カイロスドッグトレーニングでは保護犬譲渡の条件として、お散歩時の「ダブルリード」をお願いしています。
なぜ、ダブルリードが必要なのか
なぜなら、完全に自分の家族と家なのだと理解できるまでは、命がけで逃げようとするのが保護犬の常だからです。
多くの場合、保護犬として譲渡される犬は、あなたの家にやってくるまでに、大きな生活の変化を短期間に経験してきました。
不安と恐怖による命がけの脱走
保護犬たちにとっては、これから自分が「生きるか・死ぬか」も分からず、不安と恐怖に押しつぶされそうになっています。
ふとしたきっかけでパニックを起こして犬が脱走してしまうニュースが後を絶ちません。
残念なことに、時間とお金と労力を尽くして助け出され、ようやく新しい飼い主へとつないだ命が失われてしまうことが日本全国で毎日頻発しています。
保護活動にかかわる者たちにとって、犬たちの「脱走」は譲渡直後の心配の種です。
6. ゆっくり家族になっていく
保護犬が、新しい家庭で暮らし始めてから家族との生活に慣れるまでのあいだに示す心理・行動の一般的なプロセスを『3D・3W・3Mの法則』といいます。 ゆっくり、家族になっていく… 同じ犬は1匹としていません。家族に慣れるまでのプロセスには個人差がありますが、おおよそ以下のような変化を経ながら...
このため、譲渡した犬が本当に家族の一員として完全に馴染み、安心してお散歩ができるようになるまでは、外出時の「ダブルリード」を譲渡の条件としていることが多いようです。
もちろん、カイロスドッグトレーニングにおいても保護犬の譲渡は「ダブルリード」を条件としています(最低1年程度)。
もちろん、どんなに家族のそばを離れず歩けるようになっても、ノーリードでお散歩をさせることはお断りしています。
「100パーセント絶対に大丈夫」ということはないからです。
方法によっては意味がないことがある
「ダブルリード」の定義は、人によって、保護団体によってまちまちです。
しかし、その内容によっては、そもそもの目的(犬を逃がさない)を考えると心もとない内容であることも少なくありません。
よくある「ダブルリード」の内容としては、以下の2パターンがあります。
NGパターン1:1つの首輪に2本のリードをつける
ひとつの首輪にリードを2本つけたとしても、首輪がすっぽ抜けてしまえば即アウトです。
→改善策:2つの首輪それぞれにリードをつける
しかし、以下の写真のように、2つの首輪それぞれにリードをつけるのであれば、目的に叶います。
上記の方法をとる場合は、1本のリードの持ち手は腕に通し、もう1本の持ち手はしっかりと手に握って使うことが重要です。
NGパターン2:Y字形リードを首輪とハーネスにつける
先端が2本に分かれた形状のリードで、フックが2つあるものがあります(2頭引き用リードとして販売されています)。
しかし、いくら首輪とハーネスを着けていたとしても、1本しかないリードを食いちぎられたり、手からリードが離れてしまったらアウトです。
Y字形リードの例
→改善策:リードの持ち手側にも安全対策があるもの
リードが1本しかないと、手から離れてしまったらアウトなので、手からリードを落とさない工夫をしてあるY字リードもあります。
上記のY字リードには、持ち手にも安全装置がついているため、忘れずに安全装置を着けていれば、リードの取り落としについては危険を免れるでしょう。
らまっとさんで販売している「セーフリー」も、とっても便利でお勧めです↓
手持ちのリードに取り付けて使える安全装置です。
安全を確保するダブルリードの方法は?
これまでみてきたとおり、よくあるダブルリードの方法はいずれも事故を防ぐ目的において、少々不安が残ります。
このため、カイロスドッグトレーニングでは、以下の2つの組み合わせによるものを「ダブルリード」と定義し、お勧めしています。
- 首輪+リード
- ハーネス+ジョギング用リード
1-1:首輪はマーチンゲールカラーを
①の装備においては、シンプルなリードとマーチンゲールカラーの組み合わせをお勧めしています。
理由その1
犬が後ろに後ずさりをしてもすっぽ抜けることのない構造になっているため、適切なサイズで使用していれば首輪抜けによる逸走を防ぐことができるためです。
理由その2
リードを引くと締まり、リードを緩めれば首輪も緩む仕組みは、犬にとって飼い主の合図を受け取りやすいのです。
犬はリードが張っているときは、飼い主の望む行動がとれていないと考え、自らあれこれと正解を探して試行錯誤します。
望む行動がとれた時はリードを緩めることで、それが正解であると伝えることができるからです。
マーチンゲールカラーについてもっと知りたい
マーチンゲールカラーの詳細については、以下の記事で解説しています↓
首輪の形・種類について知る
首輪は愛犬とのコミュニケーションツール 可愛いものやカッコイイものがたくさん売られている首輪やリードですが、じつは単なるファッションアイテムではありません。リードを通じて愛犬に飼い主の気持ちを伝えるための、大切なコミュニケーションツールです。 体型に合った首輪を使っていますか? このた...
