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NHK『ヒューマニエンス:“イヌ” ヒトの心を照らす存在』から考える「犬と人が共に進化してきた理由」

「うちの犬、言葉が通じていない気がする…」

一生懸命に声をかけているのに、思うように伝わらない。

しつけがうまくいかないと、「自分の接し方が間違っているのでは」と不安になることもあるでしょう。

犬は“言葉そのもの”よりも、もっと深いところで人を理解している動物です。

犬と人は、数万年という長い時間を共に過ごしてきました。

その中で犬は、人の声や表情、態度を読み取る能力を発達させてきたと考えられています。

NHKのドキュメンタリー番組『「“イヌ” ヒトの心を照らす存在」- ヒューマニエンス 40億年のたくらみ

でも、犬と人の関係は「共進化」という視点で紹介されていました。

ヒトにとって「イヌ」は長年のパートナーだ。オオカミから分化したイヌは、ヒトと共に暮らした数万年の中で、お互いに「共進化」する関係だったという。イヌの脳は、ヒトの“言葉”を理解できるようになり、イヌの表情筋は、ヒトに“感情”を感じさせるようになった。そしてイヌとヒトが共に持つホルモンは、家族の様な“絆”を作り出すまでになってきた。イヌとヒトという異なる種の共存関係から生まれた進化の意味を妄想する。

