ひとくちにペットと言ってもさまざまな種類の動物がペットとして飼われています。
ざっと挙げてみても、
- 犬
- 猫
- うさぎ
- フェレット
- その他小動物(ハムスター・リス・チンチラ・ハリネズミなど)
- 鳥類(インコ・文鳥など)
- 爬虫類(カメ・トカゲ・ヘビなど)
- 両生類(イモリ・カエルなど)
- 魚類(メダカ・金魚など)
- 昆虫(カブトムシ・クワガタなど)
など本当にさまざまな種類があり、それぞれ飼育の方法が大きく異なります。
このため「ペット」とひとくくりにして防災対策の詳細を説明するのは難しいです。
災害対策の分類
災害対策用語でよく聞く言葉に「自助」「共助」「公助」というものがあります。
自助
個人の役割
自分自身や 家族で備えること
共助
地域の役割
地域(近所)で助け合うこと
公助
行政の役割
行政が行う災害支援
の3つがあります。
どの種のペットの飼い主にも共通でいえることはとにかく「自助」の備えをしっかりしておくことです。
自助
家庭で備えておくべきペットの防災対策はおもに以下の5点です。
- 備蓄
- 所有者明示
- 避妊・去勢手術
- 近隣へのペット紹介
- しつけ
備蓄
人間用の食料は3日分を備蓄しておけばそれ以降は避難所に物資が支給されるので大丈夫と言われています。
しかし、支援物資にペットの食事は基本的に含まれていません。
10日分の食事と水の用意
ペットの食事は日常に戻るまで自分たちで調達しなければならないということです。
最低10日間(犬猫以外は1カ月)分以上の食料の備蓄(フード・水など)をしておきます。
常用している薬の確保
常用している薬があれば1カ月分ほど多めに処方しておいてもらうこともお勧めです。
温度管理のための電源
また、水温や室温の管理が必要な種を飼育しているばあいは環境を維持するための電源の確保も必要です。
所有者明示
可能なかぎりあらゆる方法で飼い主がすぐに分かるようにしておくのが飼い主の責任です。
万が一、離れ離れになってしまった際もペットと再会できる確率が上がります。
以下の所有者が分かるようにしておくためには以下のような方法があります。
マイクロチップ
2019(令和元)年6月に公布された「改正・動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)により、2022年(令和4年)6月1日以降ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫には譲り渡し前のマイクロチップの装着が法律で義務化されました。
マイクロチップには15桁のバーコード情報が入っており体内に埋め込んで使用します。
身体の中に埋め込まれるため紛失することがなく個体が寿命を迎えるまで永久に使用できることから選ばれました。
2019年以前から犬猫を飼育している人に対しては「努力義務」となっていますがワクチン接種とさして負担は変わりませんので挿入しておくことをお勧めします。
詳しくは以下の記事をご覧ください↓

鑑札
犬は居住地を管轄する役所に「畜犬登録」をすることが「狂犬病予防法」という法律で定められています。
この畜犬登録をすると「犬鑑札」という金属のタグがもらえます。
登録した市町村名と番号が記載されています。
この「犬鑑札」を常時犬の身体に装着しておくことも「狂犬病予防法」で定められています。
万が一、迷子になったときに鑑札がついていればその番号から飼い主が誰かを知ることができます。
明治時代から行われている方法です(戦前までは畜犬票と呼ばれていたようです)。
狂犬病予防注射済票
犬は「狂犬病予防法」によって毎年1回狂犬病の予防接種をしなければいけない決まりになっています。
注射をすると「狂犬病予防注射済票」という金属のタグをもらいます。
何年度の接種かという和暦の年表記と番号がプリントされています。
この注射済票に記載されている番号からも飼い主をたどることができるようになっています。
また、鑑札とちがってプリントされているため首輪に着けていると擦れてしまい何が書いてあるか1年以内にほとんど読めなくなります。
迷子札
法律で挿入が義務化された「マイクロチップ」のデメリットは「外から見てもつけているかどうか分からない」ということです。
マイクロチップは外から見たり触ったりしてもその動物がマイクロチップを装着しているかどうかはまず分かりません。
また、体内のチップ読み取りには専用の機械が必要となります。
マイクロチップのみでは情報の確認に時間がかかってしまうため昔ながらの迷子札を家の中でもつけておくことが大切です。
詳しくは以下の記事をお読みください↓

