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オヤツを使わないしつけ

ご褒美にオヤツやオモチャを使いません

もともと犬は自分の群れのために役に立ちたいと考える生き物です。

カイロスドッグトレーニングでは「犬に飼い主の役に立ちたいという気持ちが芽生えれば、自発的に飼い主の困ることをしなくなる」という考えを基本にした「犬のしつけ方」を、飼い主が身ひとつで愛犬と意思疎通できる方法を用いて実践しています。

オヤツ(食べ物)を使ったしつけの弊害

なぜ、オヤツをつかったしつけ方法を選択しないのか、以下に主な理由を挙げます。

犬にとっての弊害

  • 飼い主と関係を築くことよりも報酬を得ることが目的となり飼い主との関係が希薄になる
  • オヤツに気を取られているだけで、本来乗り越えなければいけない困難に向き合っていない(いつまでも学べない)
  • 食事のほかに何度もオヤツをもらうことで肥満になる
  • 同じオヤツに飽きてしまい、より美味しいものを要求するようになり、栄養のバランスを崩す(病気の原因に)

また、大好きなオヤツであっても不安や恐怖で口にする余裕もないコもたくさんいます。

多くのしつけ情報では「ご褒美にオヤツを与えましょう」と言っていますが、オヤツがご褒美にならないワンちゃんの飼い主さんはお手上げになってしまいます。

オヤツで訓練された犬の特徴

ご褒美のオヤツで訓練された犬たちは以下のような行動を取る傾向があります。

  • アイコンタクトといいつつ目ではなくオヤツを見ている
  • オヤツがもらえないか常に飼い主の顔を見続けながら歩く(前を見ていない)
  • オヤっを待たされると吠えたり飼い主のトリーツバッグを奪う
  • オヤツがもらえるまでの時間しか我慢ができない
  • オヤツをもらえるなら誰のいうことにも従う
  • オヤツがもらえないなら指示を聞かない(聞こえないふり)

つまり、多くの飼い主が愛犬に求める「落ち着き」を身につけることができません。

飼い主とのあいだに信頼関係はなく、オヤツとの契約関係しかないのです。

飼い主にとっての弊害

  • フードを使わないと愛犬にいうことを聞かせられない
  • うっかりフードを忘れて外に出ると不安になる
  • フードを食べたがらないからご褒美を与えられない(と思って)何も教えることができない
  • いつまでたっても犬とコミュニケーションが取れない

犬は他の動物種とは異なり、オヤツなんかなくても人間とかかわりを持とうとする気持ちをもともと備えています。

にもかかわらず、その能力をつぶしてしまうことは犬との暮らしの醍醐味を半減させてしまいます。

あまりにも残念すぎます。

手段と目的のはき違えで、周囲の人はかえって迷惑

または、「手段」と「目的」をはき違えて訓練にまい進した結果、かえって周囲に不安を与える飼い方をするようになってしまうなど、残念な結果も多く見てきました…。

つぶやきノーリードでも自分の横について歩く愛犬を見せびらかし「犬をこんな風に訓練した俺すごいだろ」と、周囲にアピールしながら歩くようになります。犬を飼っている・いないに関わらず、周囲の人は迷惑でしかありませんが、本人はそれに気づきません

なぜ、オヤツを使ったしつけの情報ばかりなのか?

猛獣の調教手法を犬に?

食べ物を報酬とした訓練方法は、もともと猛獣を調教するための手法を犬に応用したものです。

獣医師にとって犬は特別な種ではなく、人間を除く哺乳類のうちの一種でしかないため、犬という種(しかも、家庭で暮らす犬)に最適な方法かどうかという考え方がありませんでした。

近年では脳科学研究の進展により、ヒト、イヌ、その他の動物の認知に関する比較研究ができるようになって、改めてイヌの特殊性(ヒトとのかかわりにおいて、ほかの哺乳類とは異なる)が徐々に明らかになってきています。

オヤツ依存で得するのは誰か

また、オヤツをつかったしつけ方法は動作を教えることはできても、日常生活における飼い主の困りごとをいつまでも解決しません

苦手なことをフードで気をそらしてやりすごすだけでは、飼い主がフード(実際には習っている先)に依存し続けざるを得ないため、飼い主は長くレッスンに通い続ける(か、犬がバカなのだと思って飼い主がしつけをあきらめる)ことになります。

すぐに直せる問題であると知りながら、できるだけ長く通わせることで収益を上げるビジネスモデル(オヤツを使った訓練)以外を排除してきたペット産業(動物病院や訓練所)の現実を長く見てきました。

「優良」顧客の育成

さらに、フードを使ったしつけの結果、健康に害が及べば(肥満など)動物病院は療法食を販売することができて、さらに儲かります。

また、犬が心身にストレスを抱え続けた生活の結果、長期的に薬の処方が必要な病気になってくれれば、それは動物病院にとって「優良顧客」となります。

ビジネスを前面に押し出した経営をしている動物病院にとっては、短期間で犬が心身ともに健康になってしまっては商売にならないのだそうです。

つぶやき志の高い獣医師も世の中には数多く存在していると信じたいです…

これら2つの理由から、飼い主が動物病院やメディアなどから簡単に入手できるのは「ご褒美にオヤツを使ったしつけ」方法ばかりになってしまうのです。

しかし、オヤツをご褒美とした犬のしつけは、本当は犬と飼い主にとって弊害が多く、飼い主が犬のしつけをあきらめてしまう原因にもなっています。

いくら与えても与えすぎにならない最高のご褒美

「ご褒美=オヤツ」であると刷り込まれすぎて、じつは以下のような「最高のご褒美」があることを、飼い主さんたちは完全に忘れています。

最高のご褒美

  • どれだけたくさん与えても犬の健康を損なわない
  • 食欲がなくても受け取れる
  • 犬が食べ飽きることがない(お腹いっぱいにならない)
  • いつでもどこでも飼い主が与えることができる
  • いつまでもなくなることがない
  • 費用もかからない
  • オヤツと同じかそれ以上に犬が喜ぶ

飼い主にとっても、犬にとっても最高のご褒美じゃないでしょうか?

褒めること

それは、 褒めること です。

褒められたとき、犬の脳のなかでは食べ物をもらった時と同じ場所(報酬系)が働きます。

報酬が食べ物である必要はないのです。

これを飼い主さんが「適切なタイミング」で「適量」与えることができるようになると、愛犬はあっという間に変わります。

これまでに、国内外で多くの飼い主さんに実感して頂いてきました。

褒めをご褒美として最大限に活用するためには適切なタイミングと、その子にとっての適量を、飼い主さんが判断できるようになる必要があります。

これを学ぶことこそが、本来は「犬のしつけ」であるはずなのです。

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Shizuka “Suzy” Ishida

Shizuka “Suzy” Ishida

2005年より東洋思想をベースにした「ごほうびにオヤツを使わない犬のしつけ方」を提唱。吠える・噛むの問題を抱えた小型犬のしつけを得意としていますが、保護犬の心のリハビリもしています。当サイトで提示しているしつけ方法はすべての犬に100%当てはまるものではありません。性格や状況によって対処方法はさまざまです。お試しになる際はあらかじめご理解のうえお願いいたします。

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