犬との生活をより充実させるためには、適切なトレーニングが欠かせません。
犬のトレーニングにはさまざまな方法がありますが、大きく2つのカテゴリーに分けられます。
それは「Do」のトレーニングと「Be」のトレーニングです。
Doのトレーニングとは
「Doのトレーニング」とは、犬に具体的な行動を教えるトレーニングのことを言います。
俗に言う「服従訓練」のことです。
一般的に、ドッグスクールや動物病院で受けられるトレーニングはDoのトレーニングです。
オスワリ、フセ、マテなどの基本的なコマンドや、お手、ハイタッチなどの芸を取り入れたトレーニングが含まれます。
ドッグスポーツもDoのトレーニングに含まれます。
Doのトレーニングのメリット
- 理解しやすい
- 成果が分かりやすい
- 飼い主の虚栄心を満たす
Doのトレーニングは、コマンドと行動が明確に定義されているため、飼い主も犬も理解しやすく、成果が分かりやすいというメリットがあります。
また、指示通りに動く犬を他人に見せることで、自分の「犬操作能力」を誇示することができ、飼い主の虚栄心を満たします。
Doのトレーニングのデメリット
- ロボットのように命令に従うだけの存在になりがち
- 犬はオヤツがないと行動しなくなる
- 生活上の問題を何も解決しない
Doのトレーニングしか教わらなかった犬は、ロボットのように命令に従うだけの存在になってしまいます。
また、トレーニングのご褒美にオヤツを使ったばあいは、オヤツを常に与えることで、犬はオヤツがないと行動しなくなる可能性があります。
これは、犬が行動の目的を「指示に従うこと」から「オヤツをもらうこと」へとすり替えてしまうために起こるものです。
また、教わった動作しか学んでいないため、生活上の問題を何も解決しません。
Beのトレーニングとは
一方、「Beのトレーニング」は、犬の心をより穏やかに、安心して社会に適応できるようサポートすることを目的に行なうものです。
服従訓練との対比で「心の教育」ということもあります。
また、「心の器を広げるトレーニング」と呼ばれることもあります。
Beのトレーニングは、無駄吠え、噛みつき、分離不安などの問題行動を改善したり、性格面において犬に自信を与えたり、心を落ち着かせるためのトレーニングです。
Beのトレーニングの重要性
Beのトレーニングは、Doのトレーニングを成功させるだけでなく、犬の成長全般に不可欠な土台となる基礎を築きます。
Beのトレーニングでは、以下のような効果を得られます。
- 問題行動の改善(すでに発生している個別具体的な行動の修正)
- 自信の向上(恐怖心からくる問題行動の改善などにつながります)
- 社会性の向上(無用な恐怖心を抱くことがなくなります)
Beのトレーニングの問題点
しかし、Beのトレーニングは、以下のような理由から、一般的に受けられる機会が少ないのが現状です。
- 教えるには服従訓練とは別の専門知識や経験が必要
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 成果の一部は目に見えにくい
教えるには服従訓練とは別の専門知識や経験が必要
Beのトレーニングは、犬の性格や行動を理解し、問題行動の原因を特定する専門知識や経験が必要となることから、Doのトレーニングを教えられる人の数に比べて、教えられる人材が圧倒的に少ないということがあります。
成果が出るまでに時間がかかる
Beのトレーニングは、犬の性格や精神状態を変えるため、定着させるまでに時間がかかることがあります。
また、飼い主自身がその状態をキープできることが「成果」となるため、飼い主が愛犬に教えられるようになるまで根気よく続ける必要があります。
トレーナー任せでなく、飼い主自身が根気強くトレーニングを続けなければ目的を達成できないことから、犬には変われる素質があっても、飼い主のほうが頑張れずにトレーニングを諦めてしまうこともあります。
成果の一部は目に見えにくい
直接的な問題行動への回避方法による対処の後にBeのトレーニングへ進むと、得られる成果は犬の性格や精神状態の変化といった目に見えにくい成果が中心となるため、飼い主がすぐに成果を実感しにくいという側面もあります。
このため、飼い主自身がその変化を理解できるところまで学び続けることができず、途中で諦めてしまうことも、残念ながらごくまれにあります。
もちろん、年齢が高くても意欲的にしつけに取り組み、きちんと目的を達成する飼い主さんもたくさんいらっしゃいます。そういう飼い主さんに出会うと、本当に尊敬しますし、頭が下がります!
本来、DoのトレーニングはBeのトレーニングの上に成り立つ
しかし、じつはDoのトレーニングはBeのトレーニングの上に成り立つものなのです。
たとえば、犬にオスワリを教える場合、まず犬が落ち着いて集中できる状態にする必要があります。
興奮していたり、不安を感じていたりすると、コマンドを理解し、実行することができません。
そのため、Doのトレーニングを効率的に習得するためには、まず先にBeのトレーニングを飼い主が学び、習得しておく必要があります。
それによってはじめて、動作を教えるために飼い主が犬を落ち着かせ、集中させることができるのです。
犬が落ち着いて集中できる状態になるからこそ、コマンドを理解し、実行できるようになります。
愛犬に早く訓練を覚えさせたいなら、本当はBeのトレーニングを先にしっかりやったうえで、Doのトレーニングをはじめるべきなのです。
飼い主の意識改革
飼い主の皆さんは、犬のトレーニングはDoのトレーニング(服従訓練)だけではないことを理解し、Beのトレーニング(心の教育)の重要性を認識する必要があります。
「しつけ教室に通わせたけど無駄だった」
という飼い主さんは、本来目的を達成するためには「Beのトレーニング」を受けるべきであったにもかかわらず、「Doのトレーニング」をうけてしまったことで目的を達成できなかったのです。
まずはBeのトレーニングを学ぶ
まずは、飼い主自身がBeのトレーニングについて学び、犬との実生活に活かせるようになることが大切です。
ドッグスクールや動物病院を選ぶ際には、Beのトレーニングにも力を入れているところを選ぶと良いでしょう。
Beのトレーニングはオーダーメイド
とは、言ったものの、実際にBeのトレーニングを習おうと思うと見つけるのは難しいかもしれません。
なぜなら、犬の個性も十人十色、飼い主家族の家庭環境もさまざまなため、オーダーメイドにならざるを得ないからです。
現状では、プライベートトレーニングを選択することになるでしょう。
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本で学べることもある
また、本で知識として得られることも少なくありません。
以下で紹介する本は、いわゆる「Beのトレーニング」の理論をベースに展開されているものです。
もし、まだ読んだことがないばあいは、ぜひ一度読んで頂きたいと思います。
目からうろこがバリバリ落ちること請け合いです。
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まとめ
DoのトレーニングとBeのトレーニングは、犬のトレーニングにおいて密接に関係しています。
DoのトレーニングはBeのトレーニングの成果の上に成り立っており、Beのトレーニングによって培われたメンタルが、Doのトレーニングを支えています。
犬との生活をより充実させるためには、DoのトレーニングとBeのトレーニングのちがいを理解し、両方のトレーニングを適切な順序で行なうことが重要です。
Beのトレーニングは、犬がより安定した心で、社会に適応できるようするために不可欠なものです。
愛犬との生活をより良いものにするために、Beのトレーニングを積極的に取り入れましょう。
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