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犬がマウンティングする理由とやめさせる5つの方法

Q:生後4カ月のオスの柴犬を飼いはじめました。今、7カ月で思春期に入ります。最近私の足に絡まり腰を上下します。こんな時の対応に戸惑ってしまいます。(テルヨ)

という、ご相談を頂きました。

「足に絡まり腰を振る」というのは、いわゆる「マウンティング」と呼ばれる犬の行動です。

今回は「マウンティング」について、取り上げたいと思います。

犬がマウンティングをする理由と、愛犬のマウンティングに対して飼い主はどのように対応するべきかについて解説します。

犬のマウンティングとは?

犬の行動のひとつで、対象の上にまたがって腰を振る行動のことを「マウンティング」と言います。

その姿が犬の交尾行動にも似ていることから、見た人が驚いてしまうことも少なくありません。

犬がマウンティングをする対象

犬がマウンティングをする対象は、なにも犬に限りません。

対象は犬のほかにも、飼い主や子どもなどの「人間」や、ぬいぐるみなど「物」であることもあります。

同種の動物でなくても、動物でなくても、マウンティングの対象になります。

メスもするマウンティング

「マウンティング=交尾行動」という印象が強いため、マウンティング行動をするのはオスの犬だけで、マウンティングされるのはメスの犬だけだと思いがちです。

しかし、オス同士でマウンティングをすることも全く珍しいことではありません(むしろオス同士のほうが多いです)。

また、メス犬もマウンティングをすることがあります。

コメントメス犬の飼い主さんはマウンティングする我が娘(犬)を見て、ショックを受ける方が少なくありません(笑)

犬がマウンティングをする理由

今のところ、以下のような理由が原因で、犬はマウント行動を行なっていると考えられています。

  1. 性的行動
  2. 上下関係をつける
  3. 遊びの一種
  4. 興奮の表れ

性的行動

犬がマウンティングをしている姿を見て、人間が真っ先にイメージするとおり、たしかに性衝動に基づいて行うマウンティングもあります。

性的行動としてマウンティングをしているかの判断としては、以下の点を参考に考えます。

性成熟の時期に始まった

早い子で生後4カ月、遅い子で1歳半~2歳頃に始まります。

それ以前にはマウンティングをするところを見たことがないばあいは、性的行為の可能性が高いでしょう。

興奮度がその他のケースと明らかに異なる

目が血走っていたり、呼吸が過剰に荒かったり、目の前にあるオヤツも視界に入らない(食事をとらない)など、明らかな興奮状態にあり、普段とは様子が異なります。

また、マウンティングの対象は以下となります。

  1. 物(ぬいぐるみ・クッション等)

対象ごとに解説していきます。

犬に対して

性衝動に基づく交尾行動として、オス犬がヒート中のメス犬に対して行ないます。

コメントヒートとは、未避妊のメス犬の陰部から出血(生理)がはじまり、出血終了から10日後くらいまでの期間のことを指します。この期間中に交尾をすることで犬は妊娠します。

人に対して

犬は1キロメートル先の1滴の血の匂いを判別できるほど嗅覚にすぐれた動物です。

このため、住宅の密集した地域(マンション群など)では、一年中どこかにヒート中のメス犬がいて、匂いでオス犬を誘っています

しかし、室内で飼育されている犬は、ヒート中のメス犬のところへ実際に行くことができません。

このため、代替行動として手近な相手にマウンティングをすることで、繁殖の欲求を満たします。

オス犬が繁殖欲のためにマウンティングをする際は、普段から密に関わっている女性の飼い主や、若い女性に対して行なうことが多いです。

物に対して

また、上述のように繁殖欲の代替行動としてマウンティングをしたいときに、手近にある「ぬいぐるみ」や「クッション」に対してマウンティングをすることもあります。

性的行動への対処方法

本能に基づく行動はしつけや訓練で止めることはできません

性衝動に関わるマウンティングへの対策は、早めの「避妊・去勢手術」に限ります。

メス犬は1日も早く避妊手術を!

