2022年6月に、ペットショップやブリーダー等の動物販売業者に対して、販売する個体には予めマイクロチップを埋め込んでから、購入者へ引き渡すことが義務化されました。
マイクロチップは「落とす心配がない迷子札」です。
しかし、Suzyは保護犬を譲渡する際里親さんに、身体の外側にも必ず「迷子札」をつけていただくようにお願いしています。
なぜ、マイクロチップを装着していても迷子札を付ける必要があるのでしょうか?
本記事では、保護犬の譲渡活動を行っているSuzyが、譲渡した保護犬が二度と飼い主を失わないために行っている対策のひとつである「迷子札」について掘り下げます。
もし、まだあなたの愛犬に「迷子札」を着けていなかったら、この記事を読んで愛犬にピッタリの迷子札を選んであげてくださいね。
マイクロチップが選ばれた理由
犬猫の販売時に個体に装着して渡すことが義務となった「マイクロチップ」のほかにも犬が飼い主とはぐれてしまった場合の備えとして、
- 迷子札または犬鑑札
- タトゥー(刺青)
があります。
しかしながら、これらの迷子対策には以下のようなデメリットがあります。
迷子札(犬鑑札を含む)の弱点
首輪に取り付けたり、ネックレスのように首にかけておくことが多い「迷子札」ですが、以下のような弱点があります。
落とす・失くす
首輪に付けていたものを、気づかないうちに落としてしまうことがあります。
お散歩中に、道端や草むらに落ちている「迷子札」を見かけたことのある方もいるのではないでしょうか?
(Suzyはたくさんあります)
読めなくなる
ペンで書いたものや印刷したものは、日々使っているうちに摩耗したり汚れたりして、書いてある文字が読み取れなくなることがあります。
金属に刻印したものは、読み取れなくなることは少ないかもしれません)。
犬鑑札の発行をしない自治体も増えている
マイクロチップの挿入が義務化されたことによって、マイクロチップの番号で個体の管理ができるようになったことから、犬鑑札の発行を取りやめる自治体も増えてきました。
これから、新たに畜犬登録をする際には、お住まいの地域によっては犬鑑札がもらえないケースもあります。
タトゥー(刺青)の弱点
タトゥーは、血統書作成時に子犬の右耳の内側もしくは腹部に番号を刻印するものです。
ジャパンケネルクラブ(JKC)や警察犬協会等の血統書の発行団体による管理の下に行われます。
タトゥーはマイクロチップの普及する以前から、血統書のすり替えが起こらないように個体識別情報を身体に直接記録するために行なわれてきました。
しかし、タトゥーには以下のような弱点がありました。
機会は血統書作成時に限られる
タトゥーは血統書に記載する個体識別番号です。
このため、ブリーダーが血統書を申請する際に実施する以外に個体識別のためのタトゥーを施す機会はないと考えられます。
薄くなる・消える
また、子犬時代に入れたタトゥーは体の成長に伴って刻印のカタチが歪んだり、色素が薄くなったり、施術箇所に毛が生えてきたりして判読しづらくなるというデメリットがあります。
これらのデメリットを補完するのがマイクロチップなのです。
このような理由から、輸出入や引っ越し等で海外と行き来するすべての犬には、マイクロチップの装着が義務付けられています。
マイクロチップは迷子札やタトゥーのデメリットを補完できる迷子対策です。
マイクロチップにも弱点がある
画期的な迷子対策である「マイクロチップ」ですが、弱点もあります。
外から見ても分からない
外から見たり触ったりしても、その動物がマイクロチップを装着しているかどうかは分かりません。
専用の機器が必要
また、体内のチップ読み取りには、専用の機械が必要となります。
この読み取り機は、保健所や動物病院のほか、警察署など、限られた場所にしかありません。
読み取れるのは15桁の数字だけであり、そのバーコードに登録された飼い主情報には、誰でもアクセスできるわけではありません。
個人情報保護が足かせに
個人情報保護の観点から、その情報(15桁のバーコードにヒモづく飼い主情報)を取得できるのは自治体と警察のみとなります。
このため、誰かが迷子の犬を見つけて動物病院に連れて行ったとしても、マイクロチップの番号を読み取ることしかできません。
チップの番号に紐づいた飼い主情報の確認は、行政機関に依頼する必要があります。
行政機関の対応は開庁日・時間帯に限られてしまうためバーコード情報の確認と飼い主への連絡はどうしても遅くなってしまいます。
日本獣医師会の「AIPO」
愛犬が迷子になってしまったときに少しでも早く連絡がつくようにしたいと思う飼い主さんは、環境省以外に日本獣医師会の「AIPO」(マイクロチップ登録事業)にも追加登録をしておくことをお勧めします。
手数料は別途1000円ほどかかりますが、「AIPO」に登録してあれば、動物病院がマイクロチップの番号に紐づく飼い主の情報を直接入手することが可能になります。
