糞線虫(Strongyloides stercoralis)
糞線虫(ふんせんちゅう)はとくに湿った環境で感染する寄生虫です。
感染した犬は深刻な健康問題を引き起こすことがあります。
感染経路
汚染された環境での感染リスクが高く注意が必要です。
糞線虫のおもな感染経路は以下のとおり。
- 経皮感染
- 経口感染
経皮感染
糞線虫はおもに皮膚を通じて感染します。
経口感染
糞便を介して直接的に感染することもあります。
症状
糞線虫に感染した犬が示すおもな症状には以下のようなものがあります。
- 下痢(とくに水様性下痢)
- 脱水
- 咳(幼虫が肺を通る際に引き起こされることがあります)
- 体重減少、食欲不振
人にも感染する「糞線虫」
犬の糞便に含まれる幼虫が皮膚を通じて人間に感染します。
ヒト=ヒト感染も
ヒトからヒトへの感染もあるため公衆衛生の問題にもなります。
人間が糞線虫に感染すると消化器症状(下痢や腹痛)を引き起こします。
さらに、長期間にわたり感染することにより「慢性糞線虫症」や「播種性糞線虫症」を引き起こすことがあります。
慢性糞線虫症
慢性糞線虫症になると虫体が皮下を這った箇所に蛇行した紅斑ができたり(とくにお尻)、全身に血管浮腫や蕁麻疹が出現します。
播種性糞線虫症
また、播種性糞線虫症になるとおへその周囲に紫斑を認めることがあります。
免疫力が低下した人では命に関わることもあります。
感染が分かったら
治療と清掃の2つの対応が必要となります。
駆虫薬の投与
糞線虫の感染に対する治療には駆虫薬の投与が有効です。
以下に、糞線虫の駆虫に使われるおもな駆虫薬を挙げます。
- フェンベンダゾール
- イベルメクチン
- ミルベマイシンオキシム
1. フェンベンダゾール(Fenbendazole)
広範囲の寄生虫に効果があり糞線虫にも有効です。
通常、数日間にわたり連続して投与されます。
フェンベンダゾールを含む駆虫薬は個人輸入で入手することもできます。
パナクールKH(PanacurKH)250mg
パナクールオーラルペースト(Panacur)
2.イベルメクチン(Ivermectin)
イベルメクチンはフィラリア予防薬としても知られており糞線虫の治療にも使われます。
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イベルメクチンを含む駆虫薬は個人輸入で入手することもできます。
カルドメックチュアブル/ハートガードプラス*
ハートガードプラスはの日本のカルドメックチュアブルの海外版です。
カルドメックチュアブルは本物の牛肉をフレーバーとして使用していて高い嗜好性があることから日本国内でロングセラーの駆虫薬です。
イベルメクチンとピランテルを含みます。
ミルプラゾン*
Milprazon(ミルプラゾン)は犬の犬糸状虫(フィラリア)症予防、消化管内寄生虫駆除剤です。
ミルベマイシンオキシムとプラジクアンテルを含有しており、フィラリア予防から線虫(犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫)駆除、条虫(瓜実条虫、多包条虫(エキノコックス))駆除までトータルにカバーすることができます。
- ミルベマイシンオキシム:犬糸状虫症の予防、犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫の駆除
- プラジクアンテル:条虫駆除薬として瓜実条虫、多包条虫(エキノコックス)の駆除
Milprazon(ミルプラゾン)は2つの有効成分を含有し、寄生虫の駆除と予防が同時にできるお薬です。月に1回の簡便な投与で、愛犬を寄生虫から守ることができます。
ミルプラゾンチュアブル*
Milprazon(ミルプラゾン)チュアブルは犬の犬糸状虫(フィラリア)症予防、消化管内寄生虫駆除剤です。
ミルベマイシンオキシムとプラジクアンテルを含有しておりフィラリア予防から線虫(犬回虫、犬鉤虫、犬鞭虫)駆除、条虫(瓜実条虫、多包条虫:エキノコックス)駆除までトータルにカバーすることができます。
3. ミルベマイシンオキシム(Milbemycin Oxime)
フィラリアや他の寄生虫にも効果があり糞線虫に対しても有効です。
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ミルベマイシンを含む駆虫薬は個人輸入で入手することもできます。
ネクスガードスペクトラ
クレデリオプラス(犬用)
清掃・消毒
このほか、感染が分かったら再感染を防ぐために室内の清掃や消毒をすることも重要です。
まとめ
糞線虫は皮膚や経口感染で犬に感染し、下痢、脱水、咳、体重減少などの症状を引き起こします。
ヒトにも感染し消化器症状や慢性糞線虫症、播種性糞線虫症などを引き起こすことがあります。
免疫力が低下している人には命に関わることもあります。
治療にはフェンベンダゾール、イベルメクチン、ミルベマイシンオキシムが有効です。
再感染防止のためには駆虫薬の投与だけでなく清掃や消毒も重要です。
予防方法
愛犬を糞線虫をはじめとした寄生虫感染症にさせないためには以下の対策が必要です。
駆虫薬の定期投与
治療に使用した駆虫薬を通年で定期投与することにより感染を防ぐことができます。
フィラリア、ノミ・マダニの予防と併せて糞線虫の駆虫にも効果のある寄生虫予防薬を選択することをお勧めします。
室内環境衛生
日ごろからの室内の清掃や消毒も大切です。
室内トイレでの排泄に気づいたら速やかに片づけ定期的に消毒もしておきます。
また、犬用の敷物やベッドなどはこまめに抜け毛を取り除いたり洗濯して清潔に使います。
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時間が経つほど寄生虫の量が増えたり、感染力が高まるものもあります。
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また、お散歩中は愛犬のリードを短くもち、放置ウンチの匂いを嗅がせたり、食べられてしまわないように十分な注意を払いながら歩くことも大切です。
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