Suzyは保護活動に関わるようになって、飼い主が避妊手術を怠った結果、望まない妊娠によって生まれ放棄される子犬が、いまだに毎年全国で何千頭も発生している現実を知りました。

メス犬を家族に迎えたら、1歳くらいまでには避妊手術を済ませましょう。

また、もし生理が始まってしまったら、ヒート期間が終了するまで散歩は控えます。

それができない住環境(マンション住まい、庭がない等)でメス犬を飼育しているのならば、そこは繁殖には適さない環境といえます。

ヒート期の犬のストレスも考えて、避妊手術をすることを強くお勧めします。

オス犬も、1日も早い去勢手術を!

足を上げておしっこをするようになるのも、「自分をより大きく見せる」ことで自分の優位を誇示したいという気持ちの表れによる行動です。

なぜ、自分の優位を誇示したいかといえば、繁殖の権利を得るためです。

足を上げてオシッコをし始めるようになったら、性成熟が始まって来た証拠と考えてもよいでしょう。

未去勢のオス犬は「繁殖の権利」を得るためなら、命を懸けます。

家の2階の窓から脱走したり、壁を破壊したりするなど、平時では考えられないような行動力をみせます。

脱走した結果、車に轢かれるなどの事故に遭うこともあります。

マウンティングやマーキング等は性ホルモンによる行動ですが、その行動が習慣になってしまうと、去勢手術をしても行動を変えることができません。

このため、「1日も早い去勢手術」を提唱しています。

繁殖にまつわるストレスから解放してあげるためにも、一刻も早い去勢手術をお勧めします。

コメント避妊・去勢手術のタイミングについては、さまざまな意見があります。かかりつけの獣医師と相談のうえ、計画をたてるようにしましょう。
また、思春期のしつけは、避妊・去勢手術の計画と同時にスタートすることをお勧めします。
繁殖のストレスについては以下の記事にて詳しく解説しています↓

上下関係をつける

犬社会には「(物理的に)上にいるほうがより強い」という暗黙のルールが存在します。

このため、犬のボディランゲージ(犬語)として「自分のほうが上である」ことを示す行為としても、マウンティングは行なわれます。

対象は以下のとおり。

  1. 人(とくに子ども)

対象ごとに解説していきます。

犬に対して

犬は出会う相手(犬)に対して、相手の力量や気分を探る習慣があります。

コメント人間も、初対面の人の性格を服装や表情、話しぶりから予測したり、知り合いに会えば体調や近況を訪ねますね。それと同じことです

犬が相手の様子を探る手段には、ボディランゲージや匂いなどがあります。

犬同士が出会うとお互いに匂いを嗅ぎあうのはこのためです。

このとき、相手の犬に対して「自分のほうが上である」ことを示したいときに示すボディランゲージには、以下のようなものがあります。

「自分のほうが上」を示すボディランゲージの例↓
  • マウンティングをする
  • 顎を相手の犬の肩や腰に乗せる
  • 前足を相手の犬の頭や肩に乗せる
  • 上から見下ろす

マウンティングをされた側の犬が受け入れれば、その場の上下関係が決着して「じゃあ、バイバイ」で、終わります。

しかし、相手の犬がそれを受け入れないばあいは喧嘩に発展してしまいます。

コメントマウントされて我慢したほうの犬は、多少のストレスを感じているかもしれません。もし、あなたの愛犬がマウントされても反撃しなかったら「ケンカをしなくて偉かった!」と、褒めてあげましょう!!

