犬が噛み付いて相手に怪我をさせることを「咬傷事故」といいます。
保健所に届出のあった事例だけで、年間でおよそ4300件ほどの事故が起こっています(環境省統計 2020)。
この数字は、噛んだ・噛まれたのトラブルが表面化した一部の事例であって、氷山の一角でしかありません。
犬が噛んだら保健所に届け出ることを知っている人も少ないでしょう。
噛み付き事故を起こしているのは一般家庭で飼われているごく普通の犬が圧倒的多数であって、野犬・野良犬による事故でないことがほとんどです。
噛まれた人の年齢構成などの数値は公表されていないので、4300件のうちどれほどの割合が子どもが噛まれた事故かはわかりません。
しかし、米国では年間に470万件の咬傷事故が発生していて(桁違いですね…)、しかも、その半数が子どもなのだそうです。
咬傷事故のうち、子どもが犬に噛まれる割合はかなり多いといえます。
そこで、米国では子どもたちに向けて、犬に噛まれないために必要な知識を身につけるための啓発活動を行う団体がいくつもあり、資料を無料公開しています。
飼い犬や顔見知りの近所の犬に噛み付かれると、子どもは痛みを伴うつらい経験をします。
そのうえ、噛んでしまった犬のほうは命を失う(殺処分)か手放されることになります。
キリスト教の価値観に基づく文化圏においては、飼い主が管理できない動物を殺処分することは動物に対する人間の責任として当たり前の方法として理解されています。
お互いが不幸になる咬傷事故をなくすためには、犬の側に一方的な負担を強いるのではなく、「噛まれない教育」と「噛ませない教育」は両輪で実施していかなければいけません。
犬を飼っている・いないに関わらず、子どもたちに対してこのような教育の機会を提供していく環境が日本でも当たり前になってほしいし、私もそのために、微力ながら貢献していきたいと思っています。
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