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いつやる?やらない?避妊手術・去勢手術

避妊・去勢手術をすすめる理由
ドッグトレーナーの視点から

家庭犬の避妊手術・去勢手術とは単に繁殖を防ぐためのものではなく、その犬の健康や行動面にも大きな影響を与えるものです。

本記事ではSuzyのドッグトレーナーとしての視点から、避妊・去勢手術の重要性について詳しく解説します。

1. 男の子にとってのメリット

去勢手術を受けることで、オス犬には以下のようなメリットがあります。

1)攻撃性の低下

去勢手術によってテストステロンの分泌が抑えられるため、ほかの犬や人に対する攻撃的な行動が減る傾向があります。

しつけ教室には未去勢のオスの飼い主さんがほかのオスとのトラブルに困ってやってくることも多いです。

つぶやきとくに未去勢の思春期のオス犬同士が遭遇するとバチバチの喧嘩が始まるのは当たり前といっても過言ではありません

去勢手術をしてあげることで縄張り意識が薄れ、無用なケンカを避けることができます。

もちろん「ケンカをさせないしつけ」は必要ですが、未去勢でほかのオスと喧嘩をするワンちゃんをいくらしつけで直そうとしても本能が勝ち徒労に終わります。

2)マーキング行動の軽減

未去勢のオスは縄張り意識が強く、家の中でも頻繁にマーキングをするようになることがあります。

これは本能に基づく行為で、しつけでやめさせることは難しいです。

マーキング行動をし始めたら早めに去勢手術をすることで、室内でのマーキングをしなくなるケースは多いです。

ただし、性ホルモンによる本能的な行動として行っていたマーキングであっても長く続けていたことで「習慣」になってしまうと、去勢手術をしてもマーキングが直らないこともあります。

もし、室内でもマーキングをするようになってしまったら、早めに去勢手術を受けさせることをお勧めします。

3)発情期のストレス軽減

発情中のメス犬の匂いに強く反応して落ち着きをなくすオスは少なくありません。

犬は1滴の血の匂いを4~5キロ先からでも嗅ぎ分けることができる能力を備えています。

都市部で飼われているオスたちは、1年中、発情中の雌犬の臭いにさらされています。

交尾できないストレスでイライラして食事もとれなくなってしまうオスもいます。

しかし、去勢することで繁殖欲に起因するストレスから解放されて穏やかに過ごすことができます。

つぶやき先代のポコちゃんは実に男気のあるチワワで去勢前はごはんも食べられなくなるほど不安定になっていました…。去勢とトレーニングを経て穏やかチワワに生まれ変わりました。

4)生殖器関連の病気予防

去勢手術をしておくことによって、シニアになってから発症する前立腺肥大や精巣腫瘍のリスクを下げることができます。

「麻酔をかけて手術するのは可哀想」という理由で、愛犬の去勢手術を避ける飼い主も少なくありません(とくにお父さん)。

しかし、シニアになってから全身麻酔で手術をすることのほうが、ずっとリスクは高いのです。

近視眼的に考えるのではなく、愛犬の生涯をとおして考える必要があります。

5)事故のリスクを減らす

発情期のメス犬を求めて脱走するオスは多く、脱走による交通事故や迷子のリスクが高まります。

つぶやき家の2階の窓から飛び降りることすらあります

オスは去勢手術を受けることによって繁殖の衝動から解放され、脱走して事故にあうなどの危険も回避することができます。

2. 女の子にとってのメリット

雌犬たちは避妊手術を受けることで、以下のようなメリットがあります。

1)発情期のストレス軽減

メスは発情中に不安定になりやすく、落ち着きをなくしたり攻撃的になったりすることがあります。

避妊手術を受けさせることで発情のストレスから解放してあげることができます。

愛犬を無用なストレスから守ることができます。

2)望まない妊娠を防ぐ

メスが望まない妊娠をすることで、いまだ日本全国の保健所には多くの子犬が持ち込まれているのが現状です。

保護活動者の献身的な努力があっても新しい飼い主のもとへ渡ることができる子犬はごく一部です。

その前に多くの子犬たちが栄養失調や寄生虫による感染症、事故などで命を失っています。

メスの犬を飼う人が愛犬に避妊手術をしておくことによって、このような社会問題は減らすことができます。

3)生殖器関連の病気予防

避妊手術をすることで子宮蓄膿症や乳腺腫瘍のリスクを大幅に低減できます。

とくに乳腺腫瘍は初回発情前に避妊手術を受けることで発生率が激減すると言われています。

「(産ませる予定はないけど)産めない身体になるのは可哀想」という理由で、愛犬の避妊手術を避ける飼い主も少なくありません(とくにお父さん)。

しかし、未避妊のメス犬がシニアになってから子宮蓄膿症や乳腺腫瘍にかかる割合は非常に高く、体力の落ちた老犬になってから全身麻酔で手術をすることのほうがよっぽどリスクが高いのです。

