ペット可分譲マンションの流行
20数年ほど前から、分譲されるマンションは、だいたい「ペット可」物件として販売されるようになりました。それまでは、マンション規約のあいまいな記述によって、飼えるペットの認識が住民によって異なり、そのことによってたびたび近隣トラブルが起こっていました。
「小動物のみ可」という規約の解釈として、「小鳥やハムスターなど」を指すのか、「犬やネコも含む」のか、人によって異なったようです(大型動物はライオンやキリンで、犬ネコは小動物だというのは、一般社会では屁理屈のような気もしますが)
なぜ、ペット可物件は増えたのか?
それは、日本の世の中が生き物に優しくなったわけではなく、単に「ペットOKにしないと、物件が売れない時代になったから」という経済的な理由でしかありませんでした。そして、先述のようなトラブルを回避するため、飼育できるペットの具体的な種類やサイズ・体重などが明記されるようになりました。
なので、ペットOKの物件であっても、多くの他人と共同生活をするマンションで「ペットとともに暮らす」ことに配慮がなされた「ペット共生住宅」としての機能の備わっていないものがほとんどです。
「ペット」と一括りにしていますが、猫と暮らしやすい間取りや設備と、犬と暮らしやすい間取りや設備は異なるため、本当にペットとの暮らしのしやすさを考えるならば、「猫共生型・集合住宅」とか、「犬共生型・集合住宅」のように、分けてつくるべきでしょう(きっと、そのほうが利用者の満足度も高いはずです)。
ネコでしたら、現在は「完全室内飼育」(病院に連れ出す以外は、住戸から出さない)が原則のため、それほど、他人の目に触れることもありません。ですが、犬を飼うならば、毎日散歩に連れ出すのは飼い主の最低限の義務です。このため、犬は自分の住戸からマンションの敷地外に出るまでに、ほかの多くの住民の目に触れることとなります。
飼い始めたらすぐに、ご近所に紹介しちゃいましょう
犬とマンション暮らしをするにあたって欠かしてはならないのが、「ご近所への挨拶」です。家族に新しいメンバーが加わったら、1日もはやくご近所に紹介します。
引っ越しをして新しい土地にきたら、挨拶は「向こう3軒・両隣」にするものと言われています。マンションの場合は、左右・上下のお宅に挨拶をするものであるとされています。
しかし、犬との暮らしを始める際は、この「引越挨拶」よりも広範囲のお宅に愛犬を紹介しておいたほうがいいです。
吠え声対策
なぜなら、犬の飼育にまつわるご近所トラブルで多いのは、なんといっても「吠え声」です。斜め上と斜め下のお宅にも、左右上下のお宅同様に、声は届いてしまうからです。
自宅住戸の「上・下・左・右」と「斜め上・斜め下」の合計8件です(戸建ての場合も、左・右、お向かい3軒、裏側3軒ほど(同じく8軒ですね)、同じようにご挨拶に行きます)。
ご挨拶のやりかた
愛犬を自宅に連れてきて一休みさせたら、抱っこして一緒にご近所に挨拶に行きます。
ただし、コロナの時代、対面で人に会うのがはばかられる場合もありますし、訪問したお宅は犬が苦手な人かもしれません。そのばあいは、愛犬の写真をポストカードにしてご挨拶のお手紙を書き、ポストインする方法もおすすめです。
このとき、ご近所の方に伝えておくべき情報は以下のとおりです。
- 愛犬の名前
- 性別
- 犬種(すでに、性格の傾向が分かっていれば、性格なども伝えると良いです)
- (初めての場合は)自分たちが犬を飼うのは初めてであること
- しばらくは、夜泣きなどで迷惑をかけるかもしれないけれど頑張ってしつけるということ
- もし、ご迷惑をかけた際は、直接飼い主に連絡をしてほしいこと
顔や名前を知っている相手には親近感を抱くものですし、自分たちが不慣れであることを伝えておけば、多少のことは目をつぶってもらえます。
同じ音量でも騒音と感じるかは「印象」次第
(5)について、犬は今まで慣れ親しんだ仲間と離れて新しい環境にやってくると、環境に慣れるまでのあいだはどうしても不安から夜泣きをしたり、留守番中に吠えてたりしてしまうことが多いです(とくに子犬は!)。
客観的にみても犬の吠え声の大きさは犬の大小にかかわらず、地下鉄の騒音と同程度となり、人間が聞いて不快な騒音レベルとしてトップクラスに分類されます。
