わっても比較的普段どおりの態度を示してくれるので、スタッフが先住犬の態度、社会化の程度、犬同士の会話(ボディーランゲージ)をチェックします。

マッチングの成功率を上げる

「譲渡申込書」や面談のときに、家族の希望をできる限り明確に伝えることがマッチングの成功率を上げるコツです。

マッチングの成立

マッチングの成立は、家族が犬と対面したあとも譲渡を希望していることが大前提です。

初回の対面は互いに様子見で終わりがちなので、可能であれば数回行いましょう。

ミスマッチの例

  • 保護団体から「怖がりだけどそのうち慣れるから」と譲渡されたが、1年経ってもなつかない
  • かむとは聞いていたけれど、想像を超えて手に負えない
  • 殺処分の期限が迫っている犬がかわいそうで迎えたが、病気が発覚して治療費がかかりすぎた

保護犬の譲渡に必要な費用

譲渡費用の内訳の例

譲渡に必要な金額は、その保護犬に使われた医療費や自治体への登録費などの実費になり、2〜5万円が相場です。

  • 譲渡料:2万円(狂犬病予防注射、混合ワクチン接種、血液検査、不妊・去勢手術、マイクロチップ装着の費用の一部が含まれる)
  • 自治体への畜犬登録料(鑑札):3000円
  • 狂犬病注射済票発行料:550円
  • 運搬費用(シェルターなどから自宅までの交通費)

高額な譲渡費用に注意

病気やけがの治療で医療費がかかった犬、譲渡までに年単位の時間がかかった犬は、医療費、人件費、食費などの実費だけでも譲渡費用が高額になるケースもあります。

命を救うことも、幸せになることも大切!

保護犬とのマッチングは、迎えた犬も家族も全員が幸せになれるかどうかを慎重に考えることが大切です。

勢いだけでは、犬とハッピーな暮らしを送れないかもしれません。

優良な保護団体は社会全体で幸せな犬と家族を増やすことを考えて活動しているので、保護犬と犬を迎えた家族の未来まで慎重に考えてくれます。

6.家庭に犬を迎える準備

マッチングした保護犬を家庭に迎える準備と、脱走などの事故を防止する対策について取り上げます。

犬と試しに暮らす「トライアル」

トライアルの目的は保護犬と家族、先住動物との相性や、犬の生活環境の最終確認をすることです。

期間は2週間前後ですが、家族の希望や団体の判断で短縮・延長する場合もあります。

面談や対面に時間をかけて慎重にマッチングを行う保護団体では、トライアル制度を設けていない場合もあります。

トライアルの手続きと注意

規約を確認してから申し込む

正式譲渡の前は保護犬の所有権が保護団体にあるので、トライアル制度を利用する際には契約書などを取り交わします。

生活の注意を確認する

保護団体に保護犬と暮らすうえでの注意点や負担する費用などを確認し、家族全員で共有しましょう。

保護団体には定期連絡を

トライアル期間中は保護団体に保護犬の様子や気になることを定期的に連絡し、必要であれば対応策を相談しましょう。

犬を迎えるために必要なものは?

トライアルの手続きと並行して犬を迎えるための準備を始めます。

保護団体が生活用品を貸し出す場合もあれば、譲渡希望者が生活環境を100%に近い状態まで整えてからトライアルに移る場合もあります。

最低限の生活用品を準備

  • クレート(犬が中で立ったり座ったりUターンしたりできるサイズ)
  • トイレシート(犬が排泄〈はいせつ〉のときにくるくると回れるサイズ)
  • 食器と水入れ(陶器製やステンレス製が衛生的)
  • 今まで食べていたフード(食べ慣れた主食のほうが体調を維持しやすい)
  • 犬がとくに好きなフードやおやつ(食欲が落ちたときに与える)
  • 首輪、ハーネス(保護団体に相談して犬に合うものを用意)
  • 散歩用のリード2本(保護団体に相談して犬と家族に合うものを用意)
  • 迷子札(首輪につける)

居住空間を整える

犬の居住空間に滑りにくい床材(タイルカーペットやクッションフロア)を敷いて生活用品を置き、安全で快適なスペースをつくります。

脱走防止対策を徹底する

保護犬のトライアル期間に多いトラブルは脱走です。

慣れない環境に不安を感じて犬が逃げてしまうことがあるので、保護団体に相談して脱走対策を徹底してください。

  • 玄関の前にペットゲートを設置する
  • 庭に放さない
  • フェンスや門扉は犬が超えられない高さにする
  • ドア、窓、門扉を開けるときは近くに犬がいないことを確認する
  • 迷子札をつけた首輪を常に装着しておく
  • 散歩に行くときは首輪、ハーネス、リードをつける(つけ方を保護団体に確認する)