近視眼的に考えるのではなく、愛犬の生涯を見越して手術の可否を検討する必要があります。

4)寿命の延長

さまざまな研究から避妊手術を受けていたメスの方が長生きする傾向にあることが示されています。

不要な病気のリスクを減らすことで、結果的に犬の健康寿命が延びる可能性が高まります。

3. 飼い主としての責任

家族の一員として犬を飼う以上、私たち飼い主には愛犬の健康と安全を守る責任があります。

1)望まない繁殖を防ぐ

ペットの犬や猫の過剰繁殖は、先進国か途上国にかかわらず世界中で問題となっています。

日本では毎年数万頭の犬が保健所に収容され、その多くが殺処分されています。

飼い主が自分の愛犬にきちんと避妊・去勢手術を行うことで不幸な犬を減らすことにつながります。

2)社会的な問題の軽減

未去勢の犬同士のトラブルや野犬の増加など、避妊・去勢をしないことで生じる問題は少なくありません。

社会全体で犬をはじめとしたペットを適切に管理するためにも、避妊・去勢手術を積極的に推奨していくことが重要です。

4. 避妊去勢のよくある誤解

愛犬の避妊・去勢手術を検討する時期になると飼い主さんたちからよく聞かれる質問がいくつかあります。

これらの質問に対して、Suzyがいつもどのようにお答えしているかを紹介します。

1)「性格が変わるのでは?」

避妊・去勢をすると性格が大きく変わってしまうのでは?

と心配する飼い主さんがいます。

しかし、これは誤解です。

性的なフラストレーションがなくなることで攻撃性が軽減されることはありますが、本来の性格そのものが変わるわけではありません。

むしろ、性衝動から解放されて本来の性格が表れると言い換えてもよいかもしれません。

とくに男の子は落ち着きが増してトラブルが減り、一緒に暮らしやすくなります。

2)「太りやすくなる?」

「去勢・避妊後に太ってしまった」という犬の飼い主さんから話を聞いて太るのは困るから手術をためらう飼い主さんもいます。

しかし、それは性衝動によるエネルギーの消費が不要になって必要なカロリーが減っただけです。

適切な食事管理と運動を心がければ太る心配はありません。

食事量を調整し適度に運動させることで健康的な体型を維持できます。

3)「自然のままがいいのでは?」

「本能のままに生きるのが自然」という考えの飼い主さんもいまだに少なくありません。

しかし、人間とともに暮らす家庭犬にとっては避妊・去勢をしないことで発生するストレスやリスクを考えると、必ずしも「自然が最善」とは言えません。

そもそも、ペットの犬は野生動物ではなく「産業動物」であって人の管理が必要であるということを知っておく必要があります。

5. いつ手術を受けるべきか?

手術の時期についてはかかりつけの獣医師と相談するのが最も確実ですが、一般的には生後6ヶ月〜1歳の間を推奨されることが多いです。

とくにメスの場合、最初の発情前に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍のリスクを大幅に減らすことができます。

大型犬の避妊去勢手術を早期に行うと性ホルモンの分泌がなくなり身体の成長が止まってしまうのではないかという考え方もあります。

このため、一般的に避妊去勢手術が行われる月齢での手術になかなか踏み切れない飼い主さんも少なくありません。

しかし、飼い主が制御できないことによって日常生活に問題が起きているのであれば、身体の成長が途中かもしれない若さであっても、去勢手術を優先してしまったほうが人も犬も暮らしやすくなるはずです。

まとめ

男の子にも女の子にも、それぞれにとって避妊・去勢手術には多くのメリットがあります。

行動面の問題を減らし、病気のリスクを下げ、飼い主の負担を軽減するだけでなく、社会全体としても犬の適切な管理につながります。

愛犬の心の平和と幸せを守るためにも適切な時期に避妊・去勢手術を検討することをおすすめします。

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Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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