このため、環境省のみに登録しているよりも、保護後の飼い主への連絡が早まる可能性があります。
警察署への問い合わせ
なお、2022年にマイクロチップの挿入が義務化されて以降は、マイクロチップの認知が浸透したことから、動物病院等で読み取ったバーコード情報は、警察署に照会することが一般的になっているようです。
保健所などと異なり、24時間365日対応している警察に問い合わせることが、もっとも早道となっています(2025年11月追記)。
マイクロチップの弱点を補完する「迷子札」
このマイクロチップの弱点を補完するために有効なのが、首輪に「迷子札」を取り付けることです。
迷子札には、犬の名前や飼い主の連絡先を記載することになります。
このため、飼い主にとって自分がこの子の飼い主なのだという自覚が沸くアイテムでもあります。
ぜひ、わが子に似合う迷子札をプレゼントしてあげてください。
さまざまなタイプの迷子札が売られていますが、ここでは一部をご紹介します。
オーダータイプ
名前や電話番号をプリントしたり、刻印してくれるサービスです。
材質もいろいろあります。
首輪に刺繍
首輪そのものに、名前や連絡先を刺繍してしまうという方法もあります。
革製
革にレーザーでプリントをしたものを、首輪に取り付けるタイプです。
金属製
金属に刻印するタイプの迷子札は、プリントと異なり文字が消えてしまうことがありません。
落としさえしなければ、ずっと使い続けることができます。
タラ氏も金属製の迷子札を新調しました。
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ハイテク系
近年、IT技術を活用したペット関連のサービスが発展しています。
以下に、テクノロジーを利用した、迷子対策関連の商品をご紹介します。
- AppleのAirTag
- QRコード
AppleのAirTag
Appleは使い方として推奨してはいませんが、AppleのAirTag(エアタグ)を迷子札にプラスして取り付ける方も増えています。
Suzyも譲渡する保護犬にはAirTagの取り付けを必須としています。
AirTagをペットの迷子札として使用する方のために、さまざまな専用ケースが販売されています。
AirTagケースの例↓
QRコード
迷子札が、電話番号などの個人情報をいつでも誰でも見られる状態になっていることに、セキュリティ面で不安を感じるという飼い主さんもいるでしょう。
そのような不安に対応するために、飼い主情報をQRコード化した迷子札も存在します。
ペットの情報(写真・名前・飼い主の住所・連絡先など)は全てクラウド上に登録され、QRコードを読み取った人に公開するかどうかは、あらかじめ設定することができます。
このタイプの迷子札は、誰かにQRコードを読み取られると、飼い主があらかじめ登録したメールアドレスに、迷子札の位置情報の通知が届く仕組みになっています。
商品が届くまでのあいだも「仮迷子札」を
名前や電話番号を印字するオーダー品は、届くまでに数日~1週間ほど時間がかかってしまいます。
しかし、注文した迷子札が届くまでのあいだにも、迷子になる危険性は当然存在します。
このため、注文した迷子札が届くまでのあいだも、仮の迷子札をつけてあげてください。
迷子札を手作りする
迷子札は、手作りすることもできます。
犬の名前と飼い主の連絡先メモを入れるためのケースが販売されています。
自分で紙に書いて、ケースを首輪に取り付けるだけなので簡単でお勧めです。
プラバンで迷子札づくり
過去に保護犬を譲渡した飼い主さんのなかには、お子さんが書いた犬の似顔絵をプラバンにプリントして、オリジナルの迷子札を手作りした方もいらっしゃいました。
100均グッズでオリジナル迷子札
100均には、手芸用品や事務用品もたくさん売られています。
こうしたものを組み合わせて、オリジナルの迷子札を作っても楽しいです。
- キーホルダーキット(ダイソー)
犬鑑札と狂犬病ワクチン接種済票も忘れずに
うっかり忘れがちですが、住所を所管する役所で畜犬登録をした際に発行される「犬鑑札」と、狂犬病ワクチンを接種する毎にもらえる「接種済票」も立派な迷子札です。
狂犬病予防法により、犬鑑札と注射済票は犬に装着することが義務付けられていることを忘れてはなりません。
上記でご紹介した迷子札は、これらに加えて装着するものになります。
まとめ
犬は日本語をしゃべれません。迷子になっても、誰かに自分の家の場所を伝えることはできないのです。
犬には帰巣本能があると言われますが、迷子になったすべての犬が自力で自宅に帰ることはできません。
むしろ、自力で帰ろうとする途中で、事故に遭うリスクのほうが高いです。
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