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お迎えする犬を選ぶ視点:子犬か成犬か?

犬と一口に言っても、選ぶときに考慮すべき項目がたくさんあります。

子犬か成犬か?

初めて犬を飼うときイメージするのはまず「子犬」でしょう。

ですが、子犬を一から育てることには、多大な時間と労力を要します。

まだ、心も体も未発達のため、どのように育つかは、すべて飼い主の接し方と与えた環境次第なのです。

子犬をから飼い始めると起きること

ペットショップ等で購入できる犬は、早くて生後2カ月ほど。

ヒトの子どもに例えると、離乳食終わりかけ、トイレトレーニングを始められる「2歳」頃に相当します。

子犬を家に迎えるときは、「2歳児との暮らしが始まる」と覚悟する必要があります。

2歳児を育てたのは何十年も前、または2歳児を育てた経験はないという方のために、家庭にやってくる子犬の状態をお伝えします。

とにかくハチャメチャ

元気の塊で、片時もじっとしていません。

常に構って欲しがり、疲れたら電池が切れたように眠り、パワーチャージできたらまた遊び始めます(その途中でウンチやオシッコを何度もします)。

子犬の24時間は、この無限ループです(深夜に運動会を始めることだってあり得ます)。

夜泣きをする

子犬が夜泣きをするということを知っている人はどのくらいいるでしょうか。

子犬を飼ったことがある人も、時間が経てばすっかり忘れてしまいがちですが、子犬を飼い始めて飼い主がもっとも辛いと感じるのが「夜泣き」です。

ヒトの赤ちゃんの泣き声は「お互い様」と許容してもらえますが、犬の夜泣きはヒトの赤ちゃん並みか、それ以上のボリュームで鳴き続けます。

なだめすかして止めさせて、自分が寝ようと思ったらまた吠えはじめ…。

しつけの本に「一緒に寝てはいけない」と書いてあっても、背に腹は変えられず、リビングに布団を敷いて犬と一緒に寝た経験のあるお父さん・お母さんは少なくないでしょう。

ご近所からクレームを言われないかヒヤヒヤしながら、1週間~1カ月ほど極度の睡眠不足に襲われる覚悟が必要になります。

排泄の回数が多い

身体が未熟なため、ウンチ・オシッコともに1日に何回もします。

そして、家に来たばかりの頃はトイレをまだ完璧に覚えることはできません。

まだ、ウンチやオシッコが避けるべきものであると思わないため、排泄物まみれになってはしゃいでいることだってあります。

また、目を離したすきに、家じゅうあちこちで排泄をされてしまい、洗濯や掃除に追われる羽目にもなります。

食事の回数が多い

ヒトの2歳児は3食のごはんのほかに、10時と3時にオヤツを食べます。

それより回数は少ないものの、子犬も1日3~4回に分けてごはんを与える必要があります。

まだ、消化器官が未熟で、一度にたくさん食べることができないことと、消化したエネルギーがもつ時間が短いためです。

このため、子犬は食事の時間が空きすぎると「低血糖」となり、命の危険にさらされることもあります。

朝・昼・晩のある程度きまった時間に食事を与える必要があるため、長時間家を空けることができません。

明け方に胃液を吐いてしまうケースでは、寝る前(深夜)にも、追加で食事を与える必要性もでてきます。

フルタイムで仕事をしている方などは、実質的に子犬に必要な世話ができないでしょう。

思春期に戸惑う

子犬期と成犬期のあいだには「思春期」があります。

子犬時代から大人の犬になるにつれて、これまでの行動がどんどん変わっていきます。

これについていけない飼い主は、突然愛犬が飼い主のいうことを聞かなくなったと思ってしまいます。

そして、思春期に適切な教育を施さなかった結果、愛犬が家族の手に余る問題行動を抱えるようになります。

運動欲求の爆発

また、思春期前後(生後4カ月~2歳頃)は、その犬の一生のなかで最もエネルギーにあふれた時期です。

野山を駆け回って狩りや使役(人のための仕事)をするように作られた身体は、1日中家の中にいるだけでは体力が有り余っています。