人に対して

犬は犬同士だけでなく、人間相手にも上下関係をつけようとすることがあります。

このとき、対象になるのは子どもや”優柔不断な”同性の飼い主であることが多いです。

たとえ2~3キロ程度の超小型犬であっても、腕や足にがっちりとしがみつかれると、犬の爪が肌に食い込みます。

その状態で腰を振られると、毛皮を着ていない人間はつかまれている部分にけっこうな痛みを感じます

引きはがすときには爪で引っかかれ、ミミズ腫れになったり、すりむいて出血することもあります。

小学生くらいまでのお子さんは、痛みと驚きで泣いてしまう子もいます。

また、大人相手でも「コイツは弱そうだな」と思えば、マウンティングを仕掛ける犬は少なくありません。

飼い主として一目置かれる振舞い方を身に付ける必要があります。

上下関係への対処方法

子どもに対して

子どもと犬が一緒にいるときは、保護者が目を離さないことが大切です。

一般的に、中学生くらいまでの子どもは犬の行動に対して適切な対応が取れる年齢ではありません。

コメントこのためPALのレッスンでは、子どもの参加は16歳以上の保護者が同伴であることを条件にしています

とくに、小学生以下の子どもだけに犬を任せないことが重要です。

遊びの一種

繁殖行動でもなく、お互いの上下関係をつけるための行動でもなく、「単なる遊び」としてマウンティングをする犬もいます。

遊びとしてのマウンティングについては、「犬」を対象にしているものとして解説します。

遊びでマウンティングをする犬の性格傾向

遊びでマウンティングをする犬は、明るくて、お調子者で、遊び好きです。

そして、カジュアルなコミュニケーションを好みます。

このため、他の犬と遊ぶときの動きもかなりダイナミックになります。

取っ組み合い(いわゆる「ワンプロ」)をしたり、お互いの身体をぶつけあったり、立ち上がって「がっぷり四つ」に組んだりして、激しく動いて遊びます。

遊びかどうかの判断基準

エスカレートしてくると、唸り声を出したり、ガウっと吠えたり、ワン!と大きな声で鳴いたりする子もいます。

その様子は、一見すると「喧嘩してるんじゃないか?」と判断に迷うようなボディランゲージの連続です。

遊びなのか、上下関係を付けようとしているのかを判別するには、

  • お互いに乗ったり乗られたりしているか?
  • 乗られたほうの犬が再び遊びに誘っているかどうか?
  • 双方が楽しそうにしているか?

を、2匹の表すボディランゲージから判断する必要があります。

コメント実際には、喧嘩スレスレのところで喧嘩に発展しないようにお互いに微妙な調整を入れながら遊んでいるという上級テクニックの下に繰り広げられるものが、遊びのマウンティングです

遊びへの対処方法

お互いにコミュ力の高い犬同士が、激しめの遊びを楽しんでいるだけであれば、とくに心配は要らないかもしれません。

しかし、相手の犬が「遊び」と受け取らず、「上下関係」をつけにきたと判断して怒り出し、そのまま喧嘩になることもあります。

また、マウンティングが交尾行動に似ていることから、マウントする犬をそのままにしている飼い主のマナーを疑う人もいます。

よほど気ごころの知れた飼い主さんと相性の良い犬が相手でない限りは、背中に乗りかかろうとしたらすぐにやめさせ、喧嘩に発展しないよう、もう少し穏やかな方法で遊ぶように仕向けます。

コメントじつは我が家のタラ氏は、マウンティング野郎です(ページ冒頭の写真参照)。タラ氏は我が家にやってくるまでは、犬だけの社会で自由に暮らしてきた犬です。マウンティングをコミュニケーションのひとつとして長年使い続けてきました。タラ氏は散歩中やドッグラン等で気の合いそうな犬や、教育的指導の必要な「トガった若犬(≒思春期)」を見つけると、速攻でマウンティングを仕掛けます。しかし、今やタラ氏がマウントを仕掛けようとする相手は、もれなく他の飼い主が紐づいた犬であり、マウンティングはトラブルの種となりかねません。このため、Suzyも現在進行形でタラ氏にマウンティングをやめさせるトレーニングを行なっているところです