保護団体が犬を連れて家庭訪問

保護団体が家庭に犬を送り届けるときに、居住空間や脱走防止対策の確認やアドバイスをしてくれます。

保護団体によっては家庭訪問をトライアルに進む前に行う場合もあれば、事前の確認のみで訪問しない場合もあります。

トライアルの過ごし方

トライアル期間は保護犬が家族や先住動物、自宅の環境に慣れる期間です。

犬を落ち着かせることが最優先

クレートで休ませて、しばらくは強い刺激を与えないことが重要です。

犬が寄ってくるのを待つ

積極的に交流をはかろうとするより、保護犬のほうから寄ってくるのを待ったほうが距離を縮めやすくなります。

食欲や体調をチェックする

環境が変わった不安から一時的に食欲が落ちることもあるので、犬が好きなフードやおやつを与えましょう。

環境に慣れてから散歩に行く

散歩が家族との距離を縮めることもあれば、連れ出さないほうがいい場合もあるので、保護団体に保護犬の性格を確認しましょう。

先住動物との対面は慎重に進める

先住動物と事前に対面していたとしても、同居になれば新たな犬を受け入れるまで時間がかかることもあります。

トライアル中に確認すること

  • アレルギーを発症した家族の有無
  • 保護犬と先住動物との相性
  • 保護犬を留守番させたときの様子
  • 必要な治療やケア
  • 家族全員の気持ちを確認

トライアルが終わったら正式譲渡へ

事前に決めていたトライアル期間の最終日、家族や先住動物との相性の問題がなく、「この子を迎えたい」と意見が一致していれば正式譲渡へ移ります。

もしやむを得ない事情があって正式譲渡を見送りたい場合は、事前の規約や契約書に基づき保護団体との相談が必要です。

厳しいように感じるかもしれませんが、一度家庭に迎え入れた命を気軽に返還できないのはペットショップから迎えた場合でも変わりません。

7.関係づくりへ踏み出す

犬を迎えるワクワクした気持ちのなかで、つい忘れがちな生活用品の準備や、安全・快適な居住空間づくりを再確認しましょう。

家族全員一致で正式譲渡へ

正式譲渡の手続き

保護団体と「譲渡契約書」を交わして譲渡費用を支払います。

譲渡費用は2〜5万円が相場ですが、医療費などの実費がかかっている場合はそれ以上になる場合もあります。

所有者変更の手続き

  • 「狂犬病予防接種証明書」
  • 「ワクチン接種済証明書」
  • 「鑑札」(あるなら)

を受け取ります。

マイクロチップの犬の所有者を保護団体から所有者変更の手続きをおこない、住まいを管轄する保健所にて地区犬登録をしてください。

終生飼養の心がまえ

譲渡の際に「万が一飼えなくなった場合には連絡してほしい」と伝えている保護団体もありますが、安易に飼育放棄をするべきではありません。

改めて愛犬の生活環境を見直す

正式譲渡を経て愛犬として迎えるタイミングで生活環境を見直しましょう。

人の気配が感じられるところへ

犬がふだん過ごす場所は、人の気配が感じられるリビングの一画や屋外の物音が聞こえにくい静かな部屋を候補にしましょう。

安心できる環境をつくる

誤飲やいたずらを防ぐために部屋の片付けを徹底し、危険なもの(電気のコードなど)がある場合はワイヤーネットを利用して囲いましょう。

先住動物と犬が落ち着けるハウスを

互いが明らかに慣れるまでは、不穏な空気が漂うときやトラブルが起きたときに、居住空間を分けれるようにしておきます。それぞれが落ち着ける場所も複数用意しましょう。

家族になった愛犬の備えに目を向ける

生活用品や散歩用品をそろえたら、防災用品も準備しておきましょう。

犬の生活用品を優先順にそろえる

犬の生活用品を優先順に「すぐ使う」「役立つ」「あると便利」の3つに分けて紹介します。

すぐ使う

  • クレート
  • トイレシート
  • 食器
  • 水入れ
  • 主食のフード
  • 犬がとくに好きなおやつ
  • ウエットティッシュ
  • ブラシ
  • 迷子札

役立つ

  • おもちゃ
  • 消臭スプレー
  • 犬用ベッド(タオルで代用可)
  • 季節に応じた用品(寒さ、暑さ対策用品)
  • マナー用品

あると便利

  • トイレトレー
  • ケア用品

散歩用品をそろえる

すぐ使う

  • 首輪、ハーネス
  • 散歩用のリード2本
  • 散歩用のバッグ
  • 水入れボトル
  • うんち袋
  • ウエットティッシュ

役立つ

  • 寒さ、暑さ対策
  • キャリーバッグ/スリング

譲渡後のアフターフォロー

犬の譲渡を受けたあとも、信頼関係を築いた保護団体との付き合いを続けましょう。

会報誌を発行したりオフ会を開催したりすることもあり、犬を介して交友関係が広がるのも大きな楽しみになるはずです。

保護犬から愛犬へ、そして家族へ

犬が近づいてくるまで待つ

犬が周りの人や環境に慣れるまで時間がかかります。

もし犬が人から遠ざかるようなしぐさを見せているなら追いかけないでください。

ごほうびで距離を縮める

最初は「おいしい食べ物を運んでくれる人」と印象づけることから始めてください。

フレンドリーな犬の力を借りる

もし1カ月以上経っても変化が見られない場合、不安や恐怖を強く感じやすいタイプの可能性があります。

フレンドリーな犬が集まる場所へ連れて行くと、ポジティブな雰囲気で引っ張ってくれ、一緒に乗り越えてくれる存在になります。

多くを求めない幸せもある

保護犬は特別な存在ではなく、あくまでも犬です。

なにげない日々を積み重ねてゆるやかに一緒に歩んでいくうちに、いつの間にかかけがえのない大切な家族の一員になれるはずです。

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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