瓜実条虫(Dipylidium caninum)
瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は白い米粒のような片節が長く連なったサナダムシの仲間です。
ノミを媒介して感染する条虫でイヌの小腸に寄生します。
ノミがいる環境で飼育されていた保護犬はとくに感染リスクが高いです。
感染経路
瓜実条虫のおもな感染経路は以下のとおり。
経口感染
瓜実条虫は犬がノミ(おもにネコノミ)を誤って摂取することで感染します。
犬から犬に感染することはありません。
人にも感染する「瓜実条虫」
この条虫はノミを介して感染します。
犬に寄生しているノミを人間が誤って摂取することで人も感染することもあります。
とくに幼い子どもが感染することが多く消化管内に条虫が寄生し腹痛や下痢などを引き起こすことがあります。
症状
瓜実条虫に感染した犬が示すおもな症状には以下のようなものがあります。
- 軽度の下痢
- 肛門周囲をしきりに気にする
- 糞便中に片節がみられる
- お腹の膨れ
感染が分かったら
治療とノミの駆除そして清掃の3つの対応が必要となります。
駆虫薬の投与
瓜実条虫の感染に対する治療には駆虫薬の投与が有効です。
以下に、瓜実条虫の駆虫に使われるおもな駆虫薬を挙げます。
ドロンタールプラス
ドロンタールプラス錠にはジェネリック医薬品があり個人輸入で入手することもできます。
ウォレックス(犬用)
ドロンタールプラス ジェネリック(キウォフ、Kiwof) 犬用
プラジクアンテル
インターセプターチュアブル
インターセプターチュアブルはフィラリアと同時に線虫類と条虫類までを駆除する駆虫薬です。
インターセプターチュアブルはミルベマイシンオキシムとプラジクアンテルの2つの有効成分を配合しています。
エキノコックス(多包条虫)にも対応しています。
飼い主の手から直接あるいはドッグフードに混ぜて簡単に投与することができるチュアブルタイプの駆虫薬です。
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ノミ・シラミの駆除
瓜実条虫はノミやシラミを媒介して感染するため、これらの外部寄生虫を駆除しなければ再感染を繰り返してしまいます。
このため、瓜実条虫の駆虫薬のほかにもノミ・シラミの駆除薬を使用します。
代表的なノミ・シラミの駆除薬は以下のとおり。
フロントラインプラス
フロントラインプラスはノミ・マダニ及びシラミ・ハジラミの駆除薬です。
ノミの卵の孵化・発育まで阻止するダブルの効果があり寄生中のノミだけでなく繁殖・再寄生を予防します。
フロントラインプラスはスポットオンタイプで首筋に垂らすだけで簡単に投与することができます。
妊娠中や授乳中の母犬、生後8週齢からの子犬にも安全性が確認されており、簡単で安全に愛犬の寄生虫駆除・予防を行うことができます。
アドバンテージ・スポットオン250mg(犬用/10~25kg)
アドバンテージはイミダクロプリドを含むスポットオンタイプの外部寄生虫予防薬です。
ノミの駆除及び予防、シラミの駆除、ノミアレルギー性皮膚炎(FAD)のコントロールに対して効果を発揮します。
速乾性のあるスポットオンタイプで投薬後皮膚から速やかに吸収されます。
体表に広がったイミダクロプリドと外部寄生虫が接触するだけで駆除することができノミやシラミが犬を吸血しなくても駆除されます。
また、防水処方のため入浴や水泳の後でも最大4週間効果が持続します。
清掃・消毒
このほか、感染が分かったら再感染を防ぐために室内の清掃や消毒をすることも重要です。
ひとまず、お散歩に出る際に燻蒸剤を使って家全体のノミ・ダニの駆除をするのも良いです。
スチームを使って駆除できる場所はスチームも有効です。
掃除機は紙パックがおススメです。
紙パックのなかにノミとり首輪の切れ端を入れて掃除機を使うようにするとゴミの中でノミが増えるのを防ぐことができます。
まとめ
瓜実条虫は犬の小腸に寄生するサナダムシの一種で、おもにノミを介して感染します。
犬がノミを誤食することで感染し人にも伝染することがあります。
おもな症状は軽度の下痢や肛門のかゆみです。
治療にはドロンタールプラスなどの駆虫薬が使われます。
併せて犬の身体からノミの駆除をすることが再感染予防に重要です。
そのほか、清掃を徹底して家の中からノミを駆除することも必要です。
予防方法
瓜実条虫に感染しないためには瓜実条虫だけではなくノミの寄生にも警戒しなければなりません。
駆虫薬の定期投与
治療に使用した駆虫薬を通年で定期投与することにより感染を防ぐことができます。
ノミ・マダニの駆虫効果のある寄生虫予防薬を選択することをお勧めします。
室内環境衛生
日ごろからの室内の清掃や消毒も大切です。
室内トイレでの排泄に気づいたら速やかに片づけ定期的に消毒もしておきます。
また、犬用の敷物やベッドなどはこまめに抜け毛を取り除いたり洗濯して清潔に使います。
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放置ウンチは危険だと知る
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時間が経つほど寄生虫の量が増えたり、感染力が高まるものもあります。
放置ウンチは巡り巡って自分の愛犬の健康を損なうということを飼い主一人ひとりが肝に銘じる必要があります。
また、お散歩中は愛犬のリードを短くもち、放置ウンチの匂いを嗅がせたり、食べられてしまわないように十分な注意を払いながら歩くことも大切です。
わたしたち飼い主が愛犬を毎日お散歩に連れていくのは、排泄や運動をさせることだけが目的ではありません。犬を散歩させるという行為には、ほかの犬や人との交流をとおして社会性を身につけたり、飼い主とともに行動をすることで双方の信頼関係を深めたりするといった、犬の心を育てる効果もあるのです。し...
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