GPS
また、迷子札もテクノロジーが進化しています。
現在ではGPS機能のついた首輪なども販売されています。
今の技術では超小型犬が着けるには大きすぎるものが多いようですが、普段から脱走対策としてGPS機能のついた首輪を選択する飼い主さんも増えてきました。

避妊・去勢手術
万が一、逸走(逃がす)してしまった際に繁殖して子どもを増やしてしまうことがないように飼い主の社会的な責任としても愛玩動物(犬・猫など)の避妊・去勢手術は行なっておくべきです。
近隣へのペット紹介
どんなペットを飼っているかということを隣近所の人に知っておいてもらうことで「共助」につながることができます。
家族以外に存在が知られていないままでは飼い主の不在時にご近所さんに助けてもらうことができません。
しつけ
じつは「しつけ」も大切な災害の備えのひとつです。
クレートトレーニング
具体的には犬や猫はクレートトレーニング(扉を閉めたクレートの中で一晩眠れる)をしておきます。
万が一自宅以外の場所に移動しなければならないときもいつものお布団で眠れることでストレスを軽減することができます。


吠えを止められる飼い主になる
また、犬については環境の変化に対して「過剰に反応して吠えない」、もし吠えても「飼い主が吠え止ませることができる」ようしつけをすることが大切です(何歳からでもできます)。

避難形式
災害時の避難方法にはさまざまなスタイルが存在します。
名称とその内容をしっかり理解しておきましょう。
在宅避難
耐震基準を満たしたマンション等の共同住宅は倒壊の危険性が低いことから火災が起こらないかぎりは自宅に留まることが推奨されています。
避難所へは情報収集や物資の受け取り等で出向きます。
(有事になると結局のところ)避難所においてペットと同室で避難生活を送ることが難しくなります。
ペットのいる家庭はできるだけ在宅避難を選択することになります。
同伴避難
ペット関連の法令を所管する環境省は災害で避難が必要になった際はペットの「同伴避難」を推奨しています。
不完全なペット行政
これは、被災者が避難所でペットを飼養管理できる状態のことを指します。
ただし、これは指定避難所等でペットが飼い主と同室で生活できることを意味しません。
2024年元旦に起きた能登の震災の同伴避難においても真冬の豪雪地帯にもかかわらずペットを避難所の外に置くことを求められました。
ペットを連れて家を出ること(避難)を求められたにもかかわらず避難先でペットと同室で生活できる可能性はほとんどないというのが2024年現在の現実です。
このため、日本全国から多くの民間ボランティアが一時預かりなどの支援をしていますがまだまだ足りない状況です。

同行避難
なお、「同伴避難」と似たようなことばに「同行避難」があります。
こちらはペットとともに安全な場所まで避難する行為に限定した用語であり「家にペットだけを残さない」ことを意味します。
2011年の東日本大震災の際、避難時に飼い主がペットを捨てる(逃がす)ことにより地域の生態系や住民に大きな影響を与えたことが問題視され、現在では「同伴避難」が推奨されています。
まとめ
共助についても考えよう
共助のレベルでペットの避難についてどのようなことができるのか、明日起きるかもしれない問題として、ペットを飼っている人も飼っていない人も自分事として考えることが重要です。
また、これからペットを飼おうと考えている人は「停電や断水があっても飼えるペット(種)なのか」「一緒に連れて逃げることが可能なペット(種)かどうか」を検討したうえで迎えるべきであることを知っておく必要があるでしょう。
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