このような騒音をどこの誰が出しているか分からない状態で聞かされると、聞かされる側はイライラが募り、その正体がわかった時も相手のことを快く思えないということが、心理学の実験でも証明されています。
一方で、まったく同じレベルの騒音であっても事前に予告がなされていると、実際の音量よりも小さく聞こえ、腹を立てるほど不快だった音が、それほど気にならなくなる(好ましく感じるケースも!)ということも、おなじく心理学の実験によって証明されています。
つまり、客観的には同じ騒音であっても、それを主観的にどのようにとらえるかで、音に対する聞く側の印象は大きく変わるのです。飼い主がそれほど大きな音に感じないのに文句を言ってくるのはその人が大げさなのだと思ってしまう原因はここにあります。
ご近所に一言、「今日から我が家にイヌがきました。まだ来たばかりで夜泣きなどするかもしれませんが、これから頑張っていい子に育てていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします」と、明るく挨拶するだけで、犬自身がなにも変わらなくても、相手の印象はよいほうへ大きく変わります。
まずは、ご近所に愛犬の顔を知ってもらい、集合住宅という「群れ」のメンバーの仲間入りをさせてあげましょう。
クレームが大事にならないために
(6)についても飼い主からご近所の方へ直接伝えておきたい事柄です。
マンションなどの集合住宅では近隣住民への苦情は管理事務所や理事会などに持ち込まれます。このとき、苦情を出す側も匿名であることも多く、苦情を受けた側も不愉快な気持ちになったり、「いったい誰が苦情を出したのか?」と、すれ違うご近所の方の顔を見ては疑心暗鬼になったりして、暮らしがピリピリと緊張したものになってしまいます。
負のスパイラル
その、飼い主の「ピリピリ感」を感じ取ると愛犬はよりいっそう神経質になり、吠えがひどくなるという「負のスパイラル」が発動してしまうのです。
「自分たちの犬の飼い方で迷惑を感じることがあれば遠慮なく言ってきてほしい」と、一言伝えてあるだけで、犬自身が何も変わらなかったとしても相手の気持ちはうんと和らぐのです。
ペット不可のマンションは愛犬の育ちに悪影響
ちなみに、隠れてコソコソ飼うというのはもってのほかです。それは、単にルール違反だからということではありません。
あなたの愛犬にとって、とてもマイナスの環境なのです。飼い主が「バレたらどうしよう…」「吠えたらどうしよう…」と、コソコソ・ビクビクしていると、愛犬はその感情をしっかりと読み取り、飼い主感情に同調して神経質になります。神経質になった犬は、ちょっとの音でも警戒してギャンギャン吠えたてます。
すると、飼い主は余計にビクビクしながら生活するようになり、愛犬はもっともっと吠えるようになります。そして、周囲の人を警戒し、ヒトを見れば吠える、犬を見れば追い払う…と、心の弱っている(ように犬には見える)飼い主を守るため、一生懸命に飼い主を守ろうと周囲に対して攻撃的になっていきます。
愛犬がまっすぐ素直に成長するためには、飼い主がどのような気持ちで日々を過ごしているかが、とても重要です。飼い主が安心して過ごせない場所は愛犬にとっても安心できず、常に緊張を強いられる不適切な環境なのです。
しつけを習いに行くタイミング
ワクチンがすべて終了する4カ月頃までは、パピーパーティなどほかの犬も集まるレッスンには参加できないことが多いですが、プライベートレッスンをしてくれるトレーナーに依頼するなどして1日でも早くスタートすることをお勧めします。
お散歩デビュー前にできること、やるべきことはたくさんあります。
ドッグイヤーは待ってくれない
自宅に来たばかりのときこそ、愛犬がスクスクと成長するために飼い主がしてあげなければいけないこと、愛犬に教えるべきことなどがたくさんあるからです。
自分で調べていくのも楽しいかもしれませんが、犬の最初の1年は人間の15~18年に匹敵するといわれるほどで、あれこれと考えているうちに、あっという間に成長してしまいます。
このとき、愛犬の心身の育ちのステージに応じた対応方法を飼い主が身につけておかなければ、何歳からでもしつけはできますが愛犬の心の発達においてベストなしつけのタイミングを逃してしまいます。
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