ウチのコにぴったりの首輪えらび:マーチンゲールカラー
以下の記事でも紹介したとおり、首輪にはさまざまな種類があります。そして、犬にも大小さまざまな大きさ・体型の犬種が数多く存在しています。愛犬の首輪を選ぶ際は、体型に合わせたセレクトが重要になりますが、体型によってはぴったりの1本が見つけにくいこともあり、合わない首輪を着けている...
マーチンゲールカラーの扱い方
コメントこの「マーチンゲールカラーの扱い方」の記事は、とてもたくさんの方に読んで頂いているようなので、さらに詳しい解説を追加しました↓ どんな犬種に対しても、もっともお勧めする首輪のタイプはマーチンゲールカラーですが、その効果を最大限に発揮するためには、扱い方に少しコツが必要になります。こ...
1-2:リードは短くて持ちやすいもの
首輪につけたリードは、飼い主が手にもち、指示を出すために使います。
このため、あれこれ機能がついていないシンプルなデザインで、握りこみやすく、滑りにくいものがお勧めです。
犬の体高と飼い主の身長によって、ベストなリードの長さは異なりますが、だいたい120~180cmくらいの長さのものがお勧めです。
また、リードの幅も、飼い主の手の大きさ・犬の体重や引っぱりの強さにより、1~2cm程度のものから選ぶことになります。
太さはリード捌きの重要なポイントになるため、実際に握って試してみるのがお勧めです。
シンプルなリードとは?
リードについてのより詳細な解説は以下の記事で紹介しています↓
リード・引き綱の種類
愛犬とのお散歩にはどんなリードを使っていますか? リードは飼い主と愛犬をつなぐ非常に重要なアイテムであり、ファッションアイテムではありません。 このため、リード選びは首輪選びとともに、人間が靴をえらぶときと同じように使う犬や人、状況にあったものを使わなくてはいけません。 リードを使用する理由を...
リードのえらびかた
ワンちゃんとのお散歩に使うリードはファッションアイテムではなく命綱です。また、リードは愛犬に飼い主の意思を伝える大事なコミュニケーションツールでもあります。リードをもつ手の動きで、犬に「してほしいこと・してほしくないこと」を伝えます。なんでもよいわけではありません。リードの形...
PetSafe:ペットセーフ
PeSafe(ペットセーフ)はアメリカのペット用品会社です。PetSafe社製品のうち、以前は「Premier社」が販売していた首輪とリードが安価でとても使いやすく大変お勧めです。 つぶやきもとからPetSafe社が販売していた商品はイマイチ… 残念なことに国内ではペットショップなどの店...
Suzyお勧めのシンプルなリード
2-1:すっぽ抜けないハーネスを
②の装備では、ハーネスとジョギング用リードを使用します。
ペットショップには、おしゃれなハーネスがたくさん売られています。
しかし、その大半はファッション性を重視し、安全性についてはあまり考慮されていないように思います。
これまで数多くのワンちゃんとのレッスンやお世話を通じて、たくさんの種類のハーネスを使用してきましたが、お勧めできるハーネスは今のところ、以下の2社の製品のみです。
モンベル(RUFFWEAR)
ご存じ、山登り・アウトドア用品のモンベルでは、首輪、ハーネス、リード等を販売しています。
山登りの専門メーカーだけあって、強度抜群で安全性の高い製品ばかりです。
ハーネスはすっぽ抜けが心配。でもRUFFWEARなら安心!【2024年版】
ハーネス(胴輪)を使うときに心配なのがすっぽ抜け!また、愛犬がどんなに指示に従う犬であったとしても自宅の外で犬をノーリードで自由に歩き回らせることは周囲の人に恐怖感を与え、愛犬の命を守ることもできません。たとえうっかりであっても愛犬からリードが外れてしまわないように、とくに保護犬を譲...
RUFFWEAR フロントレンジハーネス(#1874142)【2024年版】
RUFFWEARといえばコレという定番のハーネスです。Suzyが飼い主探しを引き受けた保護犬たちには、(ハーネスが着けられる子は)このフロントレンジハーネスを使っています。きちんとサイズを合わせていれば、どんなに抜けようと頑張っても脱げません。 RUFFWEAR:フロントレンジハー...
RUFFWEAR ウェブマスターハーネス(#1874137)【2024年版】
RUFFWEAR:ウェブマスターハーネス ウェブマスターハーネスは留め具が2つある3点留めのハーネスです。お腹のほうまでしっかりと犬の身体を包むタイプのハーネスです。円安の影響で2024年から定価が少々値上がりしています。 商品情報価格:1万1550円(税込) ...