有り余る体力を発散させなければ、それによって起こる問題行動もたくさんあります。

毎日、朝晩の散歩をするだけでは足りません。

一緒にジョギングをしたり、ドッグスポーツにチャレンジしたりする等の努力も必要になります。

仕事をリタイアして時間とお金に余裕ができたシニア層が、子犬を飼い始めるとぶち当たる壁です。

確かに、時間とお金はあるかもしれませんが、それらと同じく重要な「体力」が、若いころと比べて激減していることを認識しなければなりません。

若くて元気な大型犬や中型犬の子犬は、初めから完璧にお散歩ができるわけではありません。

元気の有り余った愛犬に散歩中引っ張られて転倒し、骨折するシニアも後を絶ちません。

飼い主が持て余し、散歩にも満足に連れて行ってもらえていない若い大型犬をたくさんみてきました。若犬の問題行動の多くは「運動不足」に起因するのですが、その解消をすることなく愛犬に「問題犬」のレッテルを貼っている飼い主はとても多いです。

成犬をお迎えするメリット

「成犬はしつけが大変」だと思われがちですが、じつは全くそんなことはありません。

それは、完全に子犬を売りたいペットショップの放言です。

子犬よりも成犬を迎えるメリットには、以下のようなものが挙げられます。

子犬よりしつけが楽

むしろ、子犬よりも思考力があるため、物事を理解するのは早いです。

子犬はまだ脳の発達も未熟なため、同じことを何度も何度も繰り返し教えて覚えさせなければなりません。

しかし、成犬のばあいは子犬と比べて学習速度が速く、ものによっては1回で覚えてしまうこともあります。

トイレの頻度が減る

体の機能も出来上がっているため、排泄の間隔が子犬のときよりも長くなり、トイレの回数が少なくなります。

このため、トイレの片づけのために排泄を監視する必要もありません。

トイレのしつけもきちんとできます。

3歳以降は落ち着きがでる

また、2歳までしっかりと体力を発散し、多くの犬や人との関わりを通じて犬社会の礼儀を身につけた犬は、3歳以降はそれまでの行動が噓のようにストンと落ち着きが出てきます。

それまでと比べて、犬自身の満足する散歩の量(時間・距離・回数)が減ってきます。

家族と相性の良い性格の成犬がベスト

成犬は性格が大きく変わることはないかもしれませんが、「自分たち家族と性格が合う」と感じる子を選べば、問題になりません。

真摯に保護活動をしている保護活動家は、アンケートへの回答や面談時の雰囲気などをとおして、保護犬と家族の相性のマッチングを考えています。

「二度と飼い主に捨てられない」ことを最優先にして、誰でも良いからすぐにもらって欲しいとは考えていません。

愛犬の性格が家族の生活スタイルに合わなかったときが不幸

むしろ、子犬から飼い始めた愛犬の性格が、家族の生活スタイルに合わなかったときのほうが不幸なのではないかと思います。

子犬から飼っても、自分たちが思い通りの「性格」に育てることはできません。

コロコロと可愛らしかった子犬が大人になって、身体も大きく力も強くなり、飼い主のいうことを聞かなくなったとき「こんなはずじゃなかった」と思うのです。

不幸とまでは言わないまでも、その性格を受け入れ、折り合いをつけて生活をしていくことになります。

一頭目は成犬、二代目に子犬がベスト!

これから、初めて犬を迎えようと考えている方には、保護団体から成犬を迎えることを強くお勧めします。

一姫二太郎という言葉がありますが、犬のばあいは「一頭目は成犬、二代目に子犬」がベストです。

成犬との暮らしを経て、2頭目以降に子犬を迎えると、成犬期と子犬期のちがいを理解したうえで子犬のしつけをすることができます。

また、飼い主のいない成犬を迎えることは、一つの命を救うことにもつながります。

犬を家族に迎えたいと思ったら、ぜひ「家族のキャラクターに合った大人の犬」をご検討ください。

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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