犬も歯みがきが必要だということは随分と知られてきましたが、実際に愛犬に歯みがきをしている飼い主さんとなると途端にその数が激減します。
飼い主さんとお話をしているなかで「歯みがきしてますよ」とおっしゃるので、その具体的な方法を聞くと「歯みがきガムをあげている」という回答がとても多いです。
歯みがきガムは与えないよりマシかもしれませんが歯みがきの代わりにはなりません。
「どうせオヤツをあげるなら歯磨き効果もあるもの」というスタンスで与えてください。
歯みがきしないとどうなるの?
犬の唾液は人間のものとはphが異なり、犬が虫歯になることはめったにありません。
しかし、歯周病になりやすく、シニア期になってから歯のトラブルが原因で体調をくずすことも珍しくありません。
歯周病になると・・・
- お口が臭う
- 歯が痛くてごはんが食べられなくなる
- 常に痛むので不機嫌になる(いままで我慢できていたことを我慢できなくなる等)
- 心血管系の病気や糖尿病になる*
Tips*歯周病菌による歯茎の出血部分から毒性物質が血流にのって全身に回ることで、心血管系の病気や糖尿病の原因になると考えられています
と、いうようにたかが歯みがきと思っていると、愛犬が歳をとってから辛い思いをすることになってしまいます。
犬の歯科治療は全身麻酔
人間と異なり歯の治療にも全身麻酔が必要になります。
治療が必要になったときには老齢になっていて、すでにその体力が残っておらず、治療してあげることができないということにもなりかねないからです。
歯みがきの練習を始めよう
口の中の感覚は体全体で見ても最後まで敏感性が残りやすいところで、いきなり愛犬の口のなかに歯ブラシを突っ込んでゴシゴシしようとしても嫌がって逃げられてしまいます。
または、怒って噛みついてくるかもしれません。
そうなってしまわないように、早いうちから少しずつ口の中の過敏性をなくしていくことが必要です。
受け入れやすい方法から段階を追ってアプローチしていくことが大切になります。
焦らずに、最終的に歯ブラシを使った歯みがきができるように慣らしていきましょう。
まずは身体中を自由に触れるようになりましょう
突然、飼い主さんが愛犬の口の中に指を入れたら、愛犬はビックリしてしまいます。
口の中に何かが入ってくることを受け入れやすくするためにもマッサージは有効です。
足先をはじめ中心から遠いところからゆっくり優しく触ってあげるようにします。
少し圧をかけて、ゆっくりなでるようにして、触覚と圧覚の育成をしていきます。
そうすると、口の中に指や歯ブラシが入ってきても嫌がらなくなっていきます。
「歯みがきなのになんでほかの場所を?」と一見遠回りに見えるかもしれません。
しかし、いきなり歯ブラシを口に入れて磨こうとしてもうまくいきません。
身体全体の感覚の発達を促すところから、段階を追ってアプローチしていくことが大切になります。
お口のまわりを自由に触れるようになりましょう
- 顎下を指先でさすりながら、徐々に顎先から顎の付け根の方まで優しくさすっていきます(喉を押すと苦しくなってしまうので避けます)
- 鼻筋の両脇を指先でクルクルと円を描きながら、徐々に頬のほうへ向かって口の端までマッサージをしていきます
お口の中を自由に触れるようになりましょう
飼い主さんの指を口の中に入れて、奥歯のほうまで歯茎を触っても嫌がらないように練習をしていきます。
- 犬の上唇をめくって親指と人差し指の先ではさみ、上唇の縁を奥歯のほうまで(指が入るところまで)親指と人差し指をスライドさせながらマッサージをしていきます。
- 上唇のマッサージができたら、前歯から奥歯に向かって、歯と歯茎の境目のところを人差し指でくるくると円を描くように指を動かしていくと、このマッサージ自体に歯周病対策としての歯みがき効果があります。
ガーゼを巻いた指で歯みがきしてみよう
指で直接口の中を触られることに慣れてきたら次のステップです。
指にガーゼを巻いた状態で、歯と歯茎の境目を指先をクルクルと回しながらマッサージしていきます。
このとき、プレーンヨーグルト(無糖)の上澄み(ホエイ)でガーゼを湿らせて使うと歯周病予防に効果があるそうです。
専用の使い捨てシートも売られています。
歯みがきグッズをそろえる【2024年版】
犬たちには人間との暮らしにおいて、嫌でも頑張って乗り越えなくてはならないことがたくさんあります。歯磨きも、そのひとつと言えるでしょう。犬にも歯磨きをする習慣が一般的になったのは、ここ15年ほどのことだと思います。犬の寿命が長くなり、シニア期になって、歯周病で歯が抜ける...
歯ブラシを使った歯みがきにチャレンジ!
ガーゼやシートを使った歯みがきができるようになったら、いよいよ歯ブラシを使った歯みがきにチャレンジしていきます。
まずは歯ブラシを見せよう
いきなり歯ブラシを口に突っ込むのではなく、愛犬の目の前にこれから口にいれる歯ブラシを見せます。
そして、「これから、この歯ブラシを口に入れて歯を磨くからね」と宣言します。
納得して受け入れる準備をしてくれるはずです。
楽しそうに歯ブラシを口に入れてみよう
歯ブラシをもつ側の人間が緊張していると、犬も警戒してしまいます。
「とても良いことをするのだ」という意識で臨みます。
間違っても「可哀そうなこと」をすると思ってはいけません。
また、1回で全部やろうとしても、途中で我慢できなくなってしまうでしょう。
そこで、暴れて逃げられてしまうと「嫌なことがあったら全力で暴れればOK」と、愛犬は間違った行動を学習してしまいます。
最初は歯ブラシを入れるだけ(ブラシで歯をこすらない)ところからスタートし、少しずつブラシを当てていくようにします。
3日かけて全体を仕上げるペースで
愛犬が1回にガマンできる時間内に磨ける範囲はとても少ないと思います。
短時間でも回数を増やして歯みがきをしていき、3日間のトータルで全部の歯が磨けていれば大丈夫です。
歯みがきができるようになったら
歯みがきを習慣にできるようになったことは素晴らしいのですが、過ぎたるは猶及ばざるが如しで注意点もあります。
1日1回でOK
練習をしていたころは、1日に何回も練習していたかもしれません。
それはあくまでも「練習」であったため、1回の時間は短かったはずです。
1度の歯みがきで口内全体の歯みがきができるようになったら、今度は磨きすぎに気を付けなければいけません。
熱心な歯みがきで歯が削れてしまったボーダーコリー
以前にご相談を受けた飼い主さんで、1日3回人間と同じように愛犬の歯みがきをしていた方がいらっしゃいました。
詳しくお話を聞いてみたところ、朝・昼・晩の3回、歯ブラシと歯みがき粉をつかって丁寧に歯を磨いているとのことでした。
さすがに、1日3回の歯みがきは「磨きすぎ」だったようです。1日1回で大丈夫ですよとお伝えしました。
愛犬の命と健康を守るのは飼い主の役目
犬は自分で歯ブラシを手にもって歯をみがくことはできません。
しかし、歳を重ねてシニアになったときに生活のQOLを歯周病で損なうことにならないために、飼い主さんが自分事として愛犬の歯のケアにも手をかけてあげることが大切です。
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