インターネットではモンベル・オンラインで販売していますが、アウトレットモールやアウトドア用具店にテナントとして入っていることも多いため、お店に足を運んでみても良いと思います。
Hurtta
こちらもWEEKEND WARRIOR HARNESSについては、しっかりと犬の身体を包み込むデザインで、すっぽ抜けの心配なく使えます。
同じメーカーのものでも、形状が変わるとやはりすっぽ抜ける可能性もあります。
このページで紹介するハーネスのお値段は張りますが、首輪もリードもハーネスも命綱ですので、安全第一で選んでいただきたいと思います。
2-2:ハーネスにはジョギング用リード
首輪につけたリードにくわえて、ハーネスにつけたリードまで片手に持っていると、愛犬に対して首輪への合図をうまく伝えることができません。
また、片手に持ったリードは手からいっぺんに離れてしまいます。
このため、ハーネスにつなぐリードにはジョギング用のものを用意します。
ジョギング用リードの種類
ジョギング用リードは大きく分けて以下の2方式に分かれます。
- 肩掛式
- 腰巻式
肩掛式のデメリット
「肩掛けタイプ」と「腰巻タイプ」のどちらが良いのか?という質問をよく頂きます。
肩掛式のリードには、以下のデメリットがあると感じます。
- 片方の肩だけに負担がかかる
- 肩がこる
- (犬の)左右の移動がしづらい
ことから、リード捌きに影響が出てしまいます。
このため、Suzyは肩掛けよりも断然腰巻タイプをお勧めします。
腰巻式リードのメリット
腰に巻いたベルトにつなげて使用するため、ハンズフリーで使用できます。
このため、首輪につなげた1本のリードに集中することができるうえ、万が一首輪がすっぽ抜けたり、リードを手から取り落とすようなことがあっても、腰に巻いたリードとハーネスがつながっているため安心です。
ただし、腰巻式でも注意しなければいけないことが2つだけあります。
- リードの伸ばしすぎに注意
- 引っ張られたときに腰を持っていかれないように
リードを長くしたまま歩いてしまうと、自転車や歩行者の通行の妨げになってしまいます。
手に持つリードより短いものを使用するほうが扱いやすいです。
また、突然の引っ張りに腰を持っていかれてしまうと飼い主さんが腰を痛めてしまいます。
引っぱりの強い大きめの犬(15キロ以上)のばあいは、引っ張られたときに腰をもっていかれないよう踏ん張らないといけないかもしれません。
しかし、お散歩の練習を重ねていけば、犬も飼い主もお互いに、うまく扱えるようになってきます。
手作りで節約
ハーネスに予算を使ったので、2本目のリードは安く済ませたい…ばあいは、ベルトとリードがあれば、100均で部品を買い足せばジョギング用リードは作れると思います(私は自作して使っています)。
お勧めのジョギング用リード
PETBABA(ペット・ババ)のジョギング用リードは安くてとても使いやすいのでお勧めです。
リード・引き綱の種類
愛犬とのお散歩にはどんなリードを使っていますか? リードは飼い主と愛犬をつなぐ非常に重要なアイテムであり、ファッションアイテムではありません。 このため、リード選びは首輪選びとともに、人間が靴をえらぶときと同じように使う犬や人、状況にあったものを使わなくてはいけません。 リードを使用する理由を...
また、ハーネスで紹介したモンベルからもジョギング用リードがいくつか販売されています。
悲報:mont・bell ドギーリード【廃版】
肩にかけて使ったり、腰に巻いて使ったり、柱に係留したりと、いろいろ便利に使えるドギーリードは、2023年11月現在、残念ながら廃版になったようです。アウトレットで探せば、まだ手に入るかもしれません。 コメントSuzy宅最寄りのアウトレットモールでは、廃版としてアウトレット価格にて販売されて...
RUFFWEAR:クラッグEXリーシュ(#1874576)【2024年版】
クラッグリーシュは2024年にリニューアルされ「RUFFWEARクラッグリーシュ」から「RUFFWEARクラッグEXリーシュ」になりました。以前のクラッグリーシュはサイズがM・Lの2種類ありましたが今回からはワンサイズ展開となっています。 RUFFWEAR クラッグEXリーシュ 腰に巻い...
モンベルの製品はリードの長さや太さが男性向き(大きい)ため、小柄な方や女性は少し扱いづらいかもしれません。
さいごに
最終的に、愛犬との絆をしっかりと築くことができた後には、このハーネスと腰巻のリードのみでお散歩に出られるようになるでしょう。
「安全装置」から「安心装置」へ
このときリードは、愛犬のための「安全装置」から、犬が苦手な方のための「安心装置」になります。
ハンズフリー(お散歩バッグは忘れずに)で一緒にジョギングを楽しむ日を目標に、これから家族に迎える愛犬とともに、焦らず一歩ずつ頑張りましょう。
リードの種類や使い勝手については、こちらの記事もご参照ください。
リード・引き綱の種類
愛犬とのお散歩にはどんなリードを使っていますか? リードは飼い主と愛犬をつなぐ非常に重要なアイテムであり、ファッションアイテムではありません。 このため、リード選びは首輪選びとともに、人間が靴をえらぶときと同じように使う犬や人、状況にあったものを使わなくてはいけません。 リードを使用する理由を...
LINEでSuzyに質問!
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教えて!Suzy!!
Suzyに聞きたい! 犬のしつけ情報を探してインターネットをしていてこのサイトにたどり着き、いろいろな記事を読んでみて、もっと知りたいと思うことがあったかもしれません。そんなときは、LINEお友達登録のうえ、チャットでご質問をお送りください。 質問受付中 誰かが知りたいと思っていること...