興奮の表れとして

遊びと似ていますが、興奮している気持ちを収めるカーミングシグナル的な行動として、マウンティングを行なう犬もいます。

コメントマウンティングはカーミングシグナルとしての統一的な見解は出ていません。あくまでもSuzyの私見です

対象は以下のとおり。

  1. 物(ぬいぐるみ・クッション等)

対象ごとに解説していきます。

犬に対して

他の犬が興奮している姿を見て、自分も興奮してしまったときに、マウンティングをすることもあります(遊びと区別がつきづらいですが)。

人に対して

家族が隣同士でぴったりくっついて座っていると、愛犬が間に割って入ってくることがありますね。

これは、カーミングシグナルのひとつで、近づきすぎていると喧嘩になりそうだから、くっついているふたりの間に割って入ることで距離をとらせるための行動です。

これとおなじように、家族や友人同士などでくっついてはしゃいでいると、割って入ってマウンティングをすることがあります。

こうしたケースのマウンティングは、カーミングシグナルとして行なっているのではないかと思うことがあります。

物に対して

カーミングシグナルには「転移行動」というものがあります。

転移行動とは、動物行動学において「心に生じた葛藤を紛らわせるためにとる(葛藤の原因と)無関係な行動」のことを言います。

人間の心理学における代償行動と同様のものです。

この葛藤を解消するために、葛藤の対象とは無関係なぬいぐるみに対してマウンティングをすることがあるのではないかと考えます。

マウンティング行動の評価

このように、ひとくちに「マウンティング」といっても、その理由・原因はさまざまです。

犬によって、状況によって、マウンティングをする理由は異なるのです。

しかし、ヒトにも犬にも、あまり知られていないのが現状です。

人はマウンティングを性的行為と思いがち

マウンティングは必ずしも性的行動とは限らないということは、知っておくと良いでしょう。

もし、あなたの愛犬が他の犬にマウンティングをされたとき、「うちの子がヤられた!」とすぐに判断しないでください。

犬は上下関係を付けられたと思いがち

犬同士においては、マウンティングをされた側の犬は「俺のほうが弱いって言われた!」と考えて怒り出すことが多いです。

マウンティングによって生じる5つのトラブル

マウンティングするようになってしまった犬の飼い主が、愛犬のマウンティング行動を放置していると、遅かれ早かれ、以下のような問題が発生します。

  1. 犬同士の喧嘩・咬傷事故
  2. 他犬の飼い主とのトラブル
  3. 他人に怪我をさせる
  4. 衝動的な性格になる
  5. 陰部の損傷

以下で詳しく解説します。

犬同士の喧嘩・咬傷事故

上下関係を付けるためにも行われるマウンティングをすることは、犬同士の争いを誘発します。

犬は強い顎と丈夫な歯を備えています。

喧嘩になれば、その武器を駆使して相手を攻撃します。

そして、その気になれば大怪我を負わせることも、息の根を止めることもできます。

犬社会のルールをきちんと学ぶ機会のないまま家庭犬として生活をしている犬も多く、威嚇や攻撃の加減ができずに、相手に大怪我を負わせるケースも少なくありません。

チワワなどの小さな犬が大きな犬に喧嘩を挑んだ結果、反撃で命を失うこともあります。

要らぬトラブルを生まないため、また、愛犬が痛い思いをしないためにも、仮に遊びであったとしても、マウンティングは止めたほうが良いでしょう。

他犬の飼い主とのトラブル

犬を飼っている・いないに限らず、「マウンティング=交尾行動」と思ってる人はとても多いです。

このため、メス犬の飼い主さんは我が子が襲われていると感じて怒ります。

また、オス犬の飼い主さんのばあいは、「うちの子はオスなのに襲われた」と思って怒り出します。

犬同士でなく、飼い主同士が我が子(犬)をめぐって喧嘩になってしまうのです。

他人に怪我をさせる

人の手足にしがみついてマウンティングをするとき、犬はものすごい力で抱え込みます。

このため、爪で皮膚を傷つけてしまい、ミミズ腫れや擦り傷をつくってしまいます。

また、お子さんや犬の苦手な方は、物理的な痛みにくわえて恐怖心を抱き、心にも傷を負うことがあります。

犬が起こした事故によってケガを負わせたときに、飼い主が負うべき補償は膨大な金額になります。

マウンティングをさせないことは必須条件ですが、それに加えて傷害保険に加入して、万一に備えておくことも必要です。

衝動的な性格になる

マウンティングはすればするほど、興奮のボルテージを上げてしまいます。

いつでも本能の赴くままにマウンティングをすることが習慣になっていると、興奮の沸点が低くなり、ちょっとした刺激でも過剰に興奮する落ち着きのない性格を形成してしまいます。

興奮しやすい犬は扱いづらく、飼い主にストレスを与えます。

このため、日ごろから愛犬が感情のコントロールをできるように、飼い主は援助する接し方を身に付け、愛犬を過剰に興奮させないようにする必要があります。

「マウンティングを止める」は、その接し方の一つです。

陰部の損傷

オス犬はマウンティングで興奮すると、平時は体内に収まっている陰茎が外部に露出します。

興奮が収まった後も陰茎が包皮口にひっかかり、元に戻らなくなることがあります(嵌頓)。

そのままにしておくと、血行障害を起こして浮腫を起こします。

さらに放置が続けば、露出した部分が壊死してしまい、以降の愛犬のQOLを大幅に損なうことになってしまいます。

コメント嵌頓は包皮口付近の毛にひっかかることで生じることが多いようです。もし、嵌頓を起こしたら、応急処置として患部を濡らしたタオル等で冷やし、病院へ連れて行き元へ戻してもらいましょう

飼い主のとるべき対応

マウンティングは犬にとって当たり前の行動(正常行動)ですが、いつでも誰にでも犬のやりたいようにさせることは、さまざまなトラブルを生みます

このため、飼い主は愛犬がマウンティング行動をとらないように、対策を講じる必要があります。

マウンティングの止め方

犬がマウンティングをする理由とマウンティングの問題点についてご紹介してきました。

原則として、愛犬のマウンティング行動は止めたほうが良いということは、お分かりいただけたのではないかと思います。

では、具体的にはどのようにして止めれば良いのでしょうか?

マウンティング行動の原因は「興奮」

理由に関わらず、原因は「興奮」にあります。

このため、愛犬の興奮を収める方法を選択することになります。

禁止を伝える5つのテクニック

マウンティングに限らず「禁止」を伝えるには、おもに以下の5つの方法を使って行います。

  1. 怒りの表情
  2. 禁止の声かけ
  3. 首輪への合図
  4. 後足にチェック
  5. オスワリさせる

ひとつだけでは伝わりにくいため、複数の方法を同時に使っていきます。

最初は以下の5つのテクニックすべてを使っても、伝わらないかもしれません。

しかし、経験を重ね、信頼関係ができてくるうちに、使う方法の数を減らしても伝わるようになっていきます。

怒りの表情

犬が自分の感情を表すときは、耳の先からしっぽの先まで、全身を使って表現します。

わたしたち人間が犬にこちらの要望や気持ちを伝えたいときも、やはり全身を使って表現をしていくと犬も理解がしやすいのです。

「今」愛犬がしていることを飼い主が「して欲しくない」と伝えるには、その感情を表情で見せることが必要です。

自分ができる一番怖い顔で愛犬の目を見据えるようにします。

犬はとくに目の表情に注目して相手の感情を判断します。

鏡の前で、禁止が伝わる目の表情を研究してみてください。

禁止の声かけ

禁止を教えるときは、愛犬が吠える声よりも低い音でびしっと伝えます。

そのとき使う言葉は、「ノー」でも「ダメ」でも良いですが、自分の気持ちが一番乗る単語を使います。

もしくは、犬が「禁止」を理解しやすい音があります。

「あ」に濁点をつけた「あ”!」という音を使います。

犬は単語の意味よりも先に、音の高低や調子から、人間の言わんとしていることを推し量ることから人の言葉の理解をスタートします。

だいたいにおいて、叱る場面というのは突然やってきます。

そのときに、さっと口にできる言葉(音)のほうが使いやすいこともあり、Suzyは犬にNOを伝える際は、「あ”!」を駆使します。

状況によって、音の大きさや、言い方(「あ”っ!」や「あ”~~!」など)を使い分けます。

コメント叱られたときに、叱られていることが理解できるように、普段の声かけ(コマンドの出し方)は、よその2歳児に話しかけるくらいのトーンで行ないます。叱るときとそうでないときとの落差が大きいほど犬にとって分かりやすいのです

首輪への合図

表情や声かけで止めることができない(犬が飼い主の存在を意識できないほど興奮してしまっている)ときは、身体に働きかけることで気づかせる必要があります。

犬に合図を送るための犬具は、胴輪(ハーネス)ではなく首輪でなければ伝わりません。

このため、お散歩時にハーネスを使っているとしても、首輪もつけておき併用することが大切です。

マウンティングを止めるときリードがついているばあいは、リードを引いてNOを伝えます。

リードをつけていない状況であれば、首輪をつかんで引き、NOの合図を送ります。

後足にチェックを入れる

首輪を引いてもリードを引いてもマウンティングを止めないときは、もう一つ別の手段を使います。

犬の社会においては、犬同士が相手の犬に注意を促す際、後ろ足の付け根部分を鼻で突いて注意をします。

これを模して、手を犬の頭に見立てて親指を立て、四指をそろえてまっすぐに伸ばし、四指のほうで犬の後ろ足の付け根に対して、やや強めに突きを入れます。

コメント人間の皮膚に比べると、感覚がかなり鈍感なため、思っているより強めに突かないと気づきません

「突き」というと驚くかもしれませんが、これは、人間の状況に例えるならば、肩をトントンと叩いてこちらに注意を向けることに相当します。

気がそれた瞬間に「オスワリ」でカームダウン

マウンティング行動を止めても、そのままにしていては、犬は再びマウンティング行動を取ろうとします。

犬の興奮を鎮めなければいけません。

犬には「カーミングシグナル」という気持ちを落ち着けるためのボディランゲージがあります。

お手の次に飼い主が教える「オスワリ(お座り)」は、本来カーミングシグナルとして機能する犬の行動のひとつです。

マウンティングの対象から距離を取らせたうえでオスワリをさせ、愛犬の興奮を鎮めます。

理解するまで何度でも

上記に挙げた方法のすべてを使ってマウンティングを止めようとしても、1度や2度の注意では、犬はマウンティングをしてはいけないことを理解できないでしょう。

止めるまで注意を出し続けることで、ようやく求められていたことを理解できるのです。

愛犬が理解するまで、何度でも根気よく続けることが必要です。

テルヨさんへの回答

今回は、生後7カ月の柴犬のマウンティングを止める方法についてご質問を頂きました。

じつは、 マウンティングの静止方法に犬種による違いはありません。

先に述べた方法を駆使してマウンティングを止めていきましょう。

強いて言うなら柴犬には、とくに飼い主の「毅然とした態度」が重要となります。

ひるむことなく、きっちりと「NO」を伝えていく気概が重要なポイントです。

まとめ

犬のマウンティングは犬の正常な行動ではありますが、現代の家庭犬においては、犬自身のコミュニケーション能力が劣化していること、飼い主の勉強不足から、さまざまなトラブルの種となります。

マウンティング行動にはさまざまな意味がありますが、しない・させないに越したことはありません。

飼い主は愛犬の感情の上下に常に注意を払い、マウンティングによる過剰な興奮をさせないようにしましょう。

もし、遊びのマウンティングを楽しめる犬友達ができたのであれば、それはとてもラッキーなことです。

相手が嫌がっていないかどうか、愛犬がヒートアップしてやりすぎていないかに注意しながら、飼い主が遊びの管理をしましょう。

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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