「“イヌ” ヒトの心を照らす存在」 – ヒューマニエンス 40億年のたくらみ – NHK

この記事では、

  • 犬が人を理解する仕組み
  • 犬に言葉が通じないと感じる理由
  • 犬と通じ合うための接し方

を、ドッグトレーナーの現場目線も交えて解説します。

犬を変えようと頑張る前に、犬という動物を少し深く理解すること

それが、犬と暮らす毎日をぐっと楽にしてくれるはずです。

犬と人は「共進化」してきたパートナー

犬はもともと、進化の過程でオオカミから分かれた動物です。

しかし、人と共に暮らすようになってから、長い年月の中で、人との生活に適応した進化をしてきました。

この関係は「共進化」と呼ばれます。

つまり、人が犬を変えただけではなく、犬と人はお互いに影響を与えながら変化してきたということです。

番組でも、

  • 犬の脳は人の言葉を処理する
  • 犬の表情は人に感情を伝えやすい
  • 犬と人は愛着ホルモンで結びつく

といった研究が紹介されていました。

犬を理解するうえで大切なのは、「犬は人と関係を築くことに適応した動物」だという視点です。

犬の行動を理解するヒントは、こちらの記事でも解説しています。

犬は言葉ではなく「状況」を理解している

「ウチの犬は、何度言っても通じないんです」

トレーニングの相談でよく聞く言葉です。

なぜか。

それは、伝え方がバラバラで、犬が理解できない方法になっていることが原因です。

犬は次のような情報を同時に見ています。

犬が見ている情報

  1. 声のトーン
  2. 手の動き
  3. 人の姿勢
  4. 周囲の状況
  5. 行動の結果

つまり「指示語」は、コミュニケーションのごく一部でしかありません。

犬に伝わる褒め方やタイミングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

また、成長の過程で犬の行動が変わる理由についてはこちら。

犬の表情は人との関係の中で進化した

犬の顔はとても表情豊かです。

研究では、犬にはオオカミにはない眉を動かす筋肉があることが分かっています。

この筋肉によって犬は、

  • 目を大きく見せる
  • 困ったような表情をする
  • 甘える顔をする

といった表情を作ることができます。

これらはすべて、人が「かわいい」と感じやすい表情です。

犬は進化の過程で、人と感情を共有しやすい顔を獲得してきたのかもしれません。

犬のストレスや感情のサインについては、こちらの記事も参考になります。

犬に言葉が通じないと感じる理由

犬に言葉が通じないと感じるとき、次のような状況になっていることがあります。

よくある例

  • 声のトーンが状況と合っていない
  • 家族ごとに言葉が違う
  • 家族ごとに手の動きがバラバラ
  • ルールが日によって変わる

犬にとって理解しやすいのは、「いつも同じ」という状態です。

犬に伝わる叱り方については、こちらの記事で解説しています。

犬と通じ合うための接し方

初心者の飼い主さんでも実践できる方法を紹介します。

言葉は短くする

NG例

「オスワリー、オスワリー、オスワリー、座って、ほら座って!」

OK例

「おすわり」

言葉の数が増えるほど、犬は理解しづらくなります。

声のトーンを使い分ける

褒めるとき

明るく高い口調で。

動作の指示を出すとき

落ち着いた優しい言い方で。

禁止・制止するとき

低く短く

身体の動きと一緒に伝える

犬は人の姿勢や動きをよく観察しています。

たとえば「おすわり」を教えるときに、視符を使うのがその一例です。

  1. 犬の前に落ち着いて立つ
  2. 人差し指(視符)を犬の鼻先の前に出す
  3. 「おすわり」と声を掛けながら、ゆっくり手を上に動かす
  4. 指に視線を向けた犬の重心が後ろに移動する
  5. お尻が床についたらゆっくりと手を降ろす(視符がなくても座り続けさせる)

大切なのは、オヤツにつられるのではなく、犬がいろいろな手掛かりから、自ら考えて座る流れを作ることです。

視符で指示ができるようになっておけば、人が声を出せない状況でも、犬の耳が聞こえなくなっても、指示を伝えられるようになり便利です。

犬との生活が整ってくるサイン

犬との生活が整ってくると、次の変化が見られます。

チェックリスト

□ 飼い主を見る回数が増える
□ 家の中で落ち着いて過ごせる
□ 散歩で引っ張りが減る
□ 表情が柔らかくなる

散歩での行動については、こちらの記事も参考になります。

また、安全な散歩についてはこちら。

犬はヒトの心を照らす存在

トレーニングの現場で、しつけを成功させるための最低条件が一つあります。

それは、先に人が変わることです。

  • 犬を見る目が変わり、
  • 接し方が変わり、
  • 声のかけ方も変わる。

そうした小さな変化が積み重なると、それまで飼い主が困っていた愛犬の行動が、少しずつ変化していきます。

いいえ、体感としては、たちまち劇的に変化する犬の方が多いかもしれません。

つまり、

飼い主が変われば、犬も変わる

のです。

犬は、人の態度や空気をとても敏感に感じ取っています。

犬の行動に困ったとき、私たちはつい、

「この子が言うことを聞かない」

「この子が問題のある犬だから」

と、原因を犬の側に求めてしまいがちです。

しかし、愛犬とともに暮らしていくために心を通わせようと向き合うのであれば、

「もしかすると問題は犬ではなく、自分の接し方にあるに違いない」

と、気づくところがスタート地点になります。

そのように、

犬を見る目が変わり、声のかけ方や接し方が変わっていくと、それまでうまく通じなかった気持ちが、少しずつ犬に伝わるようになっていきます。

そしてそのとき、犬の行動もまた、自然と変わっていくのです。

つまり、犬を変えるのではなく、飼い主の理解や接し方を変えることで、犬との関係が変わっていくのです。

犬との暮らしの中で起こる良い変化も悪い変化も、じつはその多くが、人の側の変化から始まっているのかもしれません。

まとめ:犬は人と共に進化してきたパートナー

犬と暮らすうえで大切なことは、とてもシンプルです。

  1. 犬は言葉より状況を理解する
  2. コミュニケーションには一貫性が大切
  3. 犬は人の態度をよく見ている

犬をコントロールすることよりも、関係を育てていくこと

その関係の中で、犬はきっと、私たちの心を照らしてくれる存在になっていくのだと思います。

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Shizuka “Suzy” Ishida

この記事はドッグトレーナー歴20年・指導頭数8000頭以上のSuzy(認定心理士)が自身の経験をもとに